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リトライチケット  作者: アクイラ(((・・;)
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第六フロアは未確定について   〜 王の帰還 〜



 

   【雨宮宅】


 夜刀神の宣言によりクリアを迎えた《エンペラーオンライン》。 

 その中でも《十傑》による功労は大きく雨宮を含めたプレイヤーアカウントは世界中で注目の的となり、取り上げていないテレビ局を探す方が難しい状況になっていた。

 白鳥姉妹や羽生のようなテレビの露出をしていたものは矢面に立たされる機会もあったが、事務所の鉄壁の防御でメディアによる不躾な質問をシャットアウト。知名度だけを爆上げしている商魂の逞しさを見せている。

 それは他のプレイヤー達へ奇異の視線を向かせないための彼らなりの配慮だろう。


「またか」


 《エンペラーオンライン》クリアの立役者ヒーローである雨宮を始めとした、生き残りのメンバーには世界中のプロゲーマーチームからのスカウトメールが連日届いていた。

 製薬会社に勤めていたカチュアこと片倉かたくら唯華ゆいかにすら声が掛かるほどだ。


「・・・涼真ぁ」


 項垂れるような姿勢で雨宮に寄りかかる雪原。

 彼女もまた奇跡的な登場で助太刀と貢献を果たした立役者の1人。


「・・・メール面倒くさいぃ〜」

「忍のとこにも来るよな。竜也は?」

「FPS系の打診がかなり多いな。お前らも似たようなもんだろ?」


 悪びれもせず冷蔵庫から飲み物を強奪する天童。

 だが雨宮を始めとした生き残りのプレイヤー達は、クリア後に警察からの長い長い事情聴取を終えてきたばかり。緊張の糸を緩んでしまうのは仕方がない。


「凪月ちゃんはどうなった?」

「ゲームのキャラクターが現実世界に出てきたって言って信じてもらえるか?」


 夜刀神の姿はプレイヤー、視聴者含め確認している。

 だが永続の中では彼女はキャラクターとして死を迎えているため、警察の監視下に置いた上での保護観察処分となっているはずだった。

 『全クリ』して疲労困憊の中、1人の人物が雨宮宅を訪れた。

 警察手帳に記されていたのは八雲やくもはじめ

 聞けばいつの間にか家に上がり込んでいた剣持源一郎は警察学校の剣術指南を行っているとか。

 そんな2人の計らいで夜刀神の処遇は『雨宮宅での厳重監視』となっている。

 結果的に、今回の事件の真相を知るのはごく一部となった。


「何にせよ、《エンペラーオンライン》はクリアしたんだ。それでいいだろ」


 濃密過ぎた時間が終わってしまった分、どこか空虚な部分が生まれてしまう。それほどまでに没頭できてしまったことだけを見ればゲームとしての評価は高い。

 雨宮の現実世界に持ち出した【スキル】も【大罪の指輪】は砕け、【スキル:万物創造】は凪月を創造したことで消滅。【スキル:時間回帰】だけはまだ使えるようだが、厄介事の火種になるため使えない。

 

「・・・全員の力がなかったらこの空間はありえなかった。・・・だけどこの『L・A+』って人のサイトだけはどうしても謎だよね?」

「凪月ちゃんも関与してないんだろ?」

「はい。そのサイトについては知っていたのですが、プレイヤーとの連携アカウントなど並行して調べていたんですけど一切の引っかかりがありませんでした。プレイヤー外であれだけの情報量を網羅しているとなると脅威でしかありません」

「てっきり凪月ちゃんが手を回しているとか思ってたんだけどな」


(凪月ですら観測できない情報網を持った奴がいたとして、道楽であそこまで詳細なデータを集めていたとは考えにくい。となると)


「《エンペラーオンライン》は誰が作ったか分かるか?」


 それは核心に迫るものだった。

 ようやく取り戻した平穏のなかで残ったしこり。


「製作者は分かりません。けど本来エンペラーオンラインは普通のゲームでした。私もゲームのバランサーとして機能して様々な敵やアイテムを生み出して盛り上げるために存在しました。ですが1周目を経て崩壊に飲まれた有力なプレイヤーを巻き込む形で2周目が始まり今に至ります」

「つまり製作元が潰れてない以上の第2、第3のゲームが起こる可能性があるってことだよな」

「まぁ何にせよ、いまはクリアを喜ぼうぜ」


 暗くなった雰囲気を払拭するように天童が告げると来訪を報せるチャイムが鳴る。

 玄関のドアを開けると、そこにはパーカーのポケットに手を突っ込んだ青年。

 圧倒的な威圧感を身に纏い出で立ちだけで只者ではない『何か』を放っている。


「どちらさまですか?」

「余だ」


 終わってなどいない。

 警告を鳴らすように現れた人物が、そう語っているように雨宮は感じた。



   ーーー  第一章  完   ーーー

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