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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第九章 ダンジョン

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ダンジョンを出たところ

 ダンジョンの三層から出口に向かう。

 途中で数匹の鉱石スライムとラグラットを討伐し、小さな魔石を拾った。

 もう二人一組なんてことをしないで、四人で共闘する。あっという間で、楽勝だった。



 数日ぶりの太陽が眩しい。

 なんとなく両手を挙げて、伸びをしたくなるよな。


 ルナが受付で帰還手続きをする。


 その後ろで、サァラも伸びをしながら言った。

「まだ日が高いから、帰ろうと思えば街に帰れるねん」


 その言葉に、一瞬沈黙が落ちた。

 三層から早々に撤退して、なんとなく消化不良なのだ。


「ここはレスタール王国との国境にあるんにゃ。

 このままトーマの里帰りに行っちゃう?」

 サァラが思いがけないことを言いだした。


「よくしてくれた宿屋のオヤジさんに元気な顔を見せてやるのもいいかもな。

 無事がわかったときに、わざわざ手紙をくれたんだろ?」

 手続きをしていたルナがこちらを振り返った。


 手紙のやりとりは冒険者や商人に頼むことが多く、不確実だし、いろいろと面倒なのだ。

 親代わりだと言ってくれた言葉を思い出す。


 ただ、山猫亭に向かうなら、その途中でエレッサの街を通る。冒険者ギルドのエレッサ支部は不正が発覚して、大変らしい。

 それが判明する引き金となった俺と一緒にいたら、嫌な思いをする可能性がある。


「別に実家まで帰らなくても、あちらの国で料理を食べて来るだけで気分転換になるかもしれないわよ」

 フォンが微笑んだ。

 食べたことのない料理を期待しているだけじゃないか?

 まあ、俺も久しぶりに食べたいし、食材を買ってくるのもいいかもしれない。



 そこに、水を差す人がいた。

「すみません。国を出られると護衛できなくなるので、トゥルメル支部に戻ってギルドマスターと相談してください」

 ルナの手続きをしていたギルド職員だ。


「そういえば、護衛してもらっていたわね。

 昨日のおちびさんたちはどうなったのかしら?」

 フォンが質問した。


「昨日のうちに支部まで連行しました。今頃、事情聴取をしていると思います」

 職員が背筋を伸ばして、キリッと受け答えする。


「隣国に行こうかってのは単なる思いつきだから、いいけど。

 なんか、あたしたちの方が監視されてる気分だね」

 ルナが苦笑いした。


「自由な冒険者じゃないにゃ~」


「ごめんな。なんか、厄介ごとを持ち込んで」


「いいえ、トーマのせいじゃないわ。

 私も護衛対象だから、メンバー四人のうち二人が注目の的なのよ」

 フォンが冗談のように言って、和ませようとする。


「なんだよ、人気者じゃん」

 ルナが笑い飛ばす。

「そうだ。この機会に対人戦とか気配察知の修行でもするか」



 ちらりと、「斥候」のミナスならそういうことが得意そうだと思った。

 あんなふうに嫌なことをされなければ、こちらから声をかける未来があったかもしれない。


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