表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
太陽の申し子〜竜に選ばれた少年の旅物語〜  作者: 日孁
第1章~純白の支配者~
10/86

9,王種からの説明①

「どこに行くのじゃ?」

(そうだ。まだ解決しておらぬ。)

「んー、来たらわかると思う」


 とりあえずのところ、ルビアスに会って色々と話したいことがある。

 別に会う必要は無いかもしれないけどね。


 エイディンが祀られていた祠のある洞穴へ向かう。

 そこにルビアスがいるはずだ。

 これは確実。なにかに引かれるような感覚がある。

 それを辿っていく。


「着いた。」


 洞穴の前で立ち止まり、皆の方を振り返る。


「こ、ここは……」

「おいおい、なんだここは」

(この気配……まさか!?)


 長老や村長はうっすらと知識にあったのか、頭を抱えている。

 ブランドンやジョンは声も出ないらしい。

 そしてカーバンクルは、場所よりも中から感じられる気配を察したらしい。

 それぞれ別々のリアクションだが、信じられない。という反応だけは同じだった。

 いいリアクションだねー!


 ─アレン─


 あぁはいはい。


 洞穴の中に入る。

 入ると目の前にはあの時の祠。

 その祠の上に、あの時はいなかった小さな竜が鎮座していた。

 ルビアスだ。

 見た目は、宝石のような綺麗な緑色の鱗に、黄色い瞳。真っ赤な1枚の鱗が胸元にあり。小さいながらも威厳溢れる真っ白な角が頭に2本と、額から尻尾の先端にかけて、これまた白い棘がズラリと生えている。翼は、広げれば体よりも大きくなるほどで、尾も長く、体長の半分近くを占めている。牙に手から伸びる爪は鋭くなっていて、小さな今でも、ハンターとしての素質が備わっているのが見て取れる。

 これが……竜。

 視界に入れているだけで浄化されるほど神聖な気配を感じる。


「!!!」

「!!!」

「!!!」

「!!!」

(!!!)


 みんなは驚きで声も出ないようだ。


「紹介するよ。こいつはルビアス。さっき相棒になった、竜だ」


 ─初めまして─



「り、竜……」

「本……物……?」

「まさか……そうじゃったか」

「こりゃたまげた……」

(偉大なる竜)


 まぁ本当についさっきだから、僕もこんな紹介をしていいか分からないけど……


 ─していい。いけないわけがない─


 そりゃどうも。


 ルビアスに見つめられながら、会話しているとバサッバサッと、空気を叩く音が外から聞こえてきた。そして、同時に声も。


(お目覚めになられましたか? 偉大なる、竜王の忘れ形見よ。)


 火? 虹色の大きな火が洞穴の外でゆらゆらと揺れている。

 その火は中に入ってきて……いや火なんかじゃない!

 これは……鳥だ。でっかい鳥。


「「ルイフ様!」」


 村長と長老が声を揃えて言う。


 え? ルイフ?

 ルイフったらあれだよ?

 金虎と同じ【王種】の一柱だよ?

 虹炎鳥ルイフ。

 ……そうなの?

 うん、確かに虹色の炎を纏った鳥だ。

 【王種】とかカーバンクルとか【王種】とか竜とか……もう勘弁してー。

 村長達は知り合いなのかな?


(お初にお目にかかります。太陽の申し子(サージェビクシュ)、アレン様。私はこの世界の【王種】の一柱、ルイフというものです。古代語で『運命』の意味です。)


 太陽の申し子?

 なんだそれ。カッコイイな!

 そしてルイフって運命って意味なのかぁ。

 これもカッコイイな!

 おっと、そうじゃない。


「それで、【王種】の一柱のルイフ様がなんでこんなところに?」

「コ、コラ! 口の利き方に気をつけなさい!」

(いえ、いいんですよ。先程までならともかく、今は私よりもアレン様の方が尊き存在ですから。)

「……そういうことでしたら」


 尊き存在ってどういうこと?

 位が高いってことかな? 【王種】より?

 誰が……僕が!?

 もう訳わかんねーなコレ!


 ─アレン、落ち着いて─


 って言われても


 ─ともかく、今はルイフの話を聞こう─


 まぁ、そうだな


 ルビアスに宥められ、落ち着きを取り戻すと見計らったかのようにルイフが説明を始めた。ルイフの火は暖かく、洞穴の中をとても居心地いい空間へと変えてくれる。


(私がここにいるのには、いくつか理由があります。)


 そう言うと、ルイフはブランドンとジョンを交互に見た。


(それにしても、やはりここはいい所ですね。)

「どういうこと?」

(そのまんまの意味ですよ。蟲人族と人族が助け合って生きている。ここはとても素晴らしい村です。)


 突然何を言い出すのかと思えば村のことを褒めてくれた。

 けれどその言い方は少し気になる。


「ごめん、余計にわかんないかな。だって、今の言い方だと、この村以外は蟲人族が人族と共存できていないってことにならない?」

(その通りです。)

「え……?」


 蟲人族と人族は、小さい頃から一緒に暮らす同じ仲間のような存在だ。外の世界では共存出来ないのかという疑問を肯定されたことがあまりにも信じられない。

 ブランドンとジョンも僕と同じようで固まってしまっている。


(これはまたあとで話しましょう。今はまず、私がここにいる理由についてですね。)


 目を細めてルイフが笑う。


(私はこの村の守り神なのですよ。)


 ん?

 んん?

 んんん?

 んんんん?

 んんんんん?


 今僕の頭には?しかないだろう。

 王種が村の守り神?


(……端折りすぎましたか。)

「はい、そうですね」


 どう頑張っても今の一言でなるほどとはならないだろう。

 ルイフはどこから説明すべきか悩んでいたが、すぐに話し始めた。


(最古の文明が興った時代、その時から蟲人族は迫害を受けていました。)


 ……はい。


(ですが、とある一つの国だけは蟲人族を受け入れ、共に共存繁栄をしていたのですよ。)

「それがガスティグ村?」

(その通りです。人間のことをよく見てきた私はその行い、覚悟に感動し、その国だけはなにがあっても守りきろうと決意しました。そのために、まず国の周囲には山脈を創り、その山には強い魔物に住まわせました。また代々国を守っていけるよう魔法猫達と交渉を行いました。山と魔物のおかげで、蟲人族を迫害するような外界の者は立ち入ることが無くなり、魔法猫のおかげで、些細な事故も少なくなりました。結果、外界からの交流はなくなり発展は見込めなくなり国は規模を小さくして村へと姿を変えました。それが今のガスティグ村です。しかし、国は衰退しましたがこうして今も蟲人族との共存繁栄ができる良い文化が残っているのです。)

「ふむ、それで守り神か。」

(納得していただけましたか?)

「そうだね。」


 確かに王種の加護があるだけで、この村は安全だしね。

 今の話を鵜呑みにするなら、この王種は本当に守り神だろうな。

 国が衰退したことは良くないのかもしれないけれど、今の僕たちにとってはあまり重要では無いしな。


「あれ? 外界からの侵入はないって……ドロフィンさんは?」

(あぁ、彼は凄いですよ。危険度7ともなる魔物達を相手に勝ってしまうなんて私も驚きました。最も、黄金騎士の称号を持っていることから、実際の実力は分かりませんがね。)

「え? 黄金……騎士?」

(あれ? 知りませんか? 騎士階級で最上位の位ですね。)


 いやそこじゃなくて……


「村長! ドロフィンさんって旅商人じゃ?!」

「あれ? 言ってなかったか? ドロフィンの家名にあるゴールドは王から直々にもらったとかって」

「なにそれ……初めて聞いた」

「す、すまん」

「はぁ、いいよ」


 こんだけ長いこといて気づかない僕も僕だなと、大きくため息を着く。


(彼は最初、この村の存在なんて知りませんでした。当然ですがね。ただ好奇心で、こちら側にやってきたのでしょう。)


 何やってんだ。黄金騎士。

 ニヤリと笑うドロフィンさんの顔が浮かぶ。


(そして、この村を見つけた。初めは戸惑っていた様ですが、村の人々の優しさに感動し、私同様守りたいとでも思ったのでしょう。それからは村人に剣術を教えに来るようになりました。)


 ほう。


(黄金騎士による指導のもと、この村の人々の戦闘能力は格段に上がりましたね。蟲人族はもともと身体能力は凄まじいですし。)

「ちなみにどれぐらいなの?」


 すごい気になる。


(恐らくですが、この村の住民だけで大国すら簡単に落とせますよ。)


 ワクワクしていた僕の耳に届いたその現実に、衝撃で軽く殴り飛ばされかけた。

 聞かないことがいいこともあるって、こういうことね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ