王大人
「実はあのロジウムは以前、中国からアメリカにこっそりと
運び込まれていたもので値上がりを待っていたんだ」
「大丈夫ですかね?」
「亮は気付かなかったかもしれないが彼らは
ロシア人で武器を持った仲間が隠れていた。
申し訳ないが取引が終わった後の事は我々が関知するものではない」
「そうですね」
亮もコンテナの陰に隠れていた男たちを目視していた。
「来たぞ!」
後ろを見張っていた翔記が猛
スピードで追ってくるSUVを見つけた。
「さっきいた三台と車種が違いますね」
ルームミラーで亮も確認した。
「くそっ!新手か」
その車は今にもぶつかりそうなスピードで近づいてきた。
「間違いない。追手だ。あんなスピードでニューヨーク
市内を走ったら警察に捕まるぞ」
「こちらもスピードをだしますか?」
「いやまずい、もし警察に捕まったら800万ドルを
持っている理由がばれてしまう」
亮は悩み倦んでいると
「カンカンカーン」車に当たる弾丸の音がした。
亮はアクセルを踏み込み前を走る車との車間距離を20cmにすると
ハンドルを右に切って車線を変えた。
「おい亮、そんなに近づくと危ないぞ!」
「すみません。4000回転以下にできないので、
掴まっていてください」
亮はエンジンの回転数を下げずに車の間をすり
抜け後ろから追って来る
SUVを引き離して行った。
ミラーには体を乗り出して
AR15ライフルを構える男の姿が見えた。
「だめだ」
そう言って亮は裏路地に入りライトを消して止めた。
「亮!どうするつもりだ!」
隣に座っていた文明が亮の肩をつかんだ。
「このままでは通行人やほかの車が巻き添えになってしまいます」
亮そう言って手首をくるくると回した。
「亮、素手で戦うつもりか?相手は銃を持っているぞ!」
「わかっています。でも接近戦なら」
「ま、待て。今助けを呼ぶ。この車は防弾ガラスだから安心だ」
文明はスマフォを手に持った。
「いいえ、この車のガラスはレベル1で9mm弾対応ですから。
マグナム弾やショットガンで撃たれたら、一発で穴が開きます」
「それはヤバい」
翔記は後ろを振り返った。
「奴らが来る前に車から降りて待ち伏せしましょう。
奴らの中に飛び込んでしまえば相打ちを避けて
発砲はできないはずです」
「そこで接近戦か・・・」
「亮ほら」
後ろの席から翔記がカンフーで使う棒(棍)を亮に渡した。
「取引現場で使うかと思って用意しておいた」
文明は三つに折れた三節棍を手に持っていた。
「ありがとうございます」
亮にとって三人が繋がった気持ちで、怖いものが無くなっていた。
「ところで亮、棍は使えるのか?」
「あ。使い方は日本の木刀と多少違いがありますが目的は一緒ですから」
「あはは、そうだな。目的は一つ,敵を倒す」
笑って文明は三節棍を持って裏路地にある巨大なゴミ箱の後ろに隠れた。
「亮、ケンドーやフェンシングは直線的な動きだがカンフーは円の動きだ。
俺たちをよく見て学べ。まあお前に余裕が有ったらだがな」
「わかりました」
翔記は車から降り文明の向かい側に隠れ、
亮は車の後ろに隠れた。
そこへ猛スピードでのSUVが来て止まり、
8人の男が銃を構えて降りて
亮たちが乗ってきた車に銃口を向けた。
「いないぞ!」
その声に男たちは警戒し周りを見た。
その時亮は車を飛び越え男たちの中に飛び込んで
棍の片手で持ってぐるぐると振り回し男たちの中に入った。
相打ちを避けるために男たちは横並びになった瞬間。
「わお、やるなあいつ」
文明が声を上げゴミ箱の陰から飛び出し
後ろから男の一人の銃を三節棍で叩き落し、
折れた三節棍で胸を突いた。
突然後ろから襲われて八人の男たちは混乱すると
翔記は二人の男の後頭部を続けざまにたたき気を失わせた。
亮はすかさず、目にて叩き落とすと車の下に滑らせた。
「くそ!」
男たちの五人はナイフを出し文明の前に二人
翔記の前に二人、そして亮の前一人が構えた。
亮はそれを見て棍放り投げた。
「これで五分五分ですね」
亮は右に動くと男は窮屈そうに亮にナイフを向けた、
亮は男の右手を左手で掴みさらに右に動き
ふらついた男の足を蹴り上げて地面に倒し
両手でその手をひねり上げナイフを取り上げると
その腕を折りたたみ男の体の後ろで持ち上げた。
「ギャー」
男は何があったかもわからないままチキンアームロックの
激痛で声を上げた。
亮は昼間教わった技を試し男の戦意を失わせた。
「亮をこっちを見ておけ」
文明の三節棍は蛇のように男たちの体に絡みつき
首筋を叩き気を失わせていた。
翔記は円の動きで相手の攻撃をよけ、
棍で男ののどを突いた。
「さあ、行こう」
亮たち三人は素早く車に乗って走り出した。
「奴ら何者だったんでしょうね」
「戦闘訓練を受けていない様子だから、
暴力で支配している街のギャングだろう」
「問題はどうやって情報が漏れたかが問題だ」
翔記はそれが気になってしょうがなかった。
「とりあえず八人全員の顔写真は撮ってありますから、
警察で調べてもらいましょう」
「あはは、亮の人脈は特別だな」
文明は亮を頼もしくも、恐ろしく思っていた。
チャイナタウンに入ると文明が道案内し周りをもう一度確認した。
「そこを右、倉庫があるからそこに車を突っ込んでくれ」
「了解」
亮は倉庫に車を止めるとすばやくシャッターを下ろした。
すると十数人の男たちは現れた。
「ここまで来たら一安心だ!金を降ろすぞ」
文明はトランクを車から降ろすと男たちの間から老人が姿を現した。
「ご苦労だったな。劉文明、翔記」
「いいえ。こちらが仕事を手伝ってくれた私の友人、團亮です」
「初めまして、團亮です」
亮は翔記に習った中国語で挨拶をした。
「おお、これはこれは。王全櫂です」
王全櫂は手を差し出し亮と握手をした。
「この方がチャイナタウンのボスだ。ニューヨークで
何かあったら王さんに相談すると良い」




