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君のいない夜空なら今日僕は死ぬ  作者: 源 蛍
第二章 陽の光に照らされて
31/87

2─3

誤記多過ぎて幾つか訂正。

……え?誤字脱字全部なおせ?

じ、時間かかりそう……!


引き続きよろしくお願いしていただけると嬉しいです♪

 痛い。痛い物凄い左頬が痛い。詰まるところ、李々華が容赦ない力で殴って来た左頬が激痛に襲われてる。ってこと。

 ……セフィは未だお風呂に入っていて、俺はその間自室で待機。家族達に目一杯お腹一杯怒られたので、不貞腐れております。

 だって仕方ないだろ? もう身体でも洗い始めて脱衣所にいると思ってなかったんだし。その上、男だと思ってたし。

 セフィ、色白で全身超綺麗だった。


「もっとちゃんと見ておけばよかった……って、その前に李々華の鉄拳で視界がシャットダウンしたんだったな。無理だ無理」


 母さんは何か、風呂場前で待機してた。口の端に涎を滲ませて、何やら手をグーパーグーパーさせてた。

 あの痴女母、セフィにまで手を出そうとか考えてるっぽい。やめるように説得したら、『あんたの彼女じゃないんだから私の自由よ』とか言われて戦意喪失した。あの人はもう手遅れだ。


「花菱君、ちょっといいかな」


 御愁傷様セフィ、なんて心で拝んでいたら部屋の扉をノックされた。可愛らしい高めのアルトボイス、セフィだ。


「ちょっと待ってくれ、鍵開けるから」


「うん、ありがとう」


 部屋の物をとにかく片付けて、矢吹が家に来た時みたいな失態がないように女の子に見せるべきではない物を即興カーテンで隠す。

 これで準備万端。俺は鍵を開けてお風呂上がりのセフィを部屋に招き入れた。


「お風呂ありがとう、お礼は今度するね」


「いや、気にしなくていいって母さんも言ってたろ?」


「うん、ただ代わりに『おっぱい揉ませて』って言われた時は困惑したけど……」


「うちの母がごめんなさい」


 セフィは遠慮がちに微笑んだ。何だろう、女の子って分かってから可愛さが千倍増しになった気がする。もうこの可愛さ反則レベル。

 薄めの白いセーターを着てるセフィは、俺の大好物である太腿を大胆に露出させたこれまた薄そうなショートパンツを穿いてる。要するに、俺のイケナイ心を刺激する服装。

 その上お風呂上がりで少し湿ってて肌が赤らんでるから、もうね、ぐっとくるね。


「花菱君? えと、セフィに何かおかしいとこ、ある?」


「あ、違うそういう訳じゃない。可愛過ぎて見惚れてただけ。襲いたいなんて思ってました──じゃない忘れてくれ」


「花菱君って面白い人だね」


 おかしそうに笑うセフィが余計な可愛さをフルに発揮してくる。自分には矢吹という彼女がいると分かっているのに、この可愛さには勝てなそう。

 セフィは何かを思い出した様に「あっ」と声を漏らした。それがちょっと、色っぽかったです。


「どうした? 何か忘れ物でもしたか?」


 いや何処にだよ、と思いつつも撤回はしない。俺は一度言ったことを……貫けてないな。何でもありません。

 俺の疑問を首振って否定したセフィは、持参した大きめのバッグから小さい箱を取り出した。

 ギブアンドテイク饅頭。そう書いてある。


「お饅頭、サッカー部の人達にあげなってお父さんが。勿論花菱君にも。偶然会えてよかったよ」


 肩を竦ませて微笑むセフィは同じ饅頭を取り出して仲間アピールをしてくる。可愛い。


「俺も、セフィと会えてよかった。男と勘違いしたまま遠征行くことにならなくてよかった」


 絶対一緒に風呂入ろうぜとか言い出してたと思うから。


「うん……ねぇ、どこまで、見たんだ……?」


「うっ……んと……」


 セフィが物凄い顔真っ赤にして俯く。そりゃそうなるよね、裸見られたら、そうなるか怒るよね。怒らない分君は女神みたいな優しさを持ってると思います。

 黙っててもいいことはないので、俺は本当のことを打ち明けることにした。


「李々華が途中で顔面を殴ったけど、結構ハッキリ見ました」


「……どこら辺?」


「お、おっぱいから、太腿辺りまで。特に、太腿」


「……じゃあ、結構大事なとこまで見られちゃったん……だ」


「申し訳ございませんでした。とても美しかったです。ダビデ像の様に部屋に飾って置きたいくらいでした」


「それは流石にダメ!」


 大丈夫、そんなことしたら絶対に矢吹と昇に絶交されるから。脳内で保存するだけにしておくから。

 俺に本当のことを言われて、セフィは縮こまってしまった。体育座りで、自分の顔を覆う様に。

 だけどその体勢だと俺の大好きな太腿をね、気づかれない様に目に焼き付けることが可能なんだわ。


「セフィ、ごめん。えと、何か……ごめん」


「花菱君、語彙力あるのか?」


「矢吹よりも無いかも知れない」


「矢吹さんは頭悪いのかな?」


「学年トップレベルに頭悪いそうです」


「そ、そうなんだ……」


 語彙力は本当に矢吹の方があると思う。けど、頭脳は俺の方があると思うよ。テスト見れば一目瞭然だからな。

 ただ普段の言動からして、俺よりバカそうな人が見当たらない。居たとして、廉翔くらいじゃねぇのかな。

 他皆俺ほどバカじゃないと思う。


「花菱君あのさ、君と矢吹さんは付き合ってるんだよね? 今日、ハッキリ『彼女』って言ってたもんね」


 セフィが急な切り出しをする。一瞬反応遅れたけど、何でその話題? 李々華もセフィも俺の恋愛に興味があるのかな?

 どっちの脚も視界に入るだけでご褒美なので、常に見せててくれても構わないんだぜぃ。恋愛関係無いけど。


「……それでさ、ちょっとだけ提案があるんだけど」


「提案? 俺と矢吹をより深い仲にして、色々と進歩させてくれるとかそんなことなら、喜んで受けるけど」


「違うんだ、そうじゃない。ほら、今日セフィは裸見られちゃった……だろ?」


「はい。そのことに関しては今後セフィに逆らわないつもりでございます。何か言うことを聞かせたいときは、今日の出来事を脅しに使っていただければ……」


「そんなことしないよ。そうじゃなくて──ねぇ、セフィのこと、どう思う?」


「……え?」


 セフィは眼を逸らす。質問の答えだけを待って、俺には眼を向けてくれない。

 セフィのことをどう思うか? 外見について? それとも性格とかについて? 今日見てしまった一糸纏わぬ状態の身体について? 一体どれだろう。


「えっと、まず容姿については過去最強に美少女だと思ってます。名前からして両親が外国人だってのは分かるんだけど、普通に違和感なく受け入れられる様な。そんな感じ」


「……うん」


「性格についてだと、まだまだ出会ったばかりだから難しいけど今のとこは、根が優しいいい子だなぁと。母さんのセクハラや俺のセクハラにも文句は無いし。サービスも満点だし」


「サービス?」


「いや。……んで、身体に関しては母さんの言い分も分かるくらい柔らかそうでぷるんぷるんなおっぱいで、細身だけど人を魅了する為に必要な肉はついていて、勿論サッカーにも活かせるかと。何より三角地帯と言いますか……」


「待って、そこには文句があるよ。それ以上は無し。ストップ。ありがとう、もういい」


 セフィは右手をパタパタ振って俺の語りを阻止した。まだまだ、太腿というとっておきが待ってたんだけど、ストップって言われたら止まるしかないな。

 セフィは胸元を服で扇ぎ、それから残念そうに溜め息を吐いた。まだほんのり頬が赤い。


「花菱君がエッチな人だっていうのはもう分かったよ。だけど、これはセフィの家での決まりごとだから、守ってもらわなくちゃ」


「え……? 決まりって、何が?」


 俺が質問すると、セフィはスッと立ち上がる。脚を一歩進めて、また一歩進める。つまりどんどん俺に接近して来てるんだ。

 充分に俺に近づいたセフィは、触れ合う距離に座る。乗り出してる様な格好なためか、いい匂いが鼻の周りを漂う。

 何かまずい気がして、視界のギリギリ見えるお饅頭を凝視して、壁際まで後ずさった。だけどセフィは逃がそうとはせず、座りながらの壁ドン状態に落ち着いた。


「え、えと……セフィ? どうしました?」


 俺が問うとセフィは一瞬眼を瞑って、顔を近づけて来る。より正確に表すと、唇を近づけて来てる。

 ──そして唇は、俺の頬に優しく触れた。

 今度は俺が赤くなる。全身が熱い。興奮してる──じゃねぇだろ俺。何がどうなってんの……?


「セフィの家系は、自分に恥ずかしい思いをさせた最初の男と、恋人になれ……っていう家訓を受け継いでるんだ」


 セフィは耳まで赤くして耳元で囁いた。俺はというと、マジかよ嘘だろやっちまったよどうしよう。……なんて内側だけテンパってる。


「でも、な? 俺には矢吹って彼女がいるからさ。ちょっとそれは難度高めかなぁとか」


「関係無いよ。その辺なら、矢吹さんはきっと理解してくれるから」


「いや別れさせるとか言わないよな!? セフィ!? 可愛い顔して恐ろしいこと考えるなよ!?」


「大丈夫、別れる必要はない」


 別れたら矢吹も俺も終わり。いや、確か矢吹だけが殺される呪いに逆戻りなんだったか? でも俺は矢吹が好きだから、呪いは矢吹だけってことにはならないだろうな。

 セフィの家、家訓が『責任を取らせろ』とかじゃなくて心底よかった。そんな家訓だったら、俺と矢吹は別れざるを得ない。それはダメ。絶対にダメ。

 矢吹にプロポーズしたばかりなのに他の女子と付き合うとか暗殺案件だろ。


「でも、セフィ? 別れなくていいなら、どうしたらいいんだ? 二人同時に付き合うのか? 昇に殺される想像が浮かんじゃうんだけど」


「……まぁ端的に言えばそうかな。セフィと矢吹さんどっちもと付き合えばいい。セフィの両親に会わなきゃいけない時だけ、セフィの恋人ってことにしてくれればいい。それでいつかセフィが花菱君を振ったことにしたら丸く収まるでしょ」


「今直ぐじゃ、ダメ?」


「ダメ」


 マジですかー……。セフィは部屋から出て行くと、李々華の部屋をノックした。今日は泊まるらしい。

 どうしたもんかねぇ。これじゃ、矢吹に合わせる顔が覆面になっちまうよ。偽モンだよ。

 さっさと風呂入って寝よう。夢オチなんてことも有り得るからな。今朝みたいに。


 そう言えば今日、矢吹の様子が少しおかしかったよな。直ぐに逃げちゃったし──。



「──って提案なんだけれど、矢吹さんお願い出来るかな。うちは家訓に厳しいんだ」


「……うん、まぁそれくらいなら」


 翌日、俺は口から魂を吐き出す感じで着席していた。正面で、俺の机を挟んで矢吹とセフィが会話をしてる。

 夢オチなんて夢の中だった様だ。──意味分かんねぇ。

 でもとにかく、矢吹の視線が痛い。流美たん以上の異常な殺気を俺に満遍なく刺してくる。


「花菱君って、よくそんなふざけたイベント簡単に起こせるよね」


「申し訳ない──待って、今『ふざけた』って言ったよな矢吹。滅多に言わないちょっとだけ攻撃的な言葉だったよな?」


 俺が慌てて問い質すと、矢吹は不機嫌な飼い猫の様にそっぽを向いてしまう。これは由々しき事態ですぞ、旦那。

 セフィはセフィでにこにこしてるだけだし。このコ、あたしと矢吹が破局してもいいのかしら。


「おっすハナシュン。おはよ。隣に転校してきたばかりの美人さんと、矢吹さんみたいな美少女がお前囲んでるとか笑えないな」


「おっすコタケ。おはよ。因みにセフィが転校してきたのは隣のクラスじゃねぇ。一番端のクラスだ。……最後のについては本当ね、何でこんなことになったんだろうね」


「浮気したのか?」


「な訳ねぇだろ。冗談でもやめてくれ」


 コタケはこういう時に限って空気を読もうとしないのが欠点だな。何か笑ってるからわざとだろうけど。

 何やら俺達三人を観察したコタケは首を傾けた。それから教室後方の壁を眺める。コタケの視線の先にはサッカー部の夏大会予定表が貼られていた。

 うちのクラス、三人サッカー部いるから便利かなって俺が貼っておいた。


「どうしたコタケ」


「いや、夏大会って八月からじゃないのかよ? もう遠征の準備してんのか。早過ぎね?」


「それ、()()だろ? 別に大きな大会じゃねぇんだわ今回。大きな練習試合なんだわ。トーナメント制の」


「いやそれ大会みたいなもんじゃねぇの?」


 コタケは眼を半開きで肩を落とした。知らないさ、俺だって最初は大会かと思ってたし。

 でもな、公式が『全日本夏のサッカー大試合』って書いてるんだもん。試合なんだろ。大試合。大会じゃなくて。

 今コタケが出した疑問でようやく思い出せたけど、もう直ぐ遠征の為のバスが到着する。七時に向かうから、六時半学校登校だったんだよな。いつもより遅いけど。


「お、バスの音かな。矢吹、セフィ行くぞ。少し遅れたら昇が怒るから」


「そうだね。行こ」


「うん、大試合楽しみだなぁ」


「やっぱ大試合なのか……」


 俺達が立ち上がると、コタケは頭に左手を置く。何やら納得がいってないみたいだが、仕方なーいじゃーん。公式が以下略。

 略するの早っ。


「じゃ、何日か忘れたけどとにかく行って来るぜ我が友よ!」


「お、おう! 得点王かっ攫って来い!」


 コタケと親指を立て合い、歯を輝かせてお別れの挨拶を交わす。最後にコタケが放った言葉に、俺はフッと笑みを浮かべただけで頷かなかった。

 ──だって、うちのサッカー部から得点王が出たとして、絶対流美たんだし。俺MFだし。

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