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さて、ニキータ、ラビ、ガニー、サシャの4匹のしもべ妖精がいるなかで、サシャだけが魔法の薬の入ったこびんを持っています。アーニャは赤、緑、黄、青色の服を着ている妖精のなかから、サシャが誰かをあてなければいけません。
(4匹のしもべ妖精のうち、うそをつくのはガニー。そしてガニーはぜったい、口を出すのよね)
しゃべったのは黄と赤と青色の妖精です。アーニャは考えます。
(黄か赤か青の妖精のなかに、うそつきガニーがいるんだわ。もし、黄色がガニーだとしたら? 赤と青の言ってることがほんとうになるのよね)
アーニャは頭の中でさっき聞いたことをまとめてみました。
黄色の妖精「赤いのがラビだ!」
赤色の妖精「おれはサシャじゃない!」
青色の妖精「ニキータは緑だ!」
(もし、黄色がガニーだとしたら、赤い妖精はラビじゃないのよね。そして他の妖精はほんとうのことを言っていることになるから、緑の妖精がニキータ。赤い妖精はサシャでもラビでもなくて、ニキータでもガニーでもないから……あら? たいへん、だれでもなくなるわ)
どうやら黄色はガニーではなさそうです。アーニャは次を考えます。
(もし、赤色がガニーだとしたら「おれはサシャじゃない!」っていうのは、おかしいわね。うそつきガニーがうそをつかないで、ほんとうのことを言ってることになるもの)
ここまできたら、アーニャはすっかり、わかってしまいました。
(ガニーは青色の妖精なのだわ。だとしたら黄色の妖精はほんとうのことを言っているから、赤色の妖精はラビ。のこりの黄色と緑のうち、ニキータは緑じゃないから、黄色。つまり、)
最後は、声に出してアーニャは元気に言いました。
「緑がサシャね!」
左から2番目にいた、緑のふたまたぼうしの妖精を指します。
「あたり!」
とたんに、緑色の服の妖精が列から飛びだして、あわててアーニャが広げた手のひらの上に、こびんをおとしました。
「おまえ、ガニーがうそつきだと知っていたのだね?」
女王さまはちょっとだけくやしそうでしたが、それでもアーニャのかしこさに、感心しました。
「よく、ここまでひとりきりで、がんばったものだ。魔法の薬は、持っていくがよい」
「ありがとう女王さま。だけどね、わたしひとりきりじゃ、ないのよ。ヤマネコさんと、ヒツジさんと、リスさんが助けてくれたの。それと、やさしいパチェリャーチが、なぐさめてくれたおかげよ。おかげでわたし、ここまで来られたの」
「それがわかるなら、おまえはほんとうの、かしこいものだ」
女王さまはまんぞくそうに笑って、アーニャの小さな体を空まですくい上げ、森の入り口においていきました。
アーニャが家に帰ると、お父さんも帰ってきていました。朝から日が暮れるまで、いなくなっていたアーニャをみんなが心配していました。
アーニャは森の女王さまに会ってきたことを話し、もらったこびんのフタをあけ、透明な魔法のしずくを、お母さんの口の中にたらしました。
みるみるうちに、お母さんの顔色は暗い土の色から淡いピンクのいい色へ。ソファから起き上がったお母さんを、お父さんもおじいさんもおばあさんも、もちろんアーニャも、なみだをながしながら、だきしめました。
初雪が降りた日、アーニャに弟が生まれました。
アーニャがはじめて見たとき、弟はやわらかいうぶぎにくるまれていました。その隙間から見えた青色のひとみに、アーニャはびっくりします。そしてすっかり、わかってしまいました。
「あのやさしいパチェリャーチは、わたしの弟だったのね!」
お父さんとお母さんは、たくさんがんばってくれたアーニャに、弟の名前をつけてもらうことに決めていました。アーニャは少しのあいだ、目をつむって考えて、やがて紙にさらさらとなにかを書き、弟に見せました。
「これが、あなたの名前よ」
そこにはこんなふうに、書かれていました。
『ひとつひとつは、とがっているのに、やわらかいもの。あたたかい春のまえぶれ』
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季節がめぐり、4度目の春のころ。
女王さまの住まう森のそばの小さな村では、かわいい姉と弟が、緑の萌える丘の上を、なかよく遊びまわっている、ほほえましい光景が見られるようになりました。
ナゾナゾ引用(一部改変して引用)
・スローンとマクヘールの謎の物語
・なぞなぞ特集http://www.nazo2.net/tokusyuu/016.html




