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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第七章 どんな冒険者になりたいか

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冒険者ギルドで聞く話

 十日ぶりの冒険者ギルドは、いつもの賑わいに戻っていた。


 一角ウサギを狩った後の加工を、商業ギルドに一任したという。

 国王まで巻き込んで、受注の窓口は国の役人がやってくれるというから驚きだ。


 ギルドマスターが目の下に隈を作っている。

「ようやく、落ち着く目処が立ったの、昨日だぜ。胃薬を飲もうかと思ったわ」

「突然、貴族のご令嬢が冒険者ギルドに入ってきたりして、大変でしたよ」

 職員が苦笑いしながら、お茶を出してくれた。


「お前まで、ぬいぐるみ寄越せって狂い出したから、焦ったぞ」

 職員を軽く睨む。

「あんな可愛いの、初めて見ましたからね。子どもたちが遊ぶ人形だって、木彫りで目つきが怖いものばかりでしょ」


「でも、ばあちゃんたちは『久しぶりに作ってみるか』みたいな感じでしたよ。昔は普通にあったんじゃないですか?」

 職員の言葉に違和感があったので、訊いてみた。


「ああ、開拓民は他国から逃げてきた人たちも多いから、元の国の話かもな」

 ギルドマスターがさらりと言う。


「……この国は移民に大らかなのですね」

 フォンが慎重に問いかける。自分も他国から逃げてきたのだ。


 ギルドマスターはその目をしっかりと見る。

「どこの国から来ても、この国の住人になるというなら犯罪者じゃなけりゃ受け入れる。

 だが、住人になったならこっちのルールに従ってもらう。

 元の国のルールを持ち出すなら、追い出す」

 シンプルでわかりやすいだろ、とニヤリと笑った。



 ギルドマスターはお茶を一口飲み、書類をテーブルに置いた。

「どこから話すかな……。

 まず、ダンジョンが『学習するか』という仮説な」


 それは、俺も気がついた説だ。ゴクリと喉が鳴る。


「あっちの大陸では、『データを集めて学習する』ことはもう常識だそうだ」


 フォンが複雑そうな顔をした。喜んでいいのか、そのために命を落とした両親を悼めばいいのかわからないよな。


「だが、それを魔族が世界征服のために利用するというのは否定されている。

 モンスターの一種で、環境に適応しようとしているだけ。データを魔族に飛ばすような術はない。

『魔族』って名称が誤解を生みやすいだけで、別に悪辣な種族ってわけじゃないらしいぞ」


 言われて見れば、おとぎ話で悪役が「魔族」として登場することが多いから、すり込まれてるのかもしれない。

 酒場で俺たちに絡んできた妖精族も、「大陸から来た奴ら」だったのが、「魔族」と間違って噂する人が出てきたらしい。



 とりあえず、「上層部は知っていて沈黙している。平民の冒険者が口に出したら危ない」という秘密ではないようだ。

 フォンが俺の口を塞ごうとしたのは、多分、それを心配していたからだよな。


「よかったな」と言う気持ちを込めてフォンを見たら、目が合ったのに反らされた。

 あ……あのときは物理的に、唇で口を塞がれたんだっけ。今、ここで思い出すことじゃないな?



「妖精族と仲が悪いのは、隣り合う国は何かしらいざこざを抱えているもんだろ。その程度の話だ。

 だから、フォンが両親の関係で罪に問われることはない」

「……そうですか」

 フォンがホッとした声で、肩から力が抜けるのがわかった。



 ひっかかるのは、ギルドマスターは「フォンが」と言った。

 一緒に逃げてきた育ての親は……どうなるんだ?


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― 新着の感想 ―
お話が進展していて嬉しくて最初からまた一気読させていただきました!ご機嫌な年末!ざまぁがちょこちょこ入るの胸がスッとしますww
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