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君のいない夜空なら今日僕は死ぬ  作者: 源 蛍
第三章 川の神の戯れ
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番外編というか何というか『高身長親友は見守る』

今回はあの友人の一人称〜。

 朝七時。大体、いつもこの時間に起床する。駅までは近いし、一駅進むだけだし、更にはそこから学校まで三十分かからないし。のんびりさえしなけりゃ遅刻なんてしない。


(あい)くん、ご飯出来たよー。まだ寝てる?」


「お、和泉(いずみ)おはよう。いつもサンキュ、もう行くよ」


「着替えてからねー」


「分かってるって」


 妹の頭を撫でて、さっさと着替えを始める。俺は高一だけど、中二の妹に飯は頼んでる。毎日親いないし、俺は作れないから。

 だからすっごく感謝してる。和泉のお陰で、俺は今日もあのアホな友人達と笑えるんだ。


「和くんさ、最近楽しいことでもあった? 何かにこにこしてるなって」


 登校中、和泉が変なことを訊いて来る。俺、そんな笑ってるか?


「んー、特に変わりはないけど、最近クラスに転入生が来たんだよな」


「へぇ、転入生? 女の子?」


「うん、赤い髪が特徴的な、凄い美人なコだよ。何かハナシュンと幼馴染みらしいんだけど、俺は聞いたこともなかったんだよなぁ」


「え、花菱先輩って彼女いるでしょ? ほら、あの灰色の髪の毛した、何処かのお嬢様」


「矢吹な。転入生とはそんな関係じゃないってさ」


「ふーん、怪しいなぁ」


 和泉はどうしても疑うみたいだ。ハナシュンが言うなら、嘘だってことはない筈だけど。アイツは隠し事が苦手でバカ正直だし。

 そんなアイツだからこそ、瀬川さんのことに違和感を覚えるのだが。


「さて、到着っと。お、サッカー部もう練習してんのな。相変わらず朝強いねアイツら」


「あ、本当だ。遠くから見ても分かりやすい。あの人が転入生でしょ?」


「あー、いるんだ瀬川さん。そりゃまぁそうか? ハナシュンにべったりなイメージあるし。妹くらいにしか見られてないだろうけど」


 ハナシュンに矢吹、滅多に来ないけど谷田崖とは教室で会える。その他はクラスや学年が違うから、基本挨拶しない。

 あ、梅原さんは別だな。あの人一応俺とも幼馴染みだし。

 ──三年前、いきなり入院したって聞いて、更には記憶を失ったって告げられた時は他の全部忘れてビビった。そして真っ先に、ハナシュンの顔を窺った。


「あんな顔はもうしてほしくねーな……」


「和くん! おーい生きてる?」


「ん? あ、悪い何?」


「何? じゃないよもうっ」


 和泉は自分のバッグから、風呂敷で包まれた俺用の弁当を取り出した。


「ああそっか、和泉と俺校舎違うんだった。サンキュ、また帰りな」


「しっかりしてよ? またね和くん! ──あ、りり! おはよーりり〜!」


「ゲッ、コタケ妹」


 和泉は、今登校して来たハナシュンの妹、花菱李々華の元へ駆けて行く。明らかに鬱陶しそうにされてんのに、全くダメージを受けない俺の妹メンタル怪物か。ハナシュンと相性悪いんだろうなぁ。

 にしても俺らって、兄は兄と、妹は妹と仲良いって凄いよな。本当助かる。


「あっ、ヤスダ。今登校か? いつもより遅いじゃん」


「コタケ、おはっス。いやさ、祭りの写真現像してたら朝方で、急いで寝たらこのザマだよ」


「アホだなお前。始める時間考えろよ」


 ヤスダは、中学からの友人だ。独りでゲームばかりしていたコイツに、俺とハナシュンで声をかけたことがきっかけで、仲良くなった。

 ま、声かけようって言い出したのはハナシュンだけど。


 ハナシュンは凄い奴だよ。好きなもののためなら一生懸命に貫き通せるし、どんな目に遭っても挫けない。常に人と一線を置いてる俺とは大違いだ。

 昔からサッカーバカで、洪水する程の大雨の日でも練習を続けてた。お陰で風邪引いたのは、笑い話だけど。

 でも、それだけ一途に取り組めるってことだろ? 勿論邪念や煩悩がない訳じゃないけど、それ以上に好きなものを大事にしてる。

 だからさ、


「あっ、コタケ君とヤスダ君。お、おはよう。こんなとこで立ち止まってどうしたの?」


「あ、矢吹。おはよう。部活始まってんよ?」


「……僕いつも遅刻だから」


「あはは、確かに。んじゃあ早く行ってやりな? ハナシュンが待ってると思うから」


「うーん、花菱君はサッカーしてると、僕のことなんて眼中になくなるからなぁ」


「そんなことないって。それにこれ以上遅刻したら、梅原さん怖そうだろ?」


「う、確かに……」


「はい、行った行った! てことでまたな! ハナシュンは絶対矢吹のこと忘れたりしないから、気にしない方がいいよ。俺が保証する」


「それは、心強いね」


 ──ハナシュンは絶対に、矢吹を幸せに出来る。ちゃっかり自分まで幸せになる。そういう奴だ。


「あの二人、死ぬまで上手く行くといいよな」


 さっきまでビビって口も開けなかったヤスダが、ボソッと言う。思うことは同じみたいだ。


「上手く行くよ、絶対。後悔なんてしないさ、あの二人なら」


 だから俺は、最後まで見守るだけだ。

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