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太陽の申し子〜竜に選ばれた少年の旅物語〜  作者: 日孁
第1章~純白の支配者~
11/86

10,王種からの説明②

 昨日の分…

 一日に3話ってだいぶキツイですね(笑)

(いやぁ、恐ろしいですね。)

「全くもって。」

(今言ったように私がここの守り神であったから、これが理由の一つです。そして、もう一つは。)


 今の理由だけでも十分、この場にルイフがいる説明にはなっているのだろうが、まだあるらしい。

 ルビアスが尻目に欠伸をしたのが見えた。

 なにも気にしないでいいのが羨ましい。


(私は普段、この村にはいません。それが数ヶ月前、竜様が目覚めた気配を察知しました。一体何事かと思い、急ぎ戻ってきたのです。私もこの祠の存在は聞いたことしか無かったので、まさかとは思ったのですが。)


 欠伸をするルビアスを見ながらルイフはそう言った。

 ルイフの説明に長老が続ける。


「そう。そして、この前にこやつらが行方不明になった晩じゃ。あの時、ルイフ様に呼ばれて、その話をしていたのじゃよ」


 ブランドンとジョンが行方不明になり、僕とスーで探しに行った時だ。確かにあの時、違和感はあった。

 突然の威圧感もルイフが放っていたのだとすれば辻褄が合う。


「そうだったのか。あの時、長老の顔が青ざめていたから一体何事なのかと思ってたんだよ」

「突然の事だったからな。俺も聞いた時に焦ったさ」

(理由はまだあります。)


 ルイフは今度はカーバンクルの方に向き直った。


(カテュラ、あなた達カーバンクルにも関わることです。)

(まさか……!)

(そう。あなたが探していた、カーバンクルの子供を攫った犯人。その方を消しにいくためです。)


 怖!

 【王種】が襲ってくるとか、怖すぎだろ!


「同情するぜ犯人……」

(同情しないでください。)(同情するなよ。)

「あい」


 同時に突っ込まれてしまった。


(それで、どうなったのですか?)

(ええ。無事に救い出しましたよ。ただ……)

(ただ?)

(捕まえることは出来ませんでした。目的も、黒幕が誰がかもわからずじまいです……)

(……そうですか。ですが、救い出してくださったこと、心より感謝申し上げます。)

(いえ、これぐらいのこと。)

(そうは言っても、我らにはどうすることも出来なかったでしょう。ルイフ様の御力添えがあってこそです。)

(それならば良かったです。今後はより警戒してください。)

(はい。)


 王種ですら尻尾を掴めない誘拐犯。

 ただものでは無いな。

 つまり、その犯人たちを捕まえてこいと言うことですね?

 了解! ルビアス行くぞ!


 ─アレン、まだ話終わってない─


 えー。

 でも絶対言うでしょー。

 それなら早いうちにいって終わらせた方が良くない?


 ルビアスが蹲り、片目をほんの少し開けて僕のことを引き止める。動く気はありませんってことだろう。


(私がアレン様にそんなお手数をおかけすることはありません。)

「え? 違うの?」

(行きたいのですか?)

「いや、絶対嫌だ」


 ルイフが軽く心の中を読んできたのは置いておいて、返事は絶対にNOだ。

 だってそいつ、どう考えても強いでしょ。


(ですよね。)

「うん。」

(正直、私からお伝えすることはもうありません。アレン様から聞きたいことがあれば、答えられる範囲の受け答えはしますが。)

「あぁそう? じゃあまず、なんで僕がルビアスに選ばれた?」


 他にも候補ならあったはず、だって強さだったらリアなんかの方がよっぽどあるし。


(それは私には分かりません。竜様にしか。)


 全員の視線が今にも寝ようとしているルビアスに集まる。

 しかし、そんな状況を気にしないルビアスがまた大きな欠伸をした。


 ─アレン、君は魔力(マター)聖気(オリジンソウル)ともに皆無だった。だから、私との適性が良かったんだ─


 なんか知りたくない情報だなー。

 つまり?


 ─君は自分の魔力等がないわりに、その器が大きい。そこに私のエネルギーを注いだ─


(ふむ、何も持たないのがかえって良かったのですね。)

「そこ、強調しないでください。」


 よく分からんが、普通はコップ1杯満杯に水が入ってるから注いでも零れちゃうけど、僕は容量バケツのくせに水が1滴も入ってないからどぶどぶと入れれちゃうと。

 そういうことかね?


 ─そう─


(先程アレン様がカテュラに治療したのは聖術の方ですね。そして《竜力纏》を使っておいででした。)

「あれが聖術かぁ。えっと竜力纏?」

(相棒となる竜とひとつになり、力を借用する技です。)

「ほう。なにやら難しそうだね」

(ええ難しいです。普通は直ぐに出来ませんよ。)


 なんとなく言ったけど、実際難易度は高かったらしい。

 マジか。すごいことしてたのか。

 やったな!


(失敗すれば、精神が戻れなくなりますけど。)


 マジか。やばいことしてたのか。

 あっぶね!


「ちなみに他にも理由ってあるの?」


 ─もちろん。けれど、あとは感覚的なもの。運命なんだよ─


「そうか。まあ、そのうちその理由も分かるか!」


(竜様、それで……)


 ─竜と呼ぶな。ルビアスと呼べ─


 ルビアスが歯をむき出して威嚇する。


 ちょっと怖い。


(失礼しました。ルビアス様、それで何が起こるのです?)

「ん? 何か起こるの?」


 ふとタマの言葉を思い出す。

 あぁとんでもない災禍、ね。

 忘れてた……死ぬかもしれないやつだ……


 ─知らない─


 知らないの?


 ─そう、知らない─


 そっか


(やはりそうですか。)

「知ってたんかい!」

(いや、もしかしたらと……エイディンになる竜様方は、各々本能でそうすべきと判断して行われるそうで。そこに なにが や どうして は含まれません。勘です。)


 確かに何億年もの間、起きたことの無いほどの災禍があるとしたら……知りたくもなるか。


(他に聞きたいことはありますか?)

「んーと、じゃあ過去に竜に選ばれた者達ってどんなふうなの? 詳しく知らないからさ。」


 それを聞けば何らかのヒントが得られるかもしれない。これから起こるだろう災禍について。


(そうですね。では、竜に選ばれた者達について話しましょう。)

「頼む」

(ご存知の通り、竜というのは生物を超越した存在です。我ら王種と同じ【神格種】に分類されていますが、実際は竜の方が格上になります。そもそも、王種は竜によって生み出されたのですから当然です。彼らは何かが起こりうる未来を予感し、エイディンとなり相棒を待ちます。そして、相棒に選ばれた者は、ほぼ(・・)不老不死の存在となります。)


 ん? なんて?


「不老不死……?」

(そして、竜との繋がりが強ければ強いほど、調和率は上がっていき、その存在は世の理から外れたものとなっていきます。)

「とばすな! 不老不死とかめっちゃ重要だろ! それで、世の理から外れるってなんだ!」


 どーなってんだー! こんちくしょう!


(え? あぁ、ほぼ不老不死ですよ? ほぼです。)

「いや、ほぼって言ってもねぇ。」


 不死の象徴とされる吸血鬼族(ヴァンパイア)は存在するらしい。彼らは太陽に焼かれたら消滅するが、それ以外のダメージは入らない。

 そんな彼らは、呪われた者たちとも呼ばれている。

 太陽の下を出歩けないこともあるだろうが、死なないってことをみんな一種の呪いとして扱っているんだ。

 そんな存在になったってことだ。


(だって、相棒が死なないとお互いに死にませんもの。不可能でしょう? 竜を殺すなんて。)

「……じゃあ世の理を外れるってのは?」

(それは単純に強くなるからです。時が経つにつれ竜様から引き出せる力が増えていきますし、竜様自身が成長とともに強くなっていく。)


 んー、イマイチわからん。


(先程言いましたように、普通、竜を殺すことは不可能です。そして、時が経つほど強くなる。分かりましたか?)

「……なにそれ最強じゃん」

(竜とはそもそも神の如き存在なのだから当然です。それに、そこまでしないと災禍には抗えませんから。)


 災禍怖すぎ!


「ん? ならルビアスの親とか、今まで選ばれた人達は今どこに?」


 生きてるってことだよな。


(分かりません。)

「え?」

(分からないのです。)

 

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