第28話 年越しってこんな感じ?
二ヶ月程先取りですがw
作中ではこうならざるを得ず・・・。
<第28話>
やあ、オレの名前はANDREW!
目玉焼きには醤油をかける方、アンドリューです!
これも論争になるから、深く追求するのはやめておこうぜ。
オレと君との約束だ!
さて、北海道へ帰ってきたオレたちは、空港に置いておいた車に乗り込むと、清水家へと帰ってきた。
最終便とは行っても、20時前には帯広空港に着いたわけだから、清水の家に着いたのも21時よりも全然前だ。
「ただいま~」
「おう、帰ったか。事故にあったって聞いたときは気が遠くなったぞ」
「ごめんね、心配かけて。大したことなくて私も安心したわよ」
実際は大したことあったわけだが、それは言わぬが花というヤツだろう。
「その辺も全部年忘れって事で、このあとはまったり年越しといこうや」
「そうだな。お土産も買ってきたから、紅白でも見ながら飲んだり食ったりしようぜ」
「帰ってきたばっかりだけど大丈夫かい?」
「だいじょうぶだよ、お袋。飛行機でもぐっすり寝てきたから。なぁ、大空?」
「そうね。私は今日一日観光三昧でちょっと疲れ気味だけど、まだまだ平気よ」
「若いっていいわねぇ」
親父さんとお袋さんの声を聞くと、なんだか帰ってきたなぁって気になる。
まだ一年経ってねぇってのに、随分オレもここに馴染んだもんだ。
全く嫌じゃねえけどな!!
ソラや大地は風呂に入ったり旅行の後始末をしたりしているようだ。
大地はタブレット端末を起動して、誰かにコミケの成果を報告する書き込みをしているらしい。
その間にオレは、年越しの豪華な食べ物をいただき、ついでに高い酒もごちそうになっている。
ネコにダメな食い物とか飲み物は基本的に気にしないことにしている。
特異体質ってんじゃダメかね?
『ねぇ、トラ』
『どうした。念話にも慣れてきたみたいだな』
『ネコって食べちゃいけないものもあるんじゃなかったっけか?』
『そんなん気にしてねぇよ。オレには魔法がついてるからな!』
『便利ね・・・』
『何かあったら言えよ? 医者いらずだぜ?』
ソラも部屋着に着替えてリラックスタイム。
日本酒を飲みながら、テーブルの上の豪華な食事やつまみを適当につまんでいる。
え、未成年なはずじゃって?
そりゃあこの家に生まれて酒飲めないはないわぁ。
「みんなー、そば食べるでしょう?」
しばらくのんびりとテレビと酒を楽しんでいた、23時前。
お袋さんが年越しそばの準備を始めたようだ。
「もちろん」
「食べる食べる」
「私も~」
「にゃ~ん」
オレも食うぜ!
「トラはあっついのはダメだなぁ。冷たいのにしてやれ」
「はいよー」
確かに猫の体は熱いモノを食べるのは苦手だ。
だが、オレは蕎麦なら温かいのよりもりが一番好きだ!
冷やしたぬきとかの冷たいのも好きだけどな。
しばらくして行く年来る年を見ながら蕎麦を食べる。
人型になってずずっと啜れれば一番いいんだけど、今日は我慢だな。
「今年も終わるなぁ」
「んだな」
男二人が蕎麦を食いながら日本酒を冷やでくいっと。
「来年もいい年でありますように」
「んだんだ。来年も豊作だといいな」
女二人が温かい蕎麦をふうふう食べつつ。
ごーん。
テレビから除夜の鐘が聞こえる。
今年も終わるな。
オレがこの世界に飛ばされてから八ヶ月。
何だかんだ色々あったけど、それなりに今は楽しい感じだ。
来年はさらにレベルとスキルを上げて、世界間転移を成功させられるように頑張るぜ!
テレビの中の時計が0:00に変わった。
「あけましておめでとうございます」
「にゃ~ん」
みんなの声が揃う。
来年もいい年でありますように。
さて、そのあと深夜。
「師匠、今年も宜しくお願いするっす」
「おう。精進せえ。羆とも対等に戦えるようになるまでな」
「師匠、ただの雑種猫にどんだけ期待してんすか・・・」
無茶振りもいいとこだぜ。
ま、魔法有りでいいならオレにとっちゃあ超余裕だけど。
清水の家からくすねてきた料理の数々を師匠に振る舞う。
正真正銘の狐とはいえ、オレの四足機動格闘の師匠だし、もういい年の爺ちゃん狐だ。優しくしてやっても罰は当たるまい。
聞けば師匠もずっと独り身だそうだ。
「武の道に雌なんぞ不要よ」
とか言ってたけど、多分ちょっとは寂しいんだぜ。
でも、ちょっと格好いいよな!
遠くの空が微かに白み始める頃まで師匠と語り明かした。
今晩は新年初稽古だってよ。
・・・雪の中で格闘は寒いんだよなぁ。
魔法でズルしよう、そうしよう。
お読みいただきありがとうございます。
良ければ各種ポチなどしていただけると嬉しいです(*/▽\*)イヤン




