第六話 オフ会 その1
今日はオフ会です。
オフ会は、会場である喫茶店「マハラジャ」を貸し切って行われます。
え? 何のオフ会って? そんなの「魔法インド少女ナマステ」のオフ会に決まっているじゃないですか。何を隠そう、僕は「ナマステファンクラブ」の副会長なんです。ちなみに、会員番号は二番。作者が同人でマンガを書いていた頃からのファンなんです。他の奴らとは年季が違いますよ。
ちなみに、彼女もオフ会の様子が見たいって言っていたので一緒に連れてきました。
今回は頼みに頼み込んで、彼女にはナマステちゃんのコスプレをしてもらっています。性格はアレですが、彼女は驚く程の美少女ですからね。ナマステちゃんのコスプレも良く似合うんです。その姿は、まるでテレビからナマステちゃんが飛び出したかのよう。ああ、皆の驚く顔が目に浮かびます。
「お、ブラフマン氏じゃないですか」
「そう言うあなたは、ダイバダッタ氏」
このメガネをかけた幸の薄そうな人こそ、ナマステファンクラブの会長であるダイバダッタ氏であり、この喫茶店マハラジャのオーナーでもあります。ちなみに、僕のハンドルネームはブラフマン。ブラフマンとは、魔法インド少女ナマステに出てくる、ナマステちゃんのお師匠さんで、ダイバダッタとはナマステを倒そうとする悪の秘密結社のボスの名前です。
「お、その今着ているTシャツは、半年前に限定販売されたナマステTシャツですな」
「おお、さすがブラフマン氏、お目が高い。実は今回のオフ会の為に、保存用に買っておいた十枚ある内の一枚の封印を解いたんですよ。ちなみに、ブラフマン氏の手に持っているそのステッキは、第二十六話でブラフマンがナマステちゃんに渡した、『ゴーダマ・ステッキ』ですな?」
「なんと、このステッキを一目見て言い当てるとは、やりますな、ダイバダッタ氏」
「いやいや、ブラフマン氏こそ」
「いやいや、ダイバダッタ氏こそ」
「いつまでオタクくせぇ話をしてやがる。さっさと始めろや、クソ豚どもが」
彼女の一言で、あれほど和やかだったその場は、一瞬にして凍りつきました。
僕の彼女はドSです。