表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/26

対・俺装備→討伐完了

手ノ塚司


横河さん達とのキャンプの日程が3週間後の土日に決まった。


女の子3人、すっかり俺達に打ち解けてくれたみたいで本当に嬉しい。


筒木さんなんか真澄をまぁ攻める攻める。俺の家で呑んで夜明かしした後、次の週には2人で出掛けてるし。


真澄も、友達からかなと言ってはいるが、奴からアウトドアの事を学ぼうとする彼女の姿には好感を持っているようだ。


三上さんと雄一郎も、まぁ上々。雄一郎が若干奥手なのが歯痒いけど、オタクトークで盛りあがってるらしい。


「俺の好きなVTuberを通話しながら一緒に見てて、彼女初めて投げ銭したんですよ」


推しがお色気系のVTuberじゃなくて良かったな。


そして俺は…とある日の土曜日に横河さんに誘われて町まで出ていた。


服を買うのに付き合って欲しいらしい。


あの会社に勤務する女性陣は皆積極的だ…


待ち合わせ場所は新作から古着まで色々な服屋が並ぶストリート傍の駅前。


久し振りに来たけど、店の入れ替わりが激しい場所だから、知らない店も並んでいる。


元カノとはよく来ていたんだけど、懐かしいよりも目新しい感覚。


昼に待ち合わせて、ご飯食べてから買い物。夕方にバイバイか、疲れてなかったら夕飯みたいな流れの予定。


集合時間十分前、俺は駅の壁によっかかって食べログを確認しながら彼女を待った。


6月の陽射しは少し強めで湿度が高い。


喫茶店で待ってたら良かったかな…と、考えてたら横河さんからLINEの着信があった。


駅に着いたようだ。


俺は改札の出口の前に移動した。日陰になって若干涼しい。


やがてわらわらと電車を降りた一団が改札から出てくる。


さてさて、横河さんはどこかな…身長が低めだから人混みの中だと…


「うぉ?」


それっぽい人を見つけて…心臓がハネて…見蕩れてしまった。良い意味で呆然となった。


顔と心で別の動きをさせるのには営業だから慣れているけど…この動揺、顔に出てないか心配で思わず頬をかいていた。


多分大丈夫。


向こうも俺に気付いて小走りで駆け寄ってきた。


雑踏の波のような足跡の中でも、コツコツという彼女の足音は際立っているように感じた。


「やほ、横河さん」


「待たせてごめんね」


目が合うと向こうは恥ずかしそうに目を反らせた。


失礼とは思いつつ、思わず足元から頭のてっぺんまで見ていた。


彼女の格好…赤と黒のチェック柄シャツの裾をラフに結んでいてヘソが見えた。ダメージ加工のデニムホットパンツからは案外筋肉質な足がスラリと伸びていて破れた網タイツを履いていた。


足元は、右足が鮮やかな赤、左足が深みのある黒というアシンメトリーな配色のゴツめな編み上げブーツで、首元にはシルバーのチェーンチョーカーが光る。カバンも黒革でスパイクが釘バットよりは規則正しく生えていた。


メイクも普段の控えめな印象をベースに、パンク風にアレンジしたみたい。黒のアイラインはキリリと引かれ、目尻にだけ赤色のアイシャドウが控えめに乗っていた。唇には、彼女本来の色をほんの少し明るくしたような、控えめなピンクベージュのルージュが引かれていた。


これで口にピアスでも空いてたら…ってか、え?BBQの時の普通の服装は何?


めっちゃ俺の好みなんだけど?


服装の趣味だけで口説いたさっき思い出した元カノみたいな格好…


目を反らせたまま、頬を真っ赤にさせて横河さんが聞いてきた。


「…変…かな?」


「最高だよ、反骨精神をヒシヒシと感じる」


何言ってんだ、俺は。


多分彼女もメイク&着慣れていないのだと思う。こういう格好するなら堂々として欲しいけど…恥ずかしそうにしているのも…とても良い。実に良い。


いかんいかん、これはいかん。


「ごめんね、俺普通の格好で来ちゃった。」


「あ、そんな、謝らないで…普通で良いよ普通で」


あああ、普通とかなんだよ変な空気になるじゃないか。


「ごめん!横河さんの格好が好みで見蕩れちゃって緊張してまともに話せないわ!」


こういう時は正直に言った方が良い。


「なんで俺の好み知ってるの?話したっけ?」


「…勘。そんな感じがしたから」


向こうも落ち着いてきたのか、ようやくこっちを見てはにかんでくれた。


「喜んでくれて良かった」


「最高すぎだよ。ちょっと一緒に写真撮ろう」


とりあえず2人で写真を撮影。


頬を寄せてみたりして…彼女の首筋から漂うのが俺の好きな香水、ジョー・マローン・ロンドンのヤツだ…


やばい、香りまで俺の好みに寄せてきてる…


どきどきくらくらする。


香りにやられたなんて言えないから、慌てて靴に意識を移した。


「…靴なんか特にすごいね、色がアシンメトリーのブーツとか珍しい」


「これ…実は2色分買ったんだ」


「まじで!じゃあ家には」


「そう、反対の色が残ってる」


「すごいね、俺もやろうかな」


「何色でやるの?」


「横河さんが赤と黒だから、俺は白と黒かな。スカルのパンツに似合いそう」


「あぁ…確かに。今日一緒に探してみる?」


と、横河さんが歩き出した。


「調べたんだけど、この辺りってそういうデザインの服が多いんでしょ?」


俺も横に続く。


「色々あるよ。シャツからレザーまで。」


「イヤーカフスも探したいな」


「あるある、シルバーの店も!全部制覇する勢いで行ってみようか」


「おー!」


なかなか素敵なデートになりそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ