第1話〜悲惨
本作をお読みいただきありがとうございます。
物語の展開上、一部に恐怖感を与える描写や、センシティブ・不快に感じられる可能性のある体験談風の表現が含まれております。
トラウマをお持ちの方や、こうした刺激の強い描写に不安を感じられる方は、ご自身の体調や心理状態に合わせて閲覧をお控えいただくなど、十分にご注意のうえお読みくださいますようお願い申し上げます
ところがわたしは、その時に限って、もし橋の下を通ったらまるで冒険しているかのような新鮮な体験を得られるだろうか、とか。あまり避けて通るのは浮浪者の人たちが可哀想、だとか、この橋の下を通った方が団地までの近道なのではあるまいかといったような、雑念邪念に惑わされてしまったのです。なんと無謀な……。
その時には思わなかったに違いないのですが。
川といってもドブ川と呼んでもいいような、当時はよくあった生活排水垂れ流しのような汚物の匂いの立ち籠めるような空間がそこにありました。
知らない男の声で
「おい!君!」と呼びかけられたのは辺りを見回す直前でした。
当時のわたしはいきなり知らない人と気軽にお話出来るような活発な子供ではなく、人見知りが激し過ぎるくらいの意気地なし(語弊があるかもしれませんが)だったのです。
『駄目だよう。子供が独りでこんな湿った場所に来たら……』
中年らしい男が嘲笑うのを感じました。私はそれだけで震え上がってしまいました。でもまだ、知らないにしても他人から声を賭けられたことに歓びをすら感じていたのです。
『道に迷ったのかい?こっちへおいで』
などという別の声も聞こえます、相手が最低でも2人いるということを知って、わたしは震え上がりました。
『こっちへおいでよ。そこにいたら危ないよ。川に落ちちゃうだろ』
と、こちらを誘っているようなのです。男たちは相変わらず妖しく嗤っております。
わたしはすっかり脚が竦んでしまって、もはや身動きすらとれません。声も出ません。全力で逃げるべきだ!悲鳴をあげるべきだ!
とは思うのですがどうしても動けませんでした。わたしはその時点ですでに自分の運命を悟っていたのです。
生きて帰って母親との朝以来の再会をたさ果たせたならラッキー!そうでなかったらもう二度とこの世を見ることは出来ない、とまで思い詰めて。
わたしは、男たちのご機嫌を兎に角取らなくてはならない、と自分に言い聞かせるよりなかったのです。
ひ、ひ、ひ…。男たちは下卑た笑いを続けます。今となっては憎しみをすら覚えます。それでもわたしはいつか、この日が来るのだというのを本能的に知っておりました。
そんな思いを知ってなのか、男の一人、歳上っぽい方が、
「初めてかい?」
などと優しく聞いてきます。いや、そんな優しさなどただ装っているだけなのに違いなかったのです。わたしが意味も分からず黙っておりますと、
「まあいい。そんなことはすぐに分かるさ。でもまあ、そんな歳ではないのだろうな」
わたしにはわからないことを聞いてきます。そんな歳とはどんな歳のことなのでしょう?
「もっとこっち来いや」
若い方、妙に陽に焼けた色黒の方がわたしの手首を掴み、ぐいと引っ張りました。
わたしはいつかこんな日がやってくるのを心のどこかで知ってはいましたが、まだ覚悟は出来てはいなかったのです。
嗚呼━━。嫌だ!わたしはこのような事を書いて書いてもよろしいのでしょうか?これは何かの役に立つのでしょうか?これは誰かを傷つける、いけないものなのでしょうか?
どうかセンシティブな方々、かつて同じような被害を受けた方々はお読みにならないようお気をつけくださぃませ。それだけ お伝えして、少し休んで次なる方針を考えようと思います。しばらくお待ちくださいませ。
第1話をお読みいただき、本当にありがとうございました。
過去の重い記憶や感情と向き合いながらの執筆となるため、更新は自分の心身のペースに合わせて無理のない形でお届けしていく予定です




