18,進化とは
だいぶ遅れました!
申し訳ないです。
なんだかんだでドロフィンさん達が来てからもう1週間。
ルイフも帰ってこないから修行もできないし、ドロフィンさん達がいるからルビアスとも遊べ……ゴホン……連携の練習ができないし。
結構暇っす。
そういえば、ルイフってドロフィンさん達と一緒に出発しろって言ってたよな?
じゃあやっぱルビアスのこと教えてもいいんじゃ?
今までなに考えてたんやら。
いーや待て。
本当にいいのか?
よーく考えろ?
……分からん。
ってことだからもしもを考えて黙っておくかぁ。
原点回帰っ!
そういえば最近、スー達と会ってないな。
やっぱ今も修行中かな?
見に行くか。
あうあー。
えーっとフィルさんとジーナさんだったっけ?
その2人が今、リアとスー&マスコルに稽古してる。
あの人たちも暇なのかな。
親近感湧くな。
いやそうじゃなくて、何を話してんだ?
リアとフィルさんは剣の模擬戦中だけど、スー&マスコルとジーナさんは何やら会話してる。
盗み聞きしてもいいっすか?
ダメすか……
やっぱ気になる!
魔法発動、聴覚強化。
き、聞こえるぞぉ!
はい、悪ノリが過ぎました。
とりあえずちゃんと聞こう。
「それで、進化についてだが。あんまり詳しいことは解明されてないんだ」
進化?
何の話だ?
「そうなんですかー」
「あぁ。だが、その方法については分かってきていてな。なんでも、より強い魔物の血肉を喰らうことで魔力の質と量を増やしていき、それが個体の限界値に達すると魔力容量の絶対量を増やすために魔物としての格が上がる。だそうだ」
「つまりー、強い魔物をー、食べることがー、条件かー」
「そうだ」
んー?
本当に何の話?
進化って魔物って進化するの?
進化ってたしか……長い年月をかけて、ひとつの種が別の種に変化することだったっけ?
そうなの?
ちがうか。
でも、格が上がる……か。
あれかな?
出世魚みたいなことかな?
昔、長老か誰かに聞いたことある。
成長につれて名前の変わる魚がいるって。
変なことするよな。
それを魔物にするの?
ほほーん、初耳学だな。
今度ルイフに問いただすか。
うん、そうしよう。
さてさて、その話をしているってことは……マスコルを進化させるのかな。
マスコルが危険度4でしょ?
で、もし進化するってなったら危険度5になるのかな。
危険度5の熊の魔物。
いたっけかなー。
いなくねーか?
マスコル、進化できるのか?
「もしー、進化するならー、マスコルは何になるのー?」
「はっきりとは言えないが、熊系統で進化するならばダラーデュコスタルと言ったところか」
「ダラーデュコスタル?」
「危険度6の大型の熊型魔物だ。ヤマコスタルとは比べ物にならんぐらいにでかくなるぞ。もっとも、そうそう進化できる個体なんていないんだがな」
「ふーん」
ふーんって……
ダラーデュコスタルだぞ!?
危険度6だぞ!?
まさかそんな大物になるとは思わなかったな……
でも、進化する個体は少ないのか。
まぁ多かったらもっと研究は進んでいるのかな?
今の言い方だと熊系統じゃないのにも進化可能ってことか?
むむー、奥が深い。
早くルイフ帰ってこないかなー。
「さて、では再開するか」
「はーい」
「では、召喚!」
ジーナさんが呪文を唱え、空中に魔法陣が浮かんだ。
「来い! ブレイブ!! ガラント!!」
魔法陣をくぐり、飛龍と陸龍が現れた。
うへー、すげー!
亜龍と騎士、ジーナさんって龍騎兵か!?
龍騎兵、飛龍や陸龍などの亜龍種に乗って戦う者達の総称。
魔物使いの最上位者だ。
ちなみに、危険度5なのになんで最上位かって言うと、亜龍ってのは龍の所謂、劣化版なのね?
羽しかなかったり、逆に羽がなかったりとすることはあるけど、一番足りてないのは知恵。
亜龍は力があるけど頭が悪い。
でも、もしその知恵を補うことが出来て、思う存分力をふるえたとしたら?
それは亜龍にして、龍にも劣らぬ力を持つことになる。
つまり……そういうこと。
目劣りしない程度ってことだから、別に龍より強くなることはないけど。
でも、危険度7~9の龍と同じだけの力が出せるならもう最強と言っても過言じゃない。
ただ、亜龍を従魔にするのも結構難しいから、やっぱこれも最上位の理由でもある、らしい。
いやぁジーナさんがね。
黄金騎士だし、普通だったりするのかな?
あとでサインもらおう。
そうしよう。
それで、どんな修行を?
「マスコルー! 体当たーり!」
「ガラント、避けてそのまま尻尾で薙ぎ払い」
おぉー、魔物対決!
……なんか大きいのが小さいのを攻撃してるってのは見たくないな。
「躱してー! くるで頭突きー!」
なんだその指示……
くる?
あ、マスコル空中で回った。
そしてその回ったままぶつか
「防御しろ」
陸龍に突進したマスコルが吹き飛ばされた。
陸龍、硬っ!
ただ立ってただけで弾かれてるぞ!?
「はぁぁあ!」
スーが声をはりあげ、勢いよくジーナさんに向かう。
「せやぁあ!」
魔物達に指示を出しながら自分たちも別々で戦う。
それにしてもスー、本当にすごい。
手加減されているとはいえ、黄金騎士であるはずのジーナさんといい勝負してるじゃん。
あ、逆にリアの方は休憩に入ったな。
うんー、僕も修行したいぞ!
このままだと負けてしまうかもしれない!
死ぬことはなくても技術的に!
いや、まぁ元から負けていたけど……
これ以上、戦闘力を離されてたまるか!
てことだから真面目に早めにルイフ帰ってくるか、グローリアの人達帰ってほしー!




