「夜です。おなかがすきましたが、今日は親が家にいないので自力でなんとかしなくてはいけません」
おなかへったな~、お母さん遅いな~と思いながら、何か簡単に食べられるものは無いかと台所へ向かって、テーブルの上に書置きがあるのに気がついた。
「急な用事でお父さんと出かけます。帰りは遅くなりますので、これで適当に何か食べてください……?」
書置きと一緒に千円札が二枚も置いてあったので、うむ、とひとつうなずいて自分の財布にしまう。家にあるもので適当にご飯をすませてしまえば、これは全てあたしのおこづかい♪
臨時収入うれしいなの歌を歌いながら、炊飯器の中をのぞくと……空だった。
冷蔵庫の中を確認する。レンジでチンするだけの冷凍食品はない。
お野菜やらの材料はあるが、調理しないですぐに食べられそうなものは入っていなかった。
く、このあたしに料理をしろというのかっ! 少し考えてから、あいつに電話してみる。
「暇なら、うちに来ない? なんかご馳走するからさ」
『……飯作れ、ってはっきり言え』
ああ、ばれてる。
やってきた彼は、ざっと台所を見回して、「パスタがあるな」といってすぐにゆで始めた。
にんにくとたまねぎとベーコンをオリーブオイルでさっと炒めて、茹で上がったパスタを絡めて塩と味の素で味を調え、最後に刻んだかつお梅をまぶす。
「うめぼしパスタだ」
「ありがとう! 料理できる男の子ってステキ!」
あたしはすっかり、餌付けされてます。
「ところで今日、親、帰りが遅いんだけど……お礼にあたしたべてく?」
あたしが言うと、あいつはぶほっとふき出して、鼻からパスタたらしてた。失礼なヤツ。
ともえさんと護くん。肉食系女子と草食系男子。別に女の子が料理できなきゃいけないってわけじゃないんですけれど、うちの妹は彼氏できるまではまったく料理しようとしなかったな、などと思いながら書いたお話。
うめぼしパスタはけっこうおいしいですよ。




