第70話 旨いは正義
猫魔術師です。
うう、カグヤたんのほうが全然進まない・・・。
<第70話>
やあ、オレの名前はANDREW!
B級グルメならスパカツが一番好きなほう、アンドリューです!
釧路泉屋本店は聖地。
ただし、大盛りは危険だからやめておいた方がいいぜ?
それと、同じ泉屋なら泉屋風も捨てがたい。
スペシャルライスを泉屋風にしてもらうのもオススメだぜ。
なに、ローカルすぎてネタが分からないって?
いいんだよ、そんなもんだ。
「旨い蕎麦が食いたい」
「なによ、藪から棒に」
オレの呟きをソラが一蹴する。
つれないね。
「いや、唐突にな。居酒屋メニューとか豪華なやつじゃなくて、蕎麦が食いたくなったんだよ」
蕎麦もそうだが、麺類ってのは不思議な魅力があるよな。
粉ものもそうだよな。
急に「たこ焼き食いてえ」とかなることないか?
オレはあるんだよ。
「その気持ちは分からないわけでもないけど」
「だろ。だから蕎麦食いに行こうぜ」
「このへんで蕎麦屋さんっていったら・・・」
思案顔のソラ。
「いやいや、せっかく思い立ったからさ。名店って言われてるところ行こうぜ。東京とかさ」
「本気で言ってんの?」
「面白い話をしておるのう。ワシも連れていっておくれでないか」
ノンノがひょっこりと顔を出す。
「おうよ。二人でも三人でも一緒だしな」
「本気なのね?」
「オレはいつでも本気だ」
「嘘ばっかり」
ばっさりだわ。
まあ、確かにそうかも知れないがな。
「じゃあ、昼の蕎麦だけじゃ勿体ないから、晩ご飯も食べてきましょうか」
「フレンチとかやめてくれよ」
「分かってるわよ」
調査と協議の結果、今日の目的地は浅草ということに決定した。
「楽しみだな」
「そうね。美味しいもの食べると元気になるわよね」
「シルヴィアはいいのか?」
「私は食べ物に執着がない。よって留守番をする」
まあ、鏡の精だからな。
モノ食わなくても大丈夫なわけだし。仕方ないか。
「分かった。じゃ、留守番頼むな」
「任せる。不埒者は異世界に転移」
「ほどほどにな」
すげえセキュリティだ。
明らかに過剰防衛だな。
「じゃ、行くか」
とりあえず猫の姿になると、転移魔法を発動させる。
一瞬の後にはもう浅草だ。
「便利すぎるのう、大魔術師様よ」
「だろ。もっと崇めてくれてもいいんだぜ?」
「ははあ~」
「馬鹿言ってないで。もう口に出しての会話は避けてよね」
「店のそばまで来たら人型になるからな」
いつものようにソラのぶら下げたカバンの中から顔を出す。
ちなみに、ソラもノンノも可愛いからな。よくナンパされるんだよ。
そんなときはめっちゃ威嚇してやる。
厚かましい奴には魔法でお引き取り願うんだけどな。
「しかし東京っていうのはいつ来ても大きい街よねえ」
「うむ。このような街はワシの記憶にはなかった存在じゃからのう」
感慨深そうな二人。
そりゃそうだ。
こんな巨大な都市は世界中に数えるほどしかねえ。
少なくともウィザリィには存在しない、というかできないだろう。
科学というものが、どれだけ魔法じみているのかということの証左でもあるな。
もしかしたらまだ見ぬ異世界にはあるのかもしれない。
そう思っておいた方がわくわくするよな。
「トラ、そろそろ着くわよ」
スマホの地図を確認しながらソラが言う。
「了解了解」
オレはカバンを出て、人気のない路地へ入って周囲を確認の上、人型に変身する。
さすがに猫を連れたまま入って許してくれる飲食店はそうそうないからな。
「こんちわ~」
暖簾をくぐると、やや古めかしいシンプルな作りの店構え。
美味そうな予感がビンビンするぜ。
「いらっしゃいませ」
女性に案内されて4人掛けのテーブルへ。
さっそくもりそばと日本酒、板わさと厚焼き卵を注文する。
「トラ、昼から呑むの?」
「おうよ。蕎麦屋来て蕎麦屋酒しないって話はねえだろうよ」
昼とは言っても立込の時間はすでに過ぎている。
特に問題ないだろう。
運転するわけでもないし。
さっそく銚子二本と板わさが運ばれてくる。
「美味い」
「美味いのう」
ノンノと二人で差しつ差されつ。
つーか、ノンノはどう見ても未成年に見えるんだが大丈夫なんだろうか。
「ワシは他の者には妙齢の美女に見えておるじゃろうよ。さすがにソラを娘と言い張るには無理があるかもしれんが」
腐っても神。
幻術によって周りの人間には別な姿を見せているんだそうだ。
「もり三つ、お待たせしました」
そばも予想通り美味い。
そばつゆが塩っ辛いのも藪系の特徴ってどっかで読んだな。
さらに酒を二本追加してつまみも追加。
「ふうー。満足したぜー」
「ちょっと飲み過ぎじゃないの?」
「いいんだよ。後は夜まで我慢するわ」
「夜も楽しみじゃな」
勘定を済ませると店を出る。
うん、蕎麦屋はウィザリィにも必須だな。
蕎麦打ちの修行でもするか。
誰か異世界に移住してもいいやっていう蕎麦職人いないかな。
晩飯まではのんびり浅草見物だ。せっかく東京まできたんだしな。
ノンノがいちいち驚いてるのが新鮮だった。
北海道でアイヌの神様やってたんだったら、たしかに東京には度肝を抜かれるだろう。
「さて、晩ご飯はここね。楽しみだわ」
「ソラご推薦の洋食屋か。ビーフシチューが美味いんだったか?」
「そうよ。さあ、行きましょう」
カウベルの音を響かせながら店内へ。
オレとソラはビーフシチュー、ノンノはナポリタンを頼む。
なんか知らんが、ノンノはナポリタンがお気に入りだ。
気持ちは分からんでもないがな。レトルトだと食う気にならんが、店で頼むならナポリタンもいいと思うぜ。
「来た来た」
湯気を立ち上らせるシチューの皿。
ごろんと牛肉のかたまりが入っている。
スプーンとフォークで簡単にほぐれていく肉。
よほど丁寧に煮込んでいるんだろうなあ。いい仕事するぜ。
ナポリタンも太めの麺にソースがよく絡んで美味そうだ。
「美味しい!」
ソラの言う通り、じっくり煮込まれた肉の旨さとソースの旨さが合わさって、とても幸せな気持ちにしてくれる一品だ。
「こんな美味しいものが食べられたら、みんな幸せになるわよね」
「そうだな。だから、ソラには頑張ってもらわないとだ」
「そうじゃのう。衣食住が足ること。人には一番大事じゃ」
「うん。責任重大だけど頑張るわよ。料理好きだし」
ソラが決意を新たにしたようだ。
オレも決心した。
「酒があればもっということないよな!」
というわけで高いワインを注文した。
酒は人生を豊かにしてくれるんだぜ?
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