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第20章 華美な撤収に酔う

亮は少年刑務所へ移送された。


意識不明のままのゆりあだったが

意識を取り戻した。

「ゆりあちゃん!」

大河が涙目で呼び掛けた。

「りょーちゃんは?」

「亮は少年刑務所に...」


聞かされ

ゆりあはそっと涙を流した。


週末に航太、恭太や亮の仲間たちが見舞いに来た。


「ゆりあちゃん。守りきれなくてごめん」

ゆりあは右手を左右に振って

そんな事ないよのジェスチャーを見せた。





1ヶ月半後、ゆりあは退院した。

航太の母親が甲斐甲斐しく世話をしてくれた。

「ゆりあちゃん、当面は航太の家で過ごしましょう。その体じゃまだ大変だし」

「先生...」

ゆりあは航太の母親からピアノを習っていたので呼び方が先生だった。

「女の子の子供が欲しかったの。少しの間だけでもお母さん代わりをさせて欲しいな」

「あのう、先生...」

ゆりあは感極まり泣いた。


「あーー、母ちゃん泣かせた!」

「違うの、こうちゃん。嬉しくて」

「ずっと俺ん家居ていいからなっ!」

「そうよー、ゆりあちゃん」


「こんなアタシなんかを。親も居ないしりょーちゃんは刑務所だし最悪な環境のアタシなんかに親切にしてくださって...」


「何いってるの!ゆりあちゃんの事は小さい時から見てるから親戚気分よ。ゆりあちゃんが無事に退院出来て嬉しいわ」


「今日パーティーやろー!」

「航太、ナイスアイディア!」











ガラス越しに亮とゆりあは向かい会った。

「りょーちゃん」

「ごめん」

「ううん。いいの、大丈夫」

「本当にごめん、覚えて無いんだ僕」

「うん」

「もう僕は兄失格だって分かってる」

「りょーちゃん、そんなことで言わないで。待ってるからっ!りょーちゃんとまた一緒に暮らしたいの!ゆぅを一人にしないでっ!」


「ゆぅーちゃん」


亮の固く結んだ拳に涙が落ちた。


「俺は何回同じ事を繰り返すんだろう...」


それから10日後

少年刑務所より亮の訃報が届いた。



ひっそりと火葬場で焼くだけだった。

ゆりあ一人で全てを終わらせた。

遺骨を持って自宅へ戻ると

親戚の叔父叔母が玄関先に立っていた。


「ゆりあ、大変だったな」

「いえ」

「ゆりあ、その火葬場に行けなくて申し訳ない。仕事でどうしても抜けれなくて」

「別に構いませんよ。叔父さん叔母さん全員が仕事をしている訳でも無いのに来ないのは、大体察しが付きますから。では、お気を付けてお帰りください」


自宅へ招く気など一切なかった。


「ゆりあ、中で話そう」

「結構です。お帰りください」






両親の保険金、亮の保険金、自宅売却額を持ち、ゆりあはアメリカへ発つことにした。


「ゆりあちゃんの実家はここよ。いつでも帰って来るのよ」

「先生ありがとうございます」

「寂しくなるわ」

航太の母が泣いた。


「先生、向こうへ着いて落ち着いたら手紙書きます。先生、こうちゃん、お元気にお過ごしください。本当に今まで有難うございました」


「ゆぅ...」

「ゆりあちゃん」

恭太も大河も他の仲間たちも皆、泣いた。



ゆりあを乗せた飛行機が離陸した。

飛行機を見つめながら

「ゆりあちゃんの人生って一体なんだったんだろう...。両親を同時に失って、兄に暴力を振るわれ続けて。それでも亮の改心を信じて。失って。天涯孤独になって...」

「可哀想すぎるだろうに」


皆がそう思ってた。










「hey, Yuria」

「Hi, Tommy」

「Yes, how are you?」

「I’m good.」


アメリカへ渡り

中学へ通いだした。

友達も出来、快適な生活を送っていた。



あーーーアメリカ楽しい!


亮が少年院に行った時はどうなるかと思ったけど直ぐ帰って来てくれて

「やったーー!待ち望んだ灯だーーー!」って思ったもんよ。

あのクソ親父、亮が居ないことをいい事に毎晩アタシの部屋に来やがって。

クソババアだって知ってるくせに助けなくて。

本当、殺してやりたいって何度思ったことか!

亮がそばにいてくれないと

この計画はおじゃんになる所だったわ。


クソ親父の関心を自分だけにしたくて

アタシを中学受験させて遠くへ追いやろうと

クソババアは躍起になってけどさ

誰が中学受験なんてするもんかっ!て話よ。


クソババアは無駄に疎外感感じてて笑ったわ。


アタシはアタシの小さな世界を守りたかっただけ。

それぞれの大切なものってあるでしょう?

私にもあるの。


図書館で催眠術やマインドコントロールの書籍を見つけた時、これだ!って

小さいながら思った。


亮、アンタの名前を一文字ずつ分解すると

り よ う

そう、アンタを利用して催眠術を練習してたの。

ジジイもババアも殺してくれて有難う。

刑務所で面会した時も実験、試してたんだ。

連絡が来た時

「やった!実験成功じゃん!」

て舞い上がっちゃったわ。


亮、アンタが消えてくれて


Thanks so much.



アタシはアタシの

人生の運転席へ座り

ハンドルを握って進んだの。

今、 that’s great!


うふふ。


perfect plan.


最後までお付き合いくださり有難うございます。

今回は初めて後味の悪い作品に挑戦してみました。

よろしければ、感想を聞かせていただけると嬉しいです。

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