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吾輩は神によって殺され悪魔の手によって過去に蘇った  作者: 赤い獅子舞のチャァ(実際の人物及び団体とは一切関係在りません)
大戦英雄記

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番外編 終戦直後の技術開発省 (前篇)

番外編です、長くなりそうなので全編後編に分けますね。

ってかスランプが続いてて中々筆が進まないのですけどなんか良いスランプ脱出ネタは無い物かなぁ・・・

       番外編 終戦直後の技術開発省

1905年 1月 -東京湾中央人工島・技術開発省会議室-

兵科技研最高責任者となった井上少将は、終戦直後に少々へと異例の出世を遂げた坂本空軍少将を呼び出して益田大将閣下の所在を問い詰めようとしていた。

「貴方が最後に閣下と同行して居た事は調べが付いて居るんです、閣下はどうなったのかをお教え願いたい、閣下は我が兵科技研の宝であり生き神様のような方なのだ。」

「井上殿、そうは言われましても、申し訳ない・・・これは閣下との男と男の約束なので、意地でも申し上げられない・・・ただ、閣下はあなた方の知って居る閣下では既に無かったと言って置きます、怒りで髪は既に真っ白、それ以外の容姿も年齢よりもずっと老けていらっしゃった。」

「それは無理も無いだろうな、愛娘を誘拐されては・・・、我々としても、お守り出来る立場に無かった事は非常に心苦しい限りです。」

「ああ、そうそう、戦後処理の手伝いで色々忙しかったので出向けなかったのですが、この度此方に招聘されたと言う事で、やっとこれをお渡しできます、閣下よりあなた方への手紙と、この鍵を。」

「これは・・・」

井上少将が手紙を開くと、そこには第一、第二秘匿基地の所在と詳細、そして、カギは秘匿基地の全ての動力を一発で起動させられるマスターキーだと言う事が書かれていた。

「何だこれは、秘匿基地の事位は一度連れて行って頂いて知って居たが、何故対照的にもう一つ存在するのだ、これだけの物を何時の間に建設して居たというのだ?閣下は本当に何者だったのだ?」

「私が最後に見た閣下の姿は、少なくとも普通の人では無かった・・・背中より羽根が生えていたように思います・・・」

坂本は最後に瓦礫の隙間より僅かに見えた修一の姿を思い出し、つい口を滑らせた。

が、それ以上は一切何も語らなかった。

衝撃の事実を耳にした技術開発省幹部達の間にしばし沈黙が流れる。

益田修一の規格外に最も縁のあった井上少将がようやく口を開いた。

「そうですか、閣下はきっと、我々を異常な国力を誇るロシアの脅威から守る為に・・・」

------------------------------------------

技術開発省幹部達は、二つ目の秘匿基地の所在を確認する為の調査に、輸送機へと乗り込み、対馬県総合基地へと向かって居た。

井上少将、山田准将、本多大佐(史実では物理学の権威本多博士)、種田大佐(東京電気鉄道創業者の息子で、テストパイロット第一号)、二宮大佐(史実では複葉機〔からす〕の発案者)の計5名での秘匿の旅であった。

井上少将、山田准将の二名は言う迄も無い、兵科技研以前、帝国陸軍兵器開発部から益田の部下として初めてこの部署へと配属された二名だ。

偶然にソーラー発電と液晶モニターの素体として有用であるコレステロール誘導体を発見した井上少将の方が階級が上になってしまったが、この両名は未だに冗談を言い合ってけなし合ったりする程に仲が良い。

最近も、互いの奥さんを連れて合同で食事会等をする程でである、親友と言う奴だ。

「これは今、何処へ向かって居るのでしょう?」

相変らず何かをして居ると人の話を聞いて居ない二宮大佐が今更のように尋ねると、種田大佐、本多大佐の二名は頭を抱えて苦笑いをして居る。

「何だ、何も聞いて居らんか?儂はちゃんと伝えた筈なのだが、おかしいな」

山田准将も苦笑いをしながらこんな発言だ。

「はっはっはっは、相変らず人の話を聞かんらしいな、二宮君は、何かに夢中になると人の話を聞いて居なかったり、周りが見えなくなってしまう所は閣下に似て居るよな、山田。」

「ああ、そうか、そう言う奴だったか、二宮は・・・そうだったそうだった、その閣下に似た性格が幸いしたかは知らんが、この間上げて来た戦闘爆撃機の設計図は非常に興味が有るぞ、しかし垂直尾翼を排するとは斬新だな、あれはちゃんと飛ぶのかね?」

「テストパイロットの側から言わせて頂きますと、恐らくは無理です。」

種田大佐にバッサリと切られる。

「いや、儂は行けると思って居るんだが、但し閣下の秘匿設計図に在ったジェットエンジンとやらであれば、だがね。」

ついポロっと秘匿設計図の所在を漏らしてしまった井上少将だったが、このメンバーであれば問題は無いだろう。

「何でありますか?そのジェットエンジンと言うのは?」

速攻で食いつく二宮大佐だった。

「まぁ、何れな、果たして今の技術レベルで作り上げる事が出来る物かも不明な夢のエンジンだよ。」

井上少将も之を誤魔化すのは苦労しそうであると踏んだ、現在の兵科技研のブレインとも言うべき本多大佐が割って入り、この話題は終わったようである。

それにしても彼らは益田修一のお陰で大分この手の話には毒されて居る様で、移動の合間にすぐにこんな話になったりしている。

まさに研究、開発の虫と言う奴の様である。

「間も無く対馬県総合基地へと到着します、万一に備えてベルトを確認下さい。」

コックピットから副操縦士が顔を出し、安全ベルトの確認を促した、いよいよ着陸である。

-----

輸送機の尻から公用車に乗った6名が対馬県へ降り立った。

出迎えたのは当基地の副司令官に就任したばかりの元第一機甲師団長、そう、世界初の遅滞戦闘をやってのけた彼、秋山好古(あきやまよしふる) 当時の階級は大佐、であった。

彼の考案した機動防御戦法が評価され、少将となり、この対馬県総合基地副司令官となって居た。

史実でも彼はこの時期に少将へと昇格をして居たが、その経緯は既に叩き上げのそれのように大幅に変貌していた。

史実であれば安全な後方の兵站管理将校だった彼は、何故か益田製の兵器に魅せられ、自ら志願して機甲師団長等を買って出て居たのである。

そして彼の本当の才能が開花したのだった。

この後、彼はこの基地にて中将へと昇進を果たした後、大将へあと一歩の所まで届くが、体調不良にて退役を余儀無くされるのだがそれは又別の話である。

歴史的にもあまり名の知れた将校では無かった彼だが、書き換えられた歴史にはしっかり爪痕を残す事となったのだ。

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脱線したので元に戻そう。

「ようこそ対馬県へ、技術開発省の方々。あなた方のお陰でこの地を守り切る事が出来ましたよ。」

「おお、貴方が新戦法を見出した元第一機甲科師団の、あの戦法には御見逸れしました、亡き益田修一閣下も貴方の戦術を大変高く評価されて居ました、正に機動力を万遍無く生かし切った素晴らしい戦法だと褒め契って居りました。」

「いやいやお恥ずかしい、私などまだまだ、第二十三機甲科師団の猿賀田副長の指揮には驚かされた程ですからな、上には上が居る物です。」

猿賀田副長とは、勿論サルガタナスの事である、そりゃそうだろう、相手は悪魔なのだから・・・まぁ彼らはそれを知らない訳だが。

一度この基地で休憩を挟んでから再出発する事にした面々は、基地内の案内を受ける。

「ここから先が海軍管区になります、ですが益田閣下の尽力のお陰で陸海空の横の繋がりは密になって居りますので我々陸軍が此方に入っても何の問題も有りません、我々陸軍もカレーは人気の食べ物であります。」

「ふむ、そこの建物に行列のような物があるのは何だ?」

「ああ、丁度昼過ぎですから、益田閣下が提唱して居たメイド喫茶なる営内喫茶に順番待ちをして居るのでしょう。」

こんな所にもしょうも無くもやらかしていた。

「それはどの様な物かね?」

「西洋風の侍女に扮した女性が給仕をしてくれると言う茶屋でありますね、これが堪らんのですよ、癒されると言うか・・・」

案内役の少尉は未だ独身者らしい、彼も常連のようだ。

修一を最も知る井上少将は思った。

絶対これ未来に流行ったんだろうな、何やってんだあの人は・・・それにしてもこれ程今の風潮からかけ離れたものがこうも流行るのだとしたら凄い事かも知れぬな。

多少の小競り合いや、終戦を知らない残敵兵の処理等と言った事はあっても、日露戦争は終結を見てから凡そ一年程も経って居るだけあってこうして営内に一般人女性が働いて居たりするようだ。

余談だが基地周辺の街並みにも活気が戻って来て居るようだった。

当然ながら、益田太郎冠者の劇場や映画館等も営業を再開して居るのである。

明治とは思えない様なビルが立ち並んで居たりする、超近代的な街になって居るし、福井港⇔輪島港⇔済州島⇔南対馬港 (対馬県一般港)の4カ所を結ぶ路線フェリーなんて物まで就航して居たりするのだがそれは又別の話である。

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暫く休憩をした一行は、秘匿基地へ向けて出発したのであった。

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