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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第十章 変わるもの

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次に向けて

 フォンのサークレットのことが少しわかったので、俺たちは街に戻ることにした。サァラがフォンを馬に乗せてゆっくり進み、ルナと俺は荷物を背負って歩く。

 その日はホテルで体を休め、翌日に冒険者ギルドに顔を出した。


 ギルドマスターに、フォンのサークレットを外すため、王都に行きたいと相談する。

「それがいいとは思うんだが、道中の警護とかいろいろ問題があるよなぁ」

 ギルドマスターは頬杖をついた。


「ぬいぐるみを王都に納品するんですよね? その商隊の護衛として同行するとか、どうでしょう?」

 古道具屋で教えてもらった案を出してみる。


「ああ、そんな話もあったな。

 えーと、日程とメンバーはどうなっていたんだっけ?」

 ギルドマスターが職員に尋ねた。


「五日後に王都に向けて出発しますね。

 護衛は冒険者パーティーが一組つきます。あと二、三人なら護衛を増員できるのですが。

 Cランクなら一人当たりの報酬が減りますけど、それでもいいなら同行可能かと。

 ただ、『花猫風月』自体に護衛がついているので、それをどうするか……」


 職員は瞬時にあれこれと考えを巡らせている。


「あ、そうだ。ぬいぐるみのばあさんと、お前たち顔見知りだったよな?」

 ギルドマスターが、ぱっと顔を上げた。


「ぬいぐるみのばあさん? 誰ですか?」

 ルナが眉をひそめた。


「マーガレットさんですよ。グレタばあさんと呼ばれている方。

 出来上がったぬいぐるみとグレタばあさんが王都に行くことになっています。ご家族が同行するかでもめていましたので、そこに滑り込むのはいかがでしょう?」


「商業ギルドから護衛に強い傭兵を一人出してもらって、道中こいつらに護衛のコツを教えてもらったらどうだ?

 それが身についたら、今つけている護衛を外せるようになるだろ」

「いい考えですね。

 Bランクのミナスがパーティーに加わってくれたらと考えていましたが、相性が悪いようなので」

 ギルドマスターと職員がどんどん話を進めていく。


「ちょっと! そんな思惑があったのか? 勝手なことすんなよ」

 ルナが文句を言う。

「無理だにゃ、あんなやつ」

 サァラの目つきが鋭くなった。


「そうですね。冒険者の心得を教える講義にも来ませんでしたし、扱いかねる人物でしたね。

 もう、他の街に行ってしまったのでしょうか」

 職員はミナスに対する評価を変えたようだ。


「あの後、ダンジョンで会ったから、まだ潜ってるのかもよ」

 ルナが興味なさそうに言った。


「え? トーマさんが罠を仕掛けたときの話ですか? 一週間くらい前の話ですよね。

 ちょっと、ダンジョン受付の記録を見てきます」

 職員が慌てて出て行った。


「本当にトラブルメーカーね、彼女」

 フォンが呟いた。


 養鶏場の従業員は、卵の納品の帰りに冒険者ギルドに顔を出すという。

 その時間に合わせて、俺たちも出直すことになった。



 再度冒険者ギルドに顔を出したら、ギルドマスターは打ち合わせ中ということで、会議室に案内された。そこで、職員さんと養鶏場の従業員と話し合う。


「俺たちは本業の養鶏があるからついていけない。あんたたちが同行してくれるなら安心だ。グレタばあさんは出発の前日にこっちに連れてくるから、よろしくな」

 そう言って、養鶏場に帰っていった。



 ということで、王都に行くことが決定した。

 俺、この国のことあんまり知らないんだよなぁ。


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