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第26話 正体は大魔法使いでした

投下します。

まぁ、これで本格的に素姓がソラに伝わりましたので、アンドリュー=トラもおおっぴらに活動できるようになりますw


「中身はアラフォー、体はにゃんこ。その名は大魔術師トラ!」


某小学生名探偵みたいなこともできますねw

<第26話>


 やあ、オレの名前はANDREW!

 つぶあんとこしあんならつぶあん大好きな方、アンドリューです!


 いやあ、あんこってホントに美味いよなぁ。

 砂糖やクリームとはまた違った何とも言えない甘さ。

 たまりませんなぁ。


 意外に甘党なんだぜ、オレは。




 ソラの事故から一晩明けて。

 現在の時刻は午前10時。


「うーん、いい天気」

「そうだな。やっぱ十勝と違って暖かいよなぁ」


 病院からソラと大地が出てきた。

 入院っても、オレが魔法で全部治しておいたから大丈夫なことは分かってたからな。

 心配なんかしてなかったぜ。

 ホントだぞ?


「にゃおーん」

「ああ、トラ。トラは大丈夫だった?」

「にゃん」


 オレを抱き上げるソラ。

 昨日の事はソラの中でどう処理されてるのか。

 まさか今ここでなんかってことは無いと思うんだけどな。

 大地も居るし。


「今日はどうしようかなぁ。お兄ちゃんは今からでもコミケ行く?」

「今更だなあ。親父たちにも今日は俺がついてるって言ってるからな。何ともないとは言え、事故ったことは間違いないんだから、大人しくしてようぜ」

「そうよねぇ。ホテルにでもこもってるかな?」

「あ、ホテルにも連絡しといたぞ。今日明日は泊まるはずって言っといたから」


 気が利くじゃねえか。

 伊達に年は取ってないな、大地よ。


「ありがと。でも、ホテルに缶詰ってのもねぇ」

「ホテルの周辺でショッピングとかするか?」

「どうしよっかな。とりあえずホテル行って、手続きとか荷物置いて、それから考えることにするわ」

「了解」


 オレたちは、ソラの泊まる予定だったホテルに移動することになった。


 いやあ、立派なホテルだなぁ。

 ルームキーを受け取り、エレベーターで移動。


 基本無言。

 ソラめ、どう出てくるつもりだ?


「立派な部屋だね。ねぇ、トラ?」

「にゃおん?」


 部屋に入ると、荷物を置いてベッドに寝転がるソラ。

 両手でオレを持ち上げると、ぶらーんとぶら下げながらそう語りかけてくる。

 あんまりじっと見詰めんなよな。


「ねぇ、何とか言ってよ。分かってるんでしょ、全部。昨日だって助けてくれたでしょ。救急車まで呼んでさ」


 じーっとオレの目を見ながら話すソラ。

 事故のショックで忘れててくれりゃあ良かったのにな。

 魔法で記憶をいじるなんて事はしたくなかったし。


「しかも、死にそうだったじゃない、私って。アレは何? 魔法?」


 おお、それも覚えてたか。

 うーん、さすがに潮時だよなぁ。


「ねぇ、何とか言ってよ?」

「・・・何とか」


 ソラの顔が、ぎょっとしたように固まって、それからにっこりと笑顔になった。


「・・・その返し、つまんないよ?」


 うっせえよ。




side:ソラ


 びっくりした。

 とにかくびっくりした。


 半分くらいは本気にしてなかったからね。

 まさか本当に返ってくるとは。

 でも、返ってこなかったらネコに話しかける痛い人みたいよね、私。

 それとも、ペット飼ってる人なら普通かな?


「詳しい話は今晩か明日。とにかく大地のいない時にな」


 トラがそう言うので、とりあえず今は保留。

 シャワーを浴びて着替えを済ませると、トラを籠に入れて下へ降りる。


「お兄ちゃんはどこかな~」

「あそこにいるぜ。ほら、コーヒーでも飲んでんだろ」

「うわ、何これ、気持ち悪っ!」


 頭の中にトラの声が響く。

 渋い感じのイケメンボイスなので聞いてて嫌な感じはしないんだけど、とにかく耳を通さないって感じがめちゃくちゃ気持ち悪い。


「慣れろ。オレが声出して喋るわけにもいかんからな」

「そりゃあ分かるけど、私はどうすればいいわけ?」

「良くあるだろ、マンガとかで。頭ん中で喋るようにすればオレに伝わるよ」

「え、私の考えが読めるって事!?」

「違う違う。これはあくまでオレの魔法で会話を可能にしてるだけだ。考えを読んでるわけじゃねえから安心しろ」


 良かった。

 考えてる事筒抜けじゃさすがに恥ずかしい・・・。


「っていうか魔法なのね・・・」

「そうだ。ソラが死にかけなのを治したのも魔法だ」

「そっか。そのおかげで助かったんだね、私」


 素直に感謝だ。

 魔法っていうのがアレだけど。ファンタジー。


「お兄ちゃん、お待たせ」

「おうよ。大空も何か飲むか?」

「ううん、いいよ。昼ご飯の時で十分」

「そっか。もう昼だな。何か十勝じゃ食えないもん食いに行こうぜ」

「うにゃーん」

「トラも食える所がいいよなぁ。ちょっと検索してみっか」


 そう言ってお兄ちゃんはスマホを取り出すと何かし始めた。

 多分、この近辺でペット可のご飯屋さんでも探してるんだろう。


「これなんか良くね?」

「どれどれ」


 スマホの画面に映った写真を覗き込む。

 ちょっとお洒落なオープンテラスがある感じの洋食屋さんっぽい。


「いいじゃない。ここにしましょ」

「うっし。じゃ、行くか」

「にゃおーん」


 実際に到着したお店はいい感じの店で、他にもペットの猫や犬を連れているお客さんがいたので周りを気にせずに美味しく昼ご飯を食べる事が出来た。

 ご飯の後は、周辺のセレクトショップを巡ったりして楽しんだ。


「やっぱりねぇ、帯広じゃ手に入らないモノもたくさんあるからねぇ」

「そんなん、ネットでちょちょいのちょいと・・・」

「直に見たり触ったりしたいモノってあるじゃない」

「うむ、確かにな。グッズも写真だけじゃ分からんからな!」


 買い物袋を下げて、ホテルへ帰ってきた私たち。


「じゃ、オレはここまでだな。親父達に連絡しとけよ」

「うん、分かってる。西村さんにもお礼言っといてね?」

「ああ。よろしく言っとくよ」


 そう言ってお兄ちゃんは、ヒラヒラと手を振りながら去って行った。


「うーん、見た目も性格もそんなに悪くないんだけどなぁ」

「そうだなぁ・・・。本物の女に興味を持ってさえくれればなぁ・・・」


 トラと揃って頷く私。

 それだけなんだけどねぇ。


 ホテルのレストランで晩ご飯を済ませると、ちょっとコンビニへ。

 さすがにホテルのラウンジとかでトラと語るのもアレだし・・・。


「さて、じゃあ、じっくり聞かせて貰いましょうか!」


 部屋のテーブルに買ってきたおやつとか飲み物を置いて、ベッドに腰掛ける。


「そんじゃ、どっから話そうかねぇ」

「まずはトラがどこから来た何者なのか教えてよ」

「了解。まず、オレはこの世界のもんじゃねぇ」


 トラから聞いた話を軽くまとめてみる。


 まず、トラは元いた世界【ウィザリィ】では人間で、その世界で知らない人はいないと言われた程の魔法使いだったそうで、名前をアンドリューというそうな。

 ちなみに年齢は不詳。本人も良く覚えてないそうだが、三十代後半は間違いないらしい。

 っていうか、そのぐらいで外見を固定して、しばらく生きているそうだ。

 ファンタジー。


「伝説の大魔術師って言われてたんだぜ!」

「今は猫だけどね」


 何でも、その世界では有名な国の王様に頼まれて、訓練場として建設した地下迷宮の奥に篭もって、迷宮にやってくる人達を鍛える事を仕事にしていたそうだ。


「こっちの世界で言えば、軍隊とかの教官みたいなもんだな!」

「今は猫だけどね」


 それで、ある日、仕事を終えて一杯飲みに行こうと転移魔法を使ったところで、原因不明の致命的なミスによってこの世界へと転移させられ、猫に生まれ変わった。

 そして、あの日私に拾われたそうだ。


「ねぇ、トラ」

「ん?」

「トラは生まれ変わったの? それとも、猫の体に乗り移ってるだけなの?」

「あー、そこはよく分からねえんだよなぁ。この体の主の意識が無いところを見ると、多分生まれ変わったんじゃねえかなあ」

「その程度の感想なの?」

「あー、そんなもんだよ。実際そういう転生者が迷宮に来た事もあったしなぁ。異世界との門を開く魔法も無いわけじゃないし」


 そういう実例を見聞きしていた事もあって、すんなりと猫の体にもこの世界にも馴染んだんだそうだ。

 それで、今は元の世界に戻るための魔法が使えるようにレベル上げに励んでいるとのこと。


「ようやく上級魔法が使える様になって、人間になれるようになったんだぜ!」

「え。じゃあ、救急車に一緒に乗ってくれたエキゾチックな三十代くらいのイケメンって、もしかしてトラのこと?」

「お、そんな風に思われてたのか。そう、それがオレだ」

「じゃあ、今も人間になれるって事?」

「ああ。当然だろ」

「なってみてよ! 見たい見たい!」

「あいよ」


 そういうと、トラは何事か呟く。

 気がつくと、目の前に長身長髪の浅黒い肌をしたイケメンが立っていた。


「どうだ、なかなかいい男だろ。惚れるなよ?」

「よかった、裸じゃ無かった!」

「そこかよ!?」


 だって、猫状態からだから、お約束の素っ裸できゃーって展開かと・・・。

 べ、別に期待してたわけじゃ無いんだからね!?


「うん、確かに格好いいわね。日本人っぽくないとこがまた」


 引き締まった体つきに精悍な顔立ち。そのへんの若者に比べたら断然格好いい。

 でも・・・。


「トラなのよねぇ・・・」

「んだよ、その溜息は」

「だって、あんな子猫の時から大事に育ててきたのに。可愛い子猫だったのに中身はアラフォーのおじさんとかもうね!?」

「んなこといわれてもな・・・。上手くごまかしてきたつもりなんだぜ?」

「それは認めるわよ。賢い猫だとしか思ってなかった私もどうかと思うけどね」


 そうよね。さすがにいくら賢いっていってもここまではないわよね。

 私も含めて、ウチの人間ってそういうところ大らかって言うかのんびりって言うか。


「まぁ、これまでの八ヶ月、ホントありがとな。拾われなかったらそのまま野垂れ死んでただろうからな。本当に礼を言う、ソラ」

「改まって言われると何だか照れるわね。でも、どういたしまして」

「オレもまだまだ元の世界に帰れる程のレベルになっちゃいないんでね。出来れば今まで通り、トラとして清水家に厄介になりたいんだがどんなもんかね?」

「私は別に構わないけど。今まで通り上手くやってくれれば大丈夫じゃない?」

「そう言って貰えたら一安心だなぁ」


 そう言って、リクエスト通り買ってきたビールを開けて、美味しそうに飲むトラ。

 家でも飲んでて「猫なのに」って思ってたけど、そういうことだったのねぇ。


「まぁ、これからもよろしくね、トラ。あ、アンドリューの方がいい?」

「別に、こっちの世界にいるうちはトラで構わねえよ?」

「了解。じゃ、大体分かった所でシャワー浴びてくる。覗かないでよ?」

「誰が覗くか。エルフ並みの平面なんぞ」


 ん?


 ちょっと待って。


 猫状態の時にお風呂上がりでタオル一枚とか普通に・・・。


 きゃあああああああああ!?


「それよりも!」

「ん、どうした?」

「エルフ並みってどういうことかしら。平面って言ったわよね?」

「あ、い、いや、それはだな。エルフ並みのスレンダーな美貌って事でだな」

「美貌はともかく、平面でスレンダーって、明らかに褒めてないわよね?」

「ま、まて、誤解だ!」

「言い訳無用! 天誅~!!」

「ぎゃああああ!?」


 乙女の触れてはいけない部分を抉った罪は万死に値すると思います!!

お読みいただきありがとうございます。

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