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グッド・ジョブ エピソード0  作者: 渡夢太郎
五章 ナチュラル・グリル
118/132

内藤さん

「そうだったのか・・・わかった。すぐに調べてみる」

「それから、敦子さんに残された体液のDNAデータを送ってください」

「わかった。それは亮のメールアドレスで良いな」

翌日、亮はボストン警察のフレイザー警視から敦子の中に残された体液

のデータを送ってもらった。

送られたデータには血液型がO型そしてDNAも取れている為に

疑いのある男の口腔細胞、毛根、吸い殻、歯ブラシ、ヒゲソリ、ガム

、コップ、ペットボトルから採取出来て

一致すればそれは犯人と特定できる。


~~~~~

亮は森に電話を掛けた。

「ボストン警察から犯人のデータが送られてきました。

犯人の身長は185cmから195cm、血液型がO型です。

扼殺で敦子さんの首に残った手の大きさ、

DNAのデータも来ています」

「了解、内田監督はO型、井上コーチはO型、神田コーチはB型です」

「後はDNAですね」

「令状もないのにDNA採取はできないな」

「タバコは吸っていますか?」

「やはりスポーツ選手だったからタバコを吸っている様子もない」

「ガムは?」

「ちょっと待ってくれ!・・・内田監督がガムを噛んでいたぞ」

森は写真を撮っていた時を思い出して言った。


「ペットボトルは?」

「選手はスポーツドリンク用ボトルを持っていたが、

コーチ陣は全員ペットボトルで飲んでいた」

「わかりました。ペットボトル全部回収しましょう」

「マジか?監督、コーチ、トレーナー全部で七人いたぞ」

「七本全部のDNAを調べて一致すれば犯人は七人の中にいるわけですから。

 すごい確率です」

「なるほど、それは正しい」


「なるほど、それもそうだ。ところでDNA検査は科捜研は使えないぞ」

「もちろん、民間でやります」

亮はDUN製薬の研究室でやるつもりだった。


「ところで森さん今日の練習はどこでやっているんですか?」

「今日は府中体育館です」

「そうですかわかりました」

「私はどうしたら?」

「ペットボトルの回収はお願いできませんから考えておきます」

「わかりました、なんかありましたら連絡ください」

「わかりました」


亮はすぐに秀樹に電話を掛けた。

「お父さん、清掃会社に知り合いありませんか?」

「ん?あるぞ」

「お願いします紹介してください」

亮は秀樹に懇願した。

「知らなかったのか?日本ビルメンテナンス」

「知りません」

「DUN製薬、美宝堂、うちの持ちビル、そのほか数百の

掃除を受けているうちのグループ会社だ」

「そうだったんですね」

亮はまだ自分の親の会社を把握していなかった。

「それで、どうするんだ?」

「府中体育館の清掃業者に入りたいんです」

「ん?清掃員をやるのか?」

「今日一日で良いんです」

「まったく何をするんだか・・・」

「後で説明します」

「わかった。少し待ってくれ」

亮が電話を切ると秀樹から電話が有った。


「亮、手配が付いた。府中清掃と言う会社の

アルバイトで入れ!13時から19時まで

時給1100円だそうだ。バイト料は

月末に口座振替いいな。体育館の裏口に

加藤と言う主任さんから制服を借りてくれ」

「はい、ありがとうございました」

亮はすぐに新宿に向かい京王線に乗って府中駅で降りた。

「亮さん!」

駅前で車の脇に立って手を振る男がいた。


「あっ、中島さん」

亮が駆け寄ると運転手の中島が車のドアを開けた。

「どうしたんですか?」

「ちょっと府中競馬場に用が有ってきたら、

亮さんを府中体育に乗せてやってくれと社長に

言われました」

「ありがとうございます」

後ろの席に座ると不思議そうに聞いた。


「競馬場に何の用ですか?」

「来週出走のダイヤモンドスターの様子を見に」

「知り合いの馬なんですか?」

「お父様の馬ですよ」

「知らなかった・・・」

亮は馬主になる事は支出ばかりで儲かる事が無いので興味が無かった。


「馬主は名誉欲の塊ですよね」

「あはは、そうとも言えませんよ。

美宝堂のお客様をオーナー席に招待して

 喜ばれているようです。私も日曜日に府中と中山競馬場に

お客様をお連れしています」

「ああ、なるほど大変ですね」

秀樹は顧客サービスに色々な方法を取っているのが分かった。


高級外車から降りた亮は府中体育館の裏口

へ向かった。

「すみません」

亮がドアを開けると加藤と言う胸章を付けた男が立っていた。

「團です」

「はい、加藤です」

加藤は亮に制服を渡すと通路の奥を指さした。


「ドアの向こうにロッカーが有るから着替えが終わったら荷物を入れて

 ここへ戻って来てください。作業の段取りを教えます」

「わかりました」

亮は急いで着替えて戻った。

「我々の仕事は体育館フロアーの清掃、客席、トイレ、ゴミ箱の清掃でゴミが出たら

 この先の収集所に置くこと、詳しくはそこにいる女性、内藤さんに聞いてください」

「わかりました」

亮はすぐに内藤の所へ行った。


「團と申します、よろしくお願いします」

「はい、内藤です。よろしくね」

頭に三角巾をした内藤は40歳半ばの主婦のようで、せっせと掃除をしていた。

「僕は何をすればいいですか?」

「そうね、あらかた掃き掃除は終わったので客席のシートを雑巾で拭いてくれますか?」

「はい、わかりました」


亮はシートを雑巾で拭きながらもう始まっている練習を時々見て

監督、コーチの方を見ていた

内田はコートの脇の審判席に座り選手の練習を見ていた。

亮は時々顔を上げ手内田監督の口元を見てガムを噛んでいるのを確認した。

日本人のガムを噛む平均時間は15分から20分と言われている。

そしてガムの銘柄、噛んでいる時間を計っていた。


「17分か・・・」

噛み終わったガムは紙に包むと神田が近づいてきた

それを受け取ってアリーナから出て行った。

亮はその行き先を見ると陰になって見えなくなっていて

慌てて客席から降りて神田の行き先を追った。

神田はトイレの方へ向かい亮が追いつくと

スチール製のごみ箱の回転部分が

クルクル回っていた。

「失礼します!」

亮はトイレに入り便器に向かって用を足している神田に声をかけた。

神田は亮の方を一瞬むきまた自分の物を見ていた。

亮はゴミ箱の蓋を開け中を覗いた。


「あっ?無い」

神田は途中でガムを捨てたに違いなかった。

亮は自分の記憶をたどるとアリーナのベンチ脇に

ゴミ箱が有るのを思い出した。

亮はベンチ脇のごみ箱を後で片付けるとして

客席に戻って掃除を続けた。

コーチたちは時々ペットボトルを飲んでいたが


同じ銘柄のスポーツドリンクだった。

「ああ、全部同じか・・・」

内田の噛んでいたガムを入手できれば確率がかなり高くなる事に

亮は安心して掃除を続けていた。

次第に増えるファンの女性たちで客席は埋まっていき、

椅子の拭き掃除を中断せざるをおえなかった。

「内藤さん次はどうしますか?」

「ベンチ脇のごみ箱のごみを回収してきてくれるかしら?」


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