信長と同盟
遅くなりました。
頑張ります。
数日の間良勝は名前を考えていたのだが、そんな時一通の手紙が来た。
字が達筆で読めなかったので秀吉の元に持って行った。
「松平様から手紙が来たんだけど読めなくて、読んで貰えないか?」
「なに?よこせ」と言い勢いよく手紙を取ると読み始めた。
「軍は準備できた、まだ戦は起きぬかと書いてあるぞ」
「あ、忘れてた」
「どうするんだよ、もう何かやったのかと思ったぞ」秀吉は詰め寄りながら言ってきた。
「どうしようか」と良勝が言うと秀吉は呆れかえってしまった。
「これで藤吉郎に逆戻り、もしくは切腹かな」
「でもまだ期日には時間あるし、武田家との同盟も出来てないしでどうにも出来ないじゃないか」
「元康殿は焦っているんだよ」
「何故焦る必要があるの?」
「それはだな、今川殿に会いに行かなければならないがどの様に接していいのかわからないみたいなんだ、だから早くしてほしいとの事だ」
「元康様、大変だね」
「他人事か」と大きな声で言われた。
「じゃあ武田家との同盟を急ぐと共に今川領で噂を流して欲しいんだけど」
「どんな噂だ?」
「それはだね、松平 元康殿は名を改め三河の地で独立すると」
「それだと松平殿が敵になってしまう」
「なら松平殿は今川義元に忠義を尽くしていることにしては?それで三河の地を守っている事にすればいいじゃないか」
「結局は一緒の事だがまだマシだな」
「後は今川領内で松平様が今川家を立て直す為邪魔な家臣を打ち捨てるとでも噂流せばいいと思う」
「では早速噂を流させよう」と言うと秀吉は小六を呼び今川領に行かせることにした。
良勝は少し安心し、信長の元へと行くことにした。
信長を庭で見つけ近寄り、
「信長様、武田様との同盟を致しませんか?」と言うと、
「あぁそれならもうしたぞ」と返された。
「援軍きたろ?あれ頼んだ」
「でも秀吉はこちらを攻めると」
「あれは驚かせようと嘘の情報を流した、面白かったぞ」と言い信長は笑った。
良勝は呆れて何も言えなかった。
「なぜ俺が武田と同盟を結んだかわかるか?」
「いえ、まったく」
「あの男は天下を目指してなんかいない」
「えっ?本当ですか?」
「あぁ、あいつは海外に眼を向けている」
「それで簡単に同盟が結べたのですね」
「そうだ、外は武田、内は織田となるはずだ」
良勝は意味が分からなかった。
なぜ武田は海外にいこうと思うのか、信玄という男は謎が多い人だなと思った。
「そういえば元康のことはどうなった?」と信長に聞かれたので秀吉と決めたことを話した。
「まぁよかろう、どの道今川が潰れないと裏切り者扱いだがな」
「それは……」
「気にするな、始めに奪ったのは今川だ」と良勝の肩に手を置き言った。
こうしてあっさりと武田、織田の同盟が行われたのだった。
「押せーー押せーー」と戦場に声が響き、さらには太鼓が鳴らされた。
元康は本陣より眺めていたが目をつぶってしまった。
「元康、目を閉じるな負けはしない」と横にいた信長が言った。
「はい」と言いしっかりと目を開け戦場を見ることにした。
今川軍は大軍であったが細い道が多く完全に松平軍に押されてしまっていた。
特に本多 忠勝の軍は異常に押していた。
他の部隊もそれに続くように前に進み続けた。
「あの本多という男強いな」と信長が言うと、
「彼は強いです、ですがそこが不安で……」と返した。
確かにと信長は思いつつも彼より強い個人は現れないであろうとも思った。
一日中攻め続け今川軍は撤退していった。
使者が到着すると、三河の地を松平 元康に任せると言われた。
こうして三河はほぼ手中に収め松平 元康はホッとしていた。
「せっかくだ、名前考えとけよ」と信長は言い陣を去っていった。
残された元康はとりあえず岡崎城に帰ることにした。
ここに新たな大名、松平 家康が誕生した。
ちょうどその頃、信長軍は斎藤軍と小競り合いを起こしていた。
大将は羽柴 秀吉、下に前田 利家、毛利 良勝、丹羽 長秀が付き戦っていた。
「良勝は下がれ、利家、丹羽殿は前に」と秀吉は叫び自分の部隊も突っ込んだ。
しかし相手に上手く流されてしまった。
「しまった」と秀吉は思わず口に出してしまった。
しかし長秀の隊が秀吉を守るように前進してきて、それに合わせて利家、良勝の隊も前進した。
「大丈夫か?」と長秀が言うと、
「助かった」と秀吉は返し、
「全軍固まって退がる」と言った。
両軍が離れるとしばらく睨み合いが続いた。
夜襲などもなく静かな戦場になっていたが予想外の出来事が起こった。
何故か龍興から停戦要請がきて、さらに軍が撤退し稲葉山城を囲んだ。
なにが起こったか分からないがこれ以上兵を失いたくない秀吉も帰還することにした。
その途中で元康の勝利が告げられた。
「よかったな良勝」と秀吉は言いながら笑顔を見せた。
「あぁ、俺たちの勝ちだ」と良勝も答えて笑顔を見せた。
清洲城ではみんながあつまり松平 家康も来ていた。
「この度は皆様にお力添え頂き誠にありがとうございます」と丁寧に言いながら頭を深々と下げた家康に一同困惑しながら頭を下げた。
「柴田殿もお元気でよかったです」と言われ、勝家は顔に汗を浮かべながら頭を地面につけるまで下げた。
「家康、同盟はどうする?」と信長は笑みを浮かべながら聞くと、
「同盟などと、対等な立場まで用意していただけて嬉しいです」と涙を流しながら言った。
さすがに信長の顔からも笑みが消え困惑気味な顔になり、
「おい、大げさだぞ」となだめるように言った。
しかし家康は止まらず、
「このご恩は一生忘れません」と頭を下げた後、秀吉、良勝の手を両手で握り、信長の手も取った。
三人はされるがままになっていた。
家康は話題を変え織田家の近況を聞くことにした。
「ところで斎藤 龍興はどうするのですか?」
「あぁそれが少し悩みでな、最近武田との同盟を模索してるみたいなんだ」
「それは実現しませんよ、信玄殿は義理堅い男です」
「そうか、そういえば家康は信玄を師と仰いでおったな」
「はい、信玄殿はとてつもなく素晴らしいです、戦もかなりのものですが政治においても素晴らしいです」と、目を輝かせながら言った。
「そうだな、あの男は大物だ」
「しかし、勝家殿は戻りたいでしょうし何かいい策があればいいのですが」
「あぁ、外からの攻撃ではビクともしない」
「そうですな、でも最近城が盗られたとか噂が流れてますよ」
「なに?それはどう言う噂だ」
「竹中なんとかと言う男が立った数名で城を乗っ取ったとの事らしいですよ、それで戦どころではなくなり織田軍と停戦し慌てて戻ったと」
「その噂が本当ならそいつを仲間にすれば……勝家を呼べ」
秀吉は慌てて勝家を呼びに走った。
「良勝殿はそろそろ名を変えるのですかな?」と家康は勝家を待つ間話しかけた。
「いえ、まだ考え中で」と言うと、
「それならいい名家がございますよ」と家康が言った。
「養子を欲しがっているのか?」と信長が横から聞くと、
「えぇ、元々は美濃にいた明智家なのですが……」と言うと、
「明智?」と良勝は驚きながら言った。
「知っていますか?」と家康も少し驚きながら言うと、
「知ってるも何も、信長様を殺す男ですよ」と答えた。
「そいつの名は明智なんと言う?」と信長は面白そうに聞いて来た。
「明智 光秀です」と素直に答えると、
「光秀、いいじゃないか秀吉と一緒の字も入っておろう」と信長は喜びながら言った。
「そうなると僕が殺すことになってしまいます」
「殺されはしないさ」と信長は言い、
「すぐに明智殿に話通してくれ」と家康に向かって言った。
そうしていると勝家を連れて秀吉が戻ってきた。
「いいところに来たな、良勝はこれより明智家の養子となり明智 光秀と名乗る」と信長は嬉しそうに言い、
「俺を殺す予定の男だ」と笑いながら付け加えた。
二人とも良かったじゃないかと言ってくれたけれども本人は少し戸惑っていた。
「ところで勝家よ、竹中とはどういうやつだ?」
「半兵衛殿か、彼はとても頭のきれる奴だがなぜ知っている?」
「なんか稲葉山城が乗っ取られたらしい」
すると勝家は笑い、
「あいつそんなことしよったか」
「あくまで噂ですよ」と家康は言ったが、
「本当にやったと思うぞ」と返された。
「あいつは真の家臣だからな、龍興を戒めるつもりでやったのかもしれんぞ?」
「家臣が君主を戒めるために城を乗っとるというのは面白い、仲間にしたいな」
「それはどうかな、あいつは斎藤家に尽くしているからな」
「それなら勝家がいるじゃないか」
「どうだろうな、龍興を倒さぬ限りいくら俺とて仲間にはなってくれぬかもしれん」
「難しい男だな、だがますます欲しくなった」と信長は言ったあと光秀と秀吉の方を向いて、
「秀吉、光秀すぐに斎藤家を倒せ、何をしても構わん」と言った。
光秀と呼ばれて違和感はあったが受け入れるしかなさそうだと思い返事はした。
その後二人は話し合いの場から離れ斎藤家をどうするのか話し合うことにした。
話しながら廊下を歩いていると目の前に帰蝶が現れた。
二人は頭を下げたがすぐに上げさせられた。
「聞いたぞ、明智家の養子になるのだな」
「はい、そうです」
「名は?名はなんと申す」
「光秀です」
「そうか、秀吉と兄弟みたいでいいな」
「ありがとうございます」
「しかしなぜ急に明智なのかの?明智は斎藤家を出て朝倉家におったはずじゃが」
「家康様がお話をお持ちになりまして……」
「それは家康殿が言っておったからな……いや他のものに聞いた」
と慌てて言い直した。
「あのもしかして隠れてご参加を?」と恐る恐る聞くと、
「ちがう、お主たちの声が大きくてここまで聞こえたのだ」と言い張った。
二人はそれを認めさせられたので受け入れて明智の話を聞いてみた。
「あの帰蝶様、明智家は何か問題でもあるのですか?」
「問題はなき、公家の出身らしく京とも仲が良かった大出世と言えるな」
「そうなんですか、ありがとうございます」
「ただ問題が少しばかりあるんじゃ」
「それはなんですか?」
「明智家は少し考え方が変わっておって弱き者を助け強きものを倒すと言う考え方なんじゃよ」
「いいじゃないですか」
「平和な世ならいいのじゃが戦乱の世ではそれを実現するのは難しい、まぁお主には関係ないとは思うぞ」と言い一人頷いた。
「はぁ、でも会うことはないですよね」と言うと秀吉が、
「会うに決まっておろうが、親父になる男に会わずして養子になどなれん」
と厳しく言った。
光秀は養子になった事を後悔し始めた。
この日信長、家康は同盟を結び信長は東の事を気にしなくても良くなった。
これは天下に向けて大きな一歩となった。
読んでいただきありがとうございます。
続きはまだ構想中です。
少しお待ちください。
すいません。