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 どうやら夕子ちゃんは、草子が元気がないように見えたから、草子のことを元気付けるために、あえて、草子のことを驚かせたり、草子の前で笑って見せたりしていたようだったけど、でも、どう見ても今の夕子ちゃんは、心の底から笑っていた。明らかに草子のことを馬鹿にしていた。

「私、先にいくよ。こっちに歩いていけばいいんでしょ!?」と少し早歩きをして草子は夕子ちゃんに言った。

「あ、こらこら。待ちなさい。森の中は危険なんだよ。まずはこの森のことに詳しい夕子ちゃんに任せておきなさい。草子ちゃんは私の後ろについてくること。いい、わかった? ちゃんと私と約束できる?」

 と草子のことを見て、夕子ちゃんは言った。

 怒っている草子は口を聞かない。 

「どうしたの? 草子ちゃん。もしかして怒ったの?」と笑いながら夕子ちゃんは言った。

「なんでもないよ。なんでもない」とそっぽを向いて草子は言った。

 それから二人は森の中を二人で一緒に歩いて行った。


 森の中には、気持ちのいい澄んだ風が吹いていた。その透明な風が生い茂る森の木々の葉を揺らして、さらさらという小さな音を立てている。

 遠くの空では相変わらず、鳥が小さな声で鳴いている。

 最初は突然のことで、そんなことを考えている余裕は全然なかったのだけど、こうしてあらためてこの森の中を見ていると、ここはとても素敵な場所だと草子は思った。

 ……とても静かで、清らかで、本当に素晴らしい場所だった。

 道のない森の地面の上には、ところどころに綺麗な花が咲いていた。

 真っ白な花だ。

 その花を見て、草子はすごく綺麗だ、と思ったのだけど、花の知識を持たない(記憶喪失とは関係なく、草子は草花にまったく興味がなかった)草子にはその花の名前がわからなかった。そのことがとても残念に思える。(少しくらいは勉強しておけばよかった)

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