第37話 世界を狙える器だ!?
昨日の夕方時点で日間ランキング45位。感謝感激です!
何だかアンドリュー君は筆が進みます。
会話回が続いて申し訳ないのですが、こういうノリが好きな作者でした。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
<第37話>
やあ、オレの名前はANDREW!
歯ブラシは柔らかめが好きな方、アンドリューです!
昔は堅めが好きだったような気がしないでもない。
しかし、この出だしの形、面倒になってきたな。
そろそろ止めるかな・・・。
「酒の魔力には抗えない・・・」
「まさに至高の逸品で御座いますなぁ・・・」
某有名日本酒をお猪口で飲みながら、シルヴィアとゴルドが言う。
「やはり本気を出さざるを得ない。本気の私ならばこの世界とあの世界を往復することなど造作もないこと」
「期待しておりますぞ、シルヴィア様」
「お前等ホント飲兵衛だな!?」
そういうオレは、シルヴィアに確保されている。
どうもネコ状態のオレがツボに入ったらしく、離してくれないのだ。
「やはり美味しいものは国境も世界も越えるのね!」
「そうだな。やはり胃袋は世界共通だってことだ。ソラ、あっちにキッチンあるからさ、何かツマミ頼んでいいか?」
「いいわよ。でも材料はあるの?」
「多分魔導冷蔵庫の中に肉とか魚とか野菜とか入ってるだろ。ゴルド、悪いけど案内してやってくれ。食えない物は入ってないし、地球の食い物に似た物が結構あるから上手く見繕ってくれな。あ、これ調味料とサラダ油」
そういって収納空間から醤油や味噌や塩を大量に取り出すオレ。
調味料はこっちの世界では発達していなかったからな・・・。
たった八ヶ月だけど、醤油と味噌のない生活には戻れそうにない。
「せっかくの収納に何入れてんのよ」
「馬鹿言うな。醤油も味噌も神の調味料だぞ?」
ビバ醤油!!
「じゃ、何か簡単なもの作ってくるわね。中華鍋出して、トラ」
「あいよー」
「お手伝いいたしましょう、ソラ様」
「ありがとう、ゴルドさん。キッチンって言われても使い方分かんないだろうからお願いします」
ソラはゴルドを連れてキッチンへ消えていった。
日本のキッチンとはさすがに違うだろうが、それなりに似てる所もあるからどうにかなるんじゃねえかと思うんだけどな。
「さあご主人様。邪魔者はいなくなった。愛し合うといい?」
「しねえよ」
「冗談はさておき。可能ならどんどん私に熱く迸る魔力を注ぎまくるといい。私の日本酒制覇計画のためにも魔力チャージは必須」
「そりゃありがたい話だね。じゃあ、もう一発いっとくか」
「もう一発だなんてご主人様も結構ノリノリ」
「うぜーw」
さらにMPを注ぐ。
ふう。
MP回復ポーションでも飲んでさらにいっとくか。ポーションならそのへんにうなる程あるしなぁ。
「はうあ。こんなにいっぱい注がれたらあふれちゃう」
「まだまだ入んだろが!?」
ホント疲れるわー。
プルプルしてるシルヴィアは置いといて、各種アイテムを今のうちに物色しておくとしようかな。
ラスボスとしての大魔術師用装備を筆頭に、必要なものをガンガン収納空間に放り込んでいく。
ついでに、使うと失われるけどレベルを上げちゃう秘石とか能力値の最大値を1から5の間でランダムに増加させる巻物とか1枚目に焼き付けるだけでスキル熟練度が上がる謎の羊皮紙片とかをポンポン使っちゃうぜ!!
オレのレベルとステータスとスキルが上がっちまえばいくらでも作り直せるからな!
「ご主人様がおそらく貴重と思われるアイテムを使い潰していく」
「おうよ。どれもこれもアホみたいに貴重な代物だがな。今のオレには必要だ。どうせ力を全盛期のレベルまで取り戻せばいくらでも作れるからな。ケチる必要なんてねえよ」
みるみるうちにオレの体に力が漲っていくのが分かる。
「 み な ぎ っ て き た ! ! 」
「シルヴィア、その言い方やめれ・・・」
実際漲っちゃってるけどな!
そんな風にオレが30分程度ドーピングしていると、ソラとゴルドが戻ってきた。
「出来たわよ~」
ほかほかと湯気の立つ大皿をソラが二枚、ゴルドが二枚掲げている。
部屋中に食欲をそそるいい香りが充満する。
「簡単すぎる肉野菜炒めと燻製肉のサラダ、かに玉とガーリックトーストよ」
「天上の香り・・・!!!!」
シルヴィアが陶然とした表情で鼻をひくつかせている。
ガーリックトーストってホント美味いよな。
「このゴルド、まっこと感服いたしました。ソラ様はこの世界の食文化を塗り替える可能性を秘めた御方!」
「大袈裟ですよう、ゴルドさん」
「決して大袈裟でもお世辞でも御座いません。その調味料もさることながら、ソラ様の腕前は宮廷料理人すら裸足で逃げ出すでしょうな!」
「オレもそう思うよ、ソラ。まぁ、おいおい分かってくると思うけどな。この世界と日本の違いってやつにな」
そこまで細かく理解する程、こっちの世界に馴染む必要は無いんだけど、まぁ、知ってて損する話でも無いさ。
「しかも水の精霊までも従えるその力。精霊使いとしての素質がおありなのでは?」
「それは無いと思いますよ。たまたまじゃないですか?」
『多分偶然ですわ。私とお嬢様の相性が異常に良すぎただけのことですわよ、きっと』
多分水の精の言う通りだろうな。
まぁ、精霊に好かれるってことはソラの気質が清純ってことだからいい話だ。
「そっか。ま、とりあえず食うか」
「うん。冷めないうちに食べて貰った方が作った側としては嬉しいかな~」
オレとソラは箸。シルヴィアとゴルドはフォークだ。
「なんと・・・」
「美味・・・」
絶句するゴルドとシルヴィア。
次々と料理を口に放り込んで咀嚼して嚥下していく。
「おかしい。手が止まらない。体が勝手に」
「ビール、追加のビールを。ぬうう、手が止まりませんぞ!?」
どこの裏食医by鉄鍋のジ○ンだよw
「このかに玉という料理・・・たれの甘酸っぱさと卵のふんわり感、海王蟹肉の旨味が渾然一体となって・・・っ!!」
「香辛料の食欲をそそる香り。カリカリの食感に仕立てられたパンがビールによって更に引き立てられる。まさに神の料理」
なんかグルメ番組のリポーター的なコメントになってるが大丈夫か?
そんな光景を眺めながらサラダをつまみながら芋焼酎お湯割りをちびちびやる。
お湯で割った時のこの香りが好きなんだよな。苦手な人もいるらしいけど。
「大袈裟だけど、喜んで食べてくれると嬉しいわ」
「大袈裟ではない。ソラはシルヴィアの嫁になるべき。いえ、すでに嫁」
「ぜひこの迷宮の専属料理人として。給金は一月に最上級霊薬5個でいかがか」
おい、1個でも小国くらい買える最上級霊薬5個とか。
「え、えーと、よくわから・・・」
「ならば各種能力値ドーピング薬もつけましょう!!」
「とりあえず落ち着け」
ソラに詰め寄るシルヴィアとゴルドの頭をひっぱたいて正気に戻す。
やはり酒と食い物は最強の攻略手段だな。
「失礼いたしました。私としたことが少々取り乱しました」
「正直すまなかった。だけどソラは私の嫁になるべき」
「シルヴィアは黙ってろ。でもな、ソラ」
「ん?」
「別にコイツらが大袈裟に言ってるわけじゃねえ。この世界の食文化は、地球に比べるとあまりにレベルが低いんだ」
「どういうこと?」
きょとんとした顔のソラ。
いい機会だから教えとくか。
「何せ調味料と言えば塩程度だ。それもバカ高い。そして調理方法が、煮るか焼くか蒸すかしかねえ。ぶっちゃけ戦国時代レベルでしかねえんだよ。そこにお前の腕だ。醤油と味噌、砂糖に油。お前の知識と技術で、この世界に革命を起こすことが出来る」
「そうなの?」
「そうなんだよ。とにかくそうだってことを覚えとけ」
「別に革命を起こせって訳じゃ無いんでしょ?」
「もちろんだ。ソラは日本に帰るべき人間だからな。でも、ちょっとはその技術を伝えていって欲しいって気持ちはある。日本で暮らした約一年。オレはもうこの世界の料理じゃ満足できん」
そうなんだよ。
オレはもうこの世界の料理と酒じゃ正直耐えらん。
っていうか無理。
少なくとも醤油と味噌、砂糖。
そして油による揚げ物。
さらに言えばキンキンに冷えたビール。
料理と酒の文化は、絶対にこの世界に持ち込む。
いや、持ち込まずにはいられない。
「アンドリュー様のおっしゃる通りで御座います。この世界に永住して欲しいとは申しませんが、せめてソラ様のお持ちの秘術の一端なりと残していって頂かねば」
「私は世界を渡るから問題ない。美食と銘酒が私を待っている。目覚めよ、我が真の力」
「まぁ、さわりで良ければ。でも、この世界って大豆とかビートってあるのかしら?」
「似たものはある。米もあるはずだ。牛もいるし」
似ているものはあるからな。同じようにして作れるかどうかまでは試してみないと分からんが。
「ふうん。じゃあ、帰る前に試してみたらいいのかしらね。すぐに手に入るものなの?」
「このゴルドめにお任せを。天地分けてでも探してご覧に入れましょう」
「つーか、ロバートにちょっと頼めば・・・」
「いえ、アンドリュー様。あの男にこの事が伝われば間違いなく大変なことになります。ここは秘密裏に事を運ぶがよろしいかと」
「お前・・・。絶対独占したいだけだろ?」
「そのような邪な考えは一切ありませぬぞ?」
絶対嘘だ。
目ぇそらしたし!
「ご主人様。どんな手を使ってもいいから早く私を一杯にする。まだ見ぬ銘酒が私を呼んでいる。ハリーハリー」
くっ、コイツら・・・。
スピリタスでもボトル一気させるぞ、コラ!?
お読みいただきありがとうございました。
評価点やランキングのリンクをポチッとしていただくと、作者が非常に喜びます。
ぜひよろしくお願いいたしまする(=゜ω゜)ノ




