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穀潰しと言われた聖女は自給自足する   作者: ハバネロあんこ
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水路を作りましょう


完璧な旅立ちとは行かなかった、何もかも初体験なのだから穴があって当たり前だった。

もう少し食糧を持つべきだったと・・・・

十分蓄えていたはずの保存食はとうに消費してしまった。

「ドライフルーツとジャーキーをあんなに買い込んだのに」


サンディが作ってくれる謎ご飯と、どこから獲ってくるのかマールが釣って?きた魚で凌いできた。

南方をジェスチャーで示すので、おそらく海へ行ってるようだ。

私には地平線しか見えないんだけど。


朝早く飛び出し夕方に帰ってくるマール、砂塵を吹き上げとんでもスピード移動している。

時々彼らのメンテをしてるんだけど、たまに貝殻が足裏にめり込んでいたりする。


「無茶しては駄目よ、心配なのわかる?あなたは砂で出来てるの壊れたら泣いちゃうからね」

マールは頭と胸に手を当て、お辞儀をして返す「わかりました」というジェスチャーだ。


創造強度は金剛石をイメージしたから簡単には壊れないとは思うものの、やっぱり心配ですよ?

確かに硬いけど、衝撃に弱いの。

友として産みの?親として心配なんですよ。



「君たちはご飯食べないけど、動力ってやっぱり私の魔力なの?」

3人は巨体を揺らしわからないのポーズをした。


私達は言葉を交わせないので、いくつかジェスチャーを作り意思の疎通を図った。

いま彼らがやったポーズは肩を竦め「わからない」という意思表示だ。


「うーん、そうよね。案外太陽光か熱を動力にしてるかも?」

魔力を吸い取られる感覚はない、彼らが元気で動いてくれるのならなんでも良いんだけど。





「今日はね、水路を作ってみようと思うの」

本当は一気に開拓したかったけど、砂漠を甘く見てはいけないと猛省した。

せっかくの種が死んでしまっては困る、というか私が餓死してしまう。


あれから地下水は枯れることなくコンコンと湧いていて、沼程度になって来たので引くことにした。

沼の周りにはどういうわけかコケが蒸し、草花が生えてきていた。

雑草の種がここまで飛んできたと?それはちょっと無理がある、悪魔の鍋に栄養なんてないでしょ?


どうやらゴッツの仕業らしいが、素知らぬ顔で草花の手入れをしている。

バレバレなんだ、だって黒土が沼周辺に不自然に盛ってあるんだもの、そして手足にたまに黒土がくっついてた。


「わあーこんなところに花が咲いたわ!」と大袈裟に喜んだ時、ゴッツは凄く嬉しそうに笑んだ。

ほんと、人間のように感情があるんじゃないかと期待しちゃう。


***


私はみんなに石板に書いて施工作業の説明をした。

とはいえド素人、こんな感じでヨロシク程度。


マールとゴッツは張り切ってガツガツと掘ろうとするのを慌てて止めた。


「砂はサラサラですぐ埋まっちゃうの!わかる?」

二人はションとした、近頃は目らしき窪みが出来て余計に人間臭い。

つぶらな瞳?が悲し気に下がった。


「とりあえず幅50cmで5mくらいで作ろう・・・うーん畑用だし全長30m分くらい?」

目を瞑り土管をイメージして砂に手を着いた。


音もなくそれは浮かんできた、まるで砂に埋まってたかのように。


「うん、強度も良さそうね!じゃあ二人ともこれを・・・え?」

マールがまったく同じ土管状のものを2本作って、ゴッツが肩に乗せ並べ始めていた。






「ふぅ・・・やること無くなっちゃったわ」

口を尖らせて、沼の前に設置した丸テーブルにダラしなく凭れ二人の作業を眺めている。

「開拓楽しみにしてたのにぃーー」


慰めているのかサンディがメロンジュースを作ってくれた。


「冷たくて美味しい!ありがとうサンディ」

サンディは首をチョコンと下げた「どういたしまして」の意味。


近頃サンディはお菓子やジュースまで創造してしまう。

かつて私が飲食したものばかり、私たちは繋がっているのだと確信した。

材料がないのに作れるなんて、おかしいのだが。



「ねぇサンディ女の子だけの遊びをしてみない?」

「・・・?」サンディは肩を竦めた「わかりません」のポーズ。




「うふふ、あのね」
















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