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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第十四章 クランでの生活

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部外者の口出し

「さて、Aランクの魔法使いなら入れ物を壊せることが証明できました。みなさん、よろしくご検討ください」

 俺はそう挨拶をして、実験を締めくくった。

 サァラが両手に壊れた入れ物を入れた袋を持ち、ガシャガシャと音を立てながら戻ってきた。

「ありがとう。一つ持つよ」

「はい、これ。面白かったにゃ」

 そこに風の魔法使いが近寄ってきた。

「サァラちゃん、よかったら乾かそうか?」

「あ、嬉しい。頼むにゃ」

 サァラは荷物を地面に下ろして、両手を広げた。柔らかな風がサァラを包む。

 オンはサァラの後ろへ回り、「絶妙な力加減ですね」と風魔法を味わっていた。



 そんなことをしていたら、クランのメンバーではない冒険者に声をかけられた。

「今のなんだ? 何をしていたんだ?」

 目がギラギラして怖い。

「実験です。知りたかったら、クランのトップに訊いてください」

「お前が仕切ってたじゃないか」

 しつこく食い下がってくる。


「バスラさーん。何をしていたか知りたいという人がいますよ」

 帰りかけた集団に向かって、大声を出してやった。正々堂々と話を通すつもりなら、クランマスターがこの場にいるのに俺を選ぶはずがない。


 羽根が生えた背中が、ゆっくりと振り返った。

「ほう、お前か。見ていたなら、見当はついているんだろ?」

 バスラの顔から笑みが消えた。

 オンがその後ろから顔を出すと、その男はびくりと体を震わせた。


「以前、彼女をどこが引き受けるかという話し合いの場で、手を挙げなかった奴が何の用だ?」

 どう見ても、オンが「使える」なら使いたいという下心がありそうだ。

「戦力を囲い込むのは、どうかと思うぜ」

 男は舌打ちしてから、バスラに言い放った。


 この人もクランマスターなのだろう。

 オンがどういう経緯でバスラのクランにいるのか知らないから、俺は二人の言い合いを眺めていた。男の言葉の端々から、オンをただの兵器として見ていることがわかった。

 オンには聞かせない方がいいんじゃないか、これ。


 そこに、アーデンが割って入った。

「今、二人の話を聞いた範囲での意見だが――もしそっちのクランがこの件に一枚噛みたいんなら、今まで彼女にかかった経費を折半するくらいの覚悟が必要なんじゃねぇか?」

 それを聞いたバスラが笑い出した。

「ああ、そうだな。リスクも金も負担したくないが、成果だけ横取りしようなんて虫が良すぎる。

 話し合いのテーブルに着きたけりゃ、相応の覚悟を見せてくれ」

 挑発するようにバスラが顎を上げ、男を見下した。バサリと翼が風を起こす。


「あたしは魔力制御の練習でここに通う予定なので、うっかり怪我させたらごめんなさいね」

 オンは、たぶん脅しのつもりで言ったわけじゃないと思う。だが、タイミング的に「自分に近づくなら覚悟しろ」と受け取られたかもしれない。

 男はさっと青ざめた。

「いや、ちょっと、興味があっただけで……」と男の言葉は尻すぼみになり、大人しく引き下がった。


「あたし、何か言い間違えたでしょうか?」

 オンが首をかしげる。

「バスラさんにお金を払えと言われたから、逃げたんじゃないかな?」

 ルナがオンの発言には触れずに、いい感じでまとめた。


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