畑と砂嵐
マールとゴッツが身振り手振りで会話し土管を繋げていた頃。
白絹宮殿では二人の女子?がはしゃいでいた。
白絹のような外壁だったのでそう名付けたのだ。
いまでは調度品は作られ生活空間は充実していた。
お気に入りは共有スペースの山型の白パンのようなフワフワソファだ。
人をダメにするソファである。
いまはその奥のベッドルーム。
彼女たちは、お互いに似合うリボンやドレスを創造しては着せ替え遊びを楽しんでいた。
別にねサボリじゃないですよ、開拓からハミコされたんだもの仕方ないでしょう?
サンディは淡い虹色のワンピースドレスを纏い、空色のウィッグを被ってクルクル踊っていた。
長身の彼女はとても綺麗で仕草がとても可愛かった。
ただ、相変わらず体の線がカクカクとしていたのは御愛嬌。
「サンディ素敵よ、雨上がりの女神みたい」
そういうリモネルは若葉色に小花を散らしギャザーでふんわりしたドレスを纏う。
コンコンとドアが叩かれオシャレ遊びは終了。
「残念、爪色も変える予定だったのにー」
サンディはまた今度というようにウィッグを外してお辞儀をした。
あぁ楽しかった、王城にいた時は地味なものばかり着せられてつまらなかった。
『リモネル様はお顔がきついので、花柄はあいません』とメイドが着せてくれなかった。
いま思えば嫌がらせだったのかも。
妹は華やかな薔薇の花弁のようなドレスを良く着ていた・・・・。
「べつにもう無関係だわ」
リモネルは頭を振りマールとゴッツの元へ向かった。
***
土管は見事に繋がり、左右の穴からサワサワと水が滴っていた。
「ご苦労様マール、ゴッツ。でも畑を作るのは任せてね?」
二人は肩を竦め頭を左右に振った「仕方ないなー」と言いたいようだ。
「うん、まずは根を大きく張るサテツとナツメヤシを植えましょう」
砂の動きを止めなければ水も養分も安定しない、砂漠の厄介なところである。
「ふふっ、あの店で買った種がようやく活躍するのね!」
熱帯に育つ植物の種子のほとんどを買い占めていた、店主には怪訝な顔をされて困った。
「そういえばこの赤茶のものは植えても良さそうかな?」
王都植物研究所でも匙を投げたのだ、些か不安である。
ただで貰った種子?なので失敗しても痛手はないのだが。
リモネルは逸る気持ちを抑えられず、雨雲を創造して一気に周辺を湿らせた。
マール達がアワアワと両手を振って止めようとする。
「だいじょうぶよ!魔力切れは気を付けるから!ちょ・・・信用ないなあ」
初日にやらかした身としては、言葉が尻窄みしてしまう。
マールとゴッツが畑予定の周囲を砂が流れぬように穴のない土管で囲う。
もちろん地中も動かぬように縦刺しの長い杭も忘れない、畑周囲50m四方に縦杭を数十本ほど打ち込んだ。
それでも若干流れるようで、深く打ち付けた杭が斜めになってる箇所が目立つ。
やっぱり植物の根が必要なようだ。
「サンディ、種蒔き手伝って。マールとゴッツは杭を監視してて」
サンディが杭を打ち付けた隙間に等間隔でナツメヤシの種を撒いていく。
私は畑の四方にヤツデを撒きつつ雨の調整をしていく、種が流れては失敗しちゃうから。
いまは霧雨のように降らせているので暑さも凌げた。
保存用以外の種を撒き終え一息つこうとした時だった。
砂嵐が此方に向かっているのを発見した、3人はパニックになりワタワタと腕を振っている。
「みんな落ち着いて!ドーム状に結界を張ってるから!」
私は結界の強化をすべく祈るように魔法をかけた、
先ほど広範囲に雨を創造したから魔力はギリギリかもしれない。
ゴウゴウ轟音を立てて、それは目前に来ていた、砂を巻き上げながら威力を増したそれは大きな竜巻になっている。
怖い!お願い3人を護って!
巻き上がる砂塵で周囲が暗くなった、地面がドドドドと揺れ恐ろしさがこみ上げ震えが止まらない。
ドオンドオンと大量の砂が結界へ打ち付け弾け飛び、激しい音をたてる。
「ひっ!」と思わず声が出てしまう、すると周囲に気配を感じた。
「あ、あなた達・・・」
サンディが私の手を取り握りしめ、マールとゴッツが左右を護るように座ってくれた。
「ありがとう、優しいのね」
思わず目を潤ませて目を瞑ると、それは幾筋か流れ落ち砂地に模様を描いた。
王城に人は大勢いたけど孤独だった。
今たった3人なのに、こんなにも温かく安堵する存在が愛しくて堪らない。
砂漠の脅威
現実ではシネマスネ




