第7話 明日の予定
「それで此れから店を建てて商売をやって行こうと思う」
夕飯の席で皆んなに宣言する。
「やっていけるのか?」
リリスが聴いてくる。
「逆に俺はそれ以外知らないんだ。アテナの織物に、リリスのポーションじゃ売れないかな?」
「あっはっは、いいねぇ。アラクネの糸で作られた物は高級品だよ!売れる売れる!特に僕が作るなら品質は保証するよ!」
「私も調薬には多少自信があるな。もともとは作ったポーションを他の店に売って稼ぎに貢献するつもりだったし、自分達で売るならそのほうが利益が高いだろう」
「私は何をすればいいのでしょうか?」
「アテナ、いい自信だね。期待してるよ。ただ、最初はあまり高い値段はつけたくないんだよ。まず口コミでお店を知ってもらわなきゃいけないからね。
リリスにもお願いするよ。薬草集めがネックだけど追い追い解決しよう。余裕があれば誰か雇ってもいいかも知れない。
イリムには売り子をお願いするよ。可愛い娘が売り子をやるのは意外と重要なんだ。老若男女問わず受けがいいからね。言葉が一番丁寧なイリムにピッタリだ」
それぞれに役割を伝える。
「そっかぁ、そうだよね〜服なんて普通中古だものねぇ。新品の、しかもアラクネ製なんて大貴族様じゃないと買わないもんね〜」
「なるほど…では薬草集めは冒険者ギルドに依頼するのもありだな…ただ質がなぁ…」
「売り子頑張ります。あと武器や防具は扱わないのですか?」
「作るだけならイヴに頼めば出来そうなんだけど、材料を集めるのがね。材料持ち込みでオーダーなら受けれそうだけど…今度は修理受付が出来ない。作れる奴がいるのに修理はできないのかってならない?」
「分かりました。イヴは秘匿しなきゃですからね」
「材料収集に目処がつくなら是非やりたいね。売れるだろうから」
うん、まぁまずこんな所だろう。
「明日は土地探しと、日用品を買いに行こう。俺はまだこの世界がどんな商売してるか知らないから、その調査もかねて」
「織り機買ってくれるんでしょ?ご主人様」
「主人殿、調薬用の機材もお願いする」
「もちろんだ」
「土地だけで良いのですか?」
「建物はイヴに作って貰う」
「突然建物が出来たら驚かれませんか…」
「あっ!」
やべ、考えてなかった。
「大丈夫だよ。ドワーフとかダークエルフなんかは魔法使って一晩で建てちゃうのが普通だもの。だよねリリス」
「あぁそうだ」
「なるほど、不勉強でした」
「いやいや俺も抜けてたよ。ありがとう」
ここで話を終わって確実部屋にもどる。
部屋に戻ったら俺にはやる事があった。アイテムポーチの中身確認だ。しかし、アイテムポーチは中身をイメージしないと取り出せない。防犯の意味合いもあるらしい。なんとかして確認しないと、アイテムポーチ自体の容量も勿体ないし…
なんて悩んでいるとイヴが
「何かお悩みですか?マスター」
「あぁアイテムポーチの中身が分からなくてな…」
「では私を入れてみて下さい」
「へ?入るの?アイテムポーチって生き物は入らないんだろ?」
「本来はそうですが、今の私は道具ですから、試してみる価値はあるかと。悩んでいても解決しませんし」
そうだな。っと頷き俺はイヴをアイテムポーチに入れた。ってか入ったな。
暫く待ってからイヴを取り出しみた。
「どうだった?」
「はい、中身を解析しましたので表示します」
おぉ〜流石イヴ。万能端末だ。
アイテムポーチの中身は以下の通りだ。
グリズリー(亡骸)258kg
鶏肉 30kg
豚肉 50kg
牛肉 50kg
鉄 100kg
アダマンタイト 80kg
ミスリル 50kg
ポーション 10kg
マナポーション 5kg
木材 300kg
金貨 312枚
銀貨 125枚
銅貨 359枚
鉄貨 520枚
石貨 80枚
奴隷商のアイテムポーチだよな?衣類とかタオルとかないの?日用品の類がなくて鉱石と木材、肉が中心なんだけど?
イヴの話だとこれで容量の90%を使用してるとのことだ。じゃーだいたい1.5tくらい入るのかなぁ?
あ、それとイヴが表示してくれるのは日本語だ。だから単位もkgなどが使われている。この世界の重さの単位なんか知らないよ。追い追い覚える必要はありそうだけど。
「これだけ木材や鉱石があるなら、ダンジョンで店舗を作るのも問題なさそうだな」
「いえ、DPがありません」
あっそうだった。
「夕飯前に俺が話した設計でどれくらい必要だ?」
「大型の魔物一体あれば十分かと…維持費は皆さんが召し上がるご飯の量が三食で足ります」
「なんとかなりそうだな。もう一回アイテムポーチに入ってグリズリー食べちゃって」
「……調理はしないんですか?」
「味わかるのか?」
「分かりませんが、皆さんがご飯食べてる時にちょっと寂しかったです。あぁこれもマスターが名付けしてくれたお陰で自我が出来たらからなんですけどね」
「店が出来たら、ご飯は一緒に摂ろう。今は我慢してくれ」
「約束しましたよマスター」
そう言ってイヴをアイテムポーチに入れる。無機質なのよりいいんだけど、ちょっと面倒かな?イヤ、ないものネダリだな。
ちょっとしてイヴを取り出し、その日は就寝した。