可愛すぎる姉の笑顔に、内緒の特訓
(今日は、見学だけして早めに帰って、お互い離れてた寂しい時間を、リリとの楽しいお茶会で癒そうと思ってたのにぃぃぃ。俺の癒しの時間がぁぁぁ。)
元々、これ以上ないくらい嫌いだったが、違う世界に飛んでいって欲しいくらい、更に嫌いになったよ。名前を呼ぶのも嫌になる。
嫌い過ぎて存在を忘れていたなんて、それで、またリリに迷惑をかけて、俺は何も変わってない。
リリを守るなんて言って、いつも俺の厄介事にリリを巻き込んで、もしまた、リリに何かあったら…俺は…。
(よし、海に沈めよう。そして、他の世界に転生してもらおう。)
俺たち双子の害にしかならない存在なら、もう逸そ、居なくなってもらおう。俺も転生出来たんだから、きっと誰でも転生できるはず。
突然、誰かがツンツンと、袖を引っ張る。
「ユーリ、何か怖いこと考えてない?あのね、対決のことで責任を感じてるなら、それは違うからね。」
リリが、俺の袖を掴んで引っ張り、自分に引き寄せ手を握る。
「弟を守るのは姉の役目なんだから、私は嬉しいのよ。この対決に勝てば、今度こそユーリを守ることが出来るんだもの。小さい頃は、ちゃんと守れなくて、ユーリを傷つけてばかりだったけど、今の私はあの頃とは違うのよ。絶対に負けないわ。ユーリは、私を信じて、応援してくれたらいいのよ。弟の声援は最高の力になるんだからね。」
リリの笑顔が、いつものように眩しい。
俺が、後悔し続けてるのと同じで、リリも俺を守れなかったことを、ずっと気にしてたのか。
「だから、何か怖いこと考えてるなら、今すぐその考えは捨てて。さっきのユーリの顔、今まで見たことないくらい怖い!」
そう言って、ギュウと抱きつくリリが可愛いけど、リリに怖がられるなんて不覚。
「うわっ、怖がらせてごめん。ちょっと色々考えてたから、でもほら、もう大丈夫だよ。怖くないよ。」
直ぐに笑顔を作り、さっきまでの負の感情を消し去る。
モゾモゾ動いて後、リリが、そっと顔を上げる。
いつも以上に目尻を下げ、何かを伺うように、ゆっくりと俺の顔を観察する。
その可愛すぎる仕草と上目使いの破壊力にやられて、鼻血を吹いて倒れそう。
「本当ね。いつものユーリに戻ってる。」
安心したリリが、上目使いのままで、殺傷能力高めの可愛い天使の笑顔を見せた。
「うっ…リリは可愛すぎるから、そんな顔、絶対に他では見せたら駄目だよ。死人が出るレベルだよ。」
「何言ってるのユーリ。おかしなユーリね。」
「おかしくない!リリはちゃんと自分の可愛さを自覚してくれ。」
いつものやり取りに、ベルやルミナが生暖かい目で見ている。
リリのお陰で、厄介な従姉のことも頭から追い出し、家に着く頃には、気持ちも落ち着いて冷静になることができた。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
「どうして、何故、俺が練習に付き合っては駄目なんだ。」
「当たり前でしょう。ユーリには、本番当日に見て欲しいの。」
心配で練習に付き合うと言ったら、リリに全力で拒否された。
剣を持つことが出来るのかも心配なのに、本番までリリの様子が分からないなんて、不安で落ち着かない。
「大丈夫よ。隊長やセバスやエナ達皆が協力してくれるから、ユーリは楽しみに待っていてね。」
リリは、帰ってから直ぐに、騎士の訓練場へ赴き、剣を持ち慣れることから始めた。
幼い頃に比べると、剣を持って素振りする事は出来るようだ。
でも、やはり武器を扱うには、危なっかしいところも多く、怪我をしないか不安は残る。
「リリアーベル様は、武器で人を傷つけることを体が拒否している為に、上手く武器を扱うことが出来ないのです。その認識を変えれば、もしかしたら、剣を使うことが出来るかもしれません。」
隊長の言葉に、リリは侍女のエナとセバスを呼び出した。何やら相談していたが、その結果何をするのか思いついたようだった。
毎日、ボロボロになりながら、何かを練習しているリリを見守ることしか出来ない。
本当は傍にいたいが、今はリリが言ってたように、リリを信じて精一杯応援することにした。
「リリ、そろそろ休憩しないか。美味しいレモネード作ってきたよ」
レモンや蜂蜜は、疲労回復に良いと前世で聞いたことがあるから、レモネードを作ってみた。
初めて作ったけど、結構上手く出来たと思う。
「はぁぁ、とても美味しい。疲れが一気に無くなったわ。ユーリのお陰で頑張れそうよ。ありがとう。」
そんな即効性は無かったはずだけど、リリが元気に頑張れるなら、作った甲斐があったな。
「もう、本番まで時間がないから、みんなよろしくね。それじゃあ、ユーリ練習に戻るわね。」
リリは、笑顔を見せて手を振りながら、少しの休憩の後、また広間に戻ってしまった。
そうやって練習に集中して、あっという間に時間は過ぎ、いよいよ明日は最終対決本番を迎える。
俺は、リリを信じている。きっと勝ってくれる。ただ、リリの勝利を待つだけだ。
まさか、王族も関わっている勝負に、何かを仕掛けるなんて馬鹿なことはしないと思っていた。
あんな卑怯なことをしてくるなんて、誰が想像するだろうか。
俺は、心底、あの従姉を軽蔑する。
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