4歳になりました
たくさんの中から選んでくれて、ありがとうございます。
「「「「リリアーベル!ユーリアス!4歳のお誕生日おめでとう!」」」」
「「ありがとうございます」」
僕たち双子は、今日で4歳になりました。
今は、家族だけで誕生日の御祝い中だ。両親に、父方のお祖父様や、母方の祖父母も皆が集まっている。
あれから、リリも僕も成長して、大きくなりました。リリは、言葉もハッキリと話せるようになり、更に素晴らしい女の子に成長。
僕も、運動と勉強の毎日で、知識だけじゃなく、体力もかなり付いてきた。
3歳の時より、顔つきも少しだけお兄ちゃんになったと思うよ。(フフン)
「いやぁ、ユーリアスもリリアーベルも立派になったな。少し前まで、こんなに小さかったのに、あっという間に大きくなって…」
目頭を押さえて、ウンウンと頷いているのは、現ゴルドリッチ家の当主であるお祖父様だ。今は、ちょうど社交シーズンで王都に滞在中だ。
お祖父様は、まだ現役で元気なので、しばらくはお父様に家督を譲る気は無いようだ。
普段は、当主としての仕事があるので、領地の本邸に住んでいる。
お父様も、家を継ぐまで近衛騎士団を辞める気はないので、僕たち家族は王都の家に住んでいる。
領地は王都の近くにはあるが、僕たちが小さかったので、まだ領地まで行ったことはない。お祖父様に会えるのも、社交シーズンの時期だけだ。
「あとでプレゼントもあるぞ。お祖父様と一緒に見てみるかい?」
「わぁ、すごく楽しみです。ねぇ、ユーリ」
「そうだね。でも、リリは、ケーキの方が楽しみじゃない?昨日からケーキのことばかりだったもの。」
「ちょっとユーリ!それじゃあ、私が食いしん坊みたいじゃない。」
リリと僕のやり取りに、皆から笑いが溢れる。
頬を膨らませて拗ねるリリも、世界一可愛い。僕と似てる筈なのに、僕より数億倍も可愛いなんて本当に天使。
家族だけの誕生会は、たくさんの愛情と祝福を貰って、何事も無く過ぎていった。
♢♢♢♢♢♢
それから数日後、そいつは突然やって来た。
お祖父様に我が家の騎士達の訓練場を案内しようと外に出るところで、あの女と鉢合わせてしまった。
「お祖父様、アンナマリーです。お久しぶりです。」
「ああ、アンナマリー元気だったかい?今日は、どうしたんだい?何か用があれば、お祖父様が君の所に顔を出したのに…。」
お祖父様は、僕たち双子とアンナマリーの事情を知っている。だけど、アンナマリーもお祖父様の孫だ。困った顔をしながらも、強くは言えないようだ。
大体、何しに来たんだこの女。いくら親戚でも、突然押し掛けてくるなんて失礼だろ。
それに、あの件の後から、我が家には出禁のはずだが、常識がないのか。
「お祖父様にお会いしたくて、お父様に付いてきてしまいました。」
首を少し傾けてニコッと笑う。本人は可愛らしく見えるように必死なようだが、リリの可愛さの足元にも及ばない。
「父上、その、双子の誕生日プレゼントを持ってきたんだ。そしたら、アンナマリーがどうしても父上に会いたいと言うから仕方なく…。」
出迎えたお母様は、微笑んでいるように見えるが、目が笑ってない。絶対に怒っている。お祖父様も伯父のことを睨んでいるので、内心怒っているようだ。
ちょうど、リリは新しく咲いた花を見るため、庭の方で庭師と何やら談笑中だった。暫くは、戻って来ないだろう。リリが顔を会わせなくてよかった。
「ウィルお前と言うやつは、わざとテオドールのいない時間を狙って、訪ねてきた訳ではないだろうな。」
お祖父様が、怒気の含んだ低い声で伯父に言葉を向ける。
「いや、そんなことはない。ただプレゼントを渡したかったんだ。ユーリ受け取ってくれ」
伯父が僕に向かってプレゼントを二人分差し出す。
「…ありがとうございます。」
断ることも出来ず、仕方なくプレゼントを受け取ると、伯父がホッとしたように安堵の表情を見せる。
その隣では、アンナマリーが、うっとりとした顔で頬を染め、じっと僕を見ていて気持ち悪い。
僕は、その場から早く立ち去りたくて、貰ったプレゼントをメイドに渡すと、お祖父様に声をかけた。
「お祖父様、早くしないと騎士の訓練が終わってしまいますが、今日の見学は止めておきますか?」
「おお、そうだな。今日は止めて明日に…」
「まぁ、騎士の訓練が見れますの?私もご一緒に見学してみたいです。」
お祖父様の言葉を遮り、アンナマリーがそう言うと、突然僕の左腕にしがみつく。
気持ち悪くて、全身一気に鳥肌が立つ。
「やめろ!何するんだ!離せ!」
腕を離そうと、引っ張るが、なかなか離れない。力を付けても、まだ2歳の差は埋まらないのか。
はぁ、そういえば、4歳もまだ普通は非力だったな。それとも女の執着が凄いのか?
どちらにしても、気持ち悪いから離れて欲しい。
「コラッ!アンナマリー離しなさい!」
僕が嫌がってるのを見て、顔を青くしながら、伯父がアンナマリーを引き剥がそうとする。
「ちょっと!うちの子に何するの!」
お母様も激怒して、僕の体を引き寄せるが、アンナマリーは離れない。
そんな騒ぎに、外に居た護衛等も何事かと慌てて駆けつけるが、他家のご令嬢を乱暴に扱うことも出来ず手が出せない。
このままでは不味いと思った瞬間、天使の怒りの声が聞こえた。
「あなた、ユーリに何してるの!ユーリが嫌がってるでしょ。今すぐ離して!」
その瞬間、ホール全体に激しい突風が巻き起こる。
「キャー!」
叫び声と共に、アンナマリーと彼女を引き剥がそうとしていた伯父が、後ろに吹き飛んだ。
「リリ!落ち着いて!リリ!」
お母様が、必死に手を伸ばして叫んでいる。そこには体から魔力が溢れだし、見たことないほど、怒りに顔を歪ませたリリの姿があった。
「このままではマズイ。屋敷が吹き飛ぶぞ。なんて、魔力なんだ…。」
お祖父様が、僕とお母様を支えてくれるが、僕たちも吹き飛ばされそうだ。
「リリ!僕はもう大丈夫だよ!だから、安心して!落ち着いて!」
僕の声が聞こえてない。怒りに支配されて周りが見えてないようだ。
「このままじゃリリが危ないわ。何とかしないと…」
お母様が、リリに近づこうとするが、風圧で近づくことが出来ない。
風の威力が少しずつ上がり、周りの物が吹き飛んでいく。
「お母様、僕がリリを止める。僕がリリの所に行くから、僕を支えて」
「わかったわ。一緒にリリを助けましょう」
少し悩んだお母様が、僕に身体強化の魔法をかけてくれた。
「リリ!僕だよ!ユーリだよ!こっち見て!」
リリに近づくと、リリから漏れ出る魔力がチリチリと体に伝わる。
声をかけても、リリと目が合わない。
「リリ!リリアーベル!…………いっ…」
名前を叫んだ瞬間、僕の頬に割れたガラスが当たり傷が付いた。
その瞬間、リリと視線が合った。
「あぁぁぁ……ユーリ…ユーリ…血がでて…」
少しだけ、風が弱まった。今だ!
「リリ!もう大丈夫だよ!」
「ユーリ…ケ…ガ、痛く…な…ぃ…」
僕は、リリとの距離を詰めて、直ぐ様リリを抱きしめる。すると、リリの力が抜けて、風がピタッと収まった。
「お母様!リリが、意識がない!どうしよう!リリ!」
「ユーリ大丈夫、もう大丈夫よ。急に魔法を使ったから、気を失っただけよ。リリを休ませてあげましょう。」
意識がないリリを、お母様が抱き上げる。
「お義父様、後はよろしくお願いします。」
「ああ、わかった。リリとユーリを早く休ませてあげなさい。」
後始末はお祖父様に任せて、お母様がリリを部屋へと運ぶ。
部屋へ向かう為、階段を上がる。周囲を見渡すと、ガラスの破片や割れた花瓶など、辺り一面が滅茶苦茶だ。
これって、かなりマズイのでは?
この世界、魔法を習うのは5歳からだ。それまでは、魔力が有っても使えないはず。
それなのに、リリは魔法を使い、しかも溢れ出す魔力が尋常じゃなかった。
リリの体は、大丈夫なのか…。
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