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第2話 初日と財布

空港の入国審査を終えて荷物を受け取り、タクシーで仮のアパートに移動する。

仮の新居の理由は、写真で物件を探すと、塗装が剥がれていたり、設備に不備があったりすることがあるから、現地で実物を見る必要があるからだ。

そして、この特殊なタイプの「アパート」にとても面白い仕組みがある。通常、ヨーロッパへ旅行に行く時はホテルに泊まる。しかし、物価が高いこともあってホテルの料金も高い。実際に値段を見た時は顎が外れそうになった。なので多くの人が使用するのは「アパートメントホテル」だ。アパートメントホテルは長期滞在や家族旅行、現地のような暮らしを体験したい方から非常に人気があり、実際私たちも複数回使用している。このようなアパートは家具がすでに揃っていて、ラッキーな時は冷蔵庫の中に水が入っていたり、トイレットペーパーが置いてあったりする。だが基本は現地調達か、家から持ってくるようにしなければいけない。

父がこのように説明している間、私は飛行機の中で映画を大量に観ていたため、タクシーの中でぐっすり寝ていた。

仮のアパートに到着し部屋の鍵を受け取る。私たちの部屋に行ってドアに鍵をさしてドアを開けようとするが、開かない。

理由は、日本のドアは鍵を一回転すれば開く仕組みだが、ヨーロッパの家の多くは防犯上の理由で二回転式で、鍵を二回回す必要があるのだ。もちろんその時の私たちはこの事実を知らなかった。苦戦してやっと開いた。

荷物を運び入れる。部屋が複数あったので、部屋争奪戦が始まる。姉妹最年長の私は勉強や趣味を理由に一人部屋をゲット!だが、部屋が広くほとんど家具がないうえ、電気を消すと真っ暗になるので、お化けが怖い私には耐えられるか不安だった。じゃあ妹と一緒の部屋にすればいい?それは困難だ。妹は基本情緒不安定で、イライラしている時はとことん喧嘩腰だし、機嫌がいい時は怖いくらいに優しい。このような理由から、一人部屋を死守する必要があったのだ。

荷物の仕分けが終わった私たちは、近くのスーパーへ買い出しに行った。その時、私はお菓子コーナーが気になっていた。お菓子コーナーに着くと、たくさんの種類のチョコとポテトチップスが置いてあった。私は気になったフレーバーのポテトチップスを手に取って母のもとへ走っていった。

「これ日本になかったフレーバーだよね!食べてみたい!」

目をキラキラさせながら言った。その反面、母の顔は気持ちげっそりしていた。

「……値段見た?」

母がため息をつきながら言う。私は値段を覚えていなかったので、お菓子コーナーに戻って確認した。値段は10.95CHFだった。数字だけを見ると安く思えるが、日本円にすると2,217.48円だった。高い。高すぎる。日本のポテトチップスは170円ほどだ。およそ13倍。

「ウェへへィ」つい言葉に出た。

CHFスイスフラン」はスイス、リヒテンシュタイン、イタリアの飛地カンピョーネ・ディターリアでも使用される通貨で、1CHFを日本円にすると200円前後だ。

「たっっっっっっっっっか!!へ!?こんなにすんの?」

他の商品も、フランで表示されている数字は可愛く見えても、日本円に換算すると全く可愛くなかった。ポテトチップスは諦めて母の元へ戻った。その後、食品はもちろん、シャンプーやリンスなど足りないものを買い物カゴに入れた。

レジに移動する。海外のレジはカウンター式、セルフレジ式、ベルトコンベア式がある。スーパーで私がよく見るのはベルトコンベア式だ。商品を置いていくと、コンベアが動いて店員の方へ商品が移動していく。初めて見た私は心なしかワクワクしていた。

精算を終えてパネルに値段が映し出される。100CHFは簡単に超えていた。つまり、20180円以上ということだ……高い。

母親の目が飛び出そうなほど見開かれていた。私自身も驚きを隠せなかった。親の財布が心配だ。買ったものを詰めている時に母親が言った。

「割引されるまではポテチは買えないわね〜」

「えぇ〜〜!?」妹たちは一斉に大声をあげる。

流石に割引されるまで無理だろうと私も思った。……だが妹たちの気持ちもわかる。日本では見たことないフレーバーのポテトチップス、TikTokとかでしか見たことない謎のグミ、XXLサイズのチュッパチャップスなど、子供の夢をくすぐるような商品がたくさん売ってあったのだ。私だって食べたい!そう心の中で叫びながらスーパーを出た。

そして家に帰る途中、私は思った。「買える量が減ったぶん、食べる量も減るわけだから……痩せそうだな」

実際に8キロ痩せた話は、また別の機会に。

家に帰って、いつも通り食事をして、いつも通り寝る支度をしてベッドに入った。ここまでは良かった。

「バァン!!!」外で銃声のような音が鳴り響く。

「うぇ!?何何何!?」

私は驚いてベッドの中に潜り込む。おそらくシャッターが勢いよく閉まる音だと思うが、その時の私は夜が怖すぎて変な想像でもしたのだろう。その日はほとんど眠れなかった。

次の日の朝。親と一番下の妹はぐっすり眠れたようで、真ん中の妹は眠たそうにしていた。私と妹の目が合った時、互いの昨夜の状況を理解しあい、握手をした。

流石私の妹だと思った。

第二話を読んでいただきありがとうございました!

コメントもありがとうございます。全部読んで、参考にさせていただいております。

文化や知識に関して質問があれば私の答えることのできる範囲で答えますので、ぜひコメントに書き込んでください!

次回「学校に必要なもの」もよろしくお願いします。


知識メモ

①「アパートホテル」という宿泊スタイルについて

簡単に言うと、ホテルとアパートの中間のような存在で、キッチンや洗濯機が備わっているのが特徴です。

普通のホテルだと外食が中心になりますが、アパートホテルなら現地のスーパーで食材を買って自炊したり、洗濯も部屋で済ませたりと、まるでその土地に“暮らしている”ような感覚を味わえます。

特に長期滞在や、旅費を少しでも抑えたいときには便利な選択肢です。部屋も広めなことが多いので、ゆったり過ごせるのも魅力のひとつです。

その反面、毎日の清掃がなかったり、いわゆる高級ホテルのような手厚いサービスは少なめだったりと、少しだけ「自分でやる」部分が増えるのも事実です。

とはいえ、その分だけ自由度が高く、自分のペースで過ごせるのがアパートホテルの良さです!


②スーパーの品物の値段の特徴

その土地の特産品が安い。

現地でよく採れる野菜や果物、名物の食品なんかは、日本で買うより驚くほど安かったりします。

スイスだと、チーズや乳製品、チョコなどが安いです。

逆に、輸入品はしっかり高め。

日本のお菓子や調味料なんかは「えっ、この値段?」と思うくらい割高だったりして、ちょっとしたカルチャーショックを受けることもあります。

あとは、シンプルな食材ほど安いのも特徴です。

パンやチーズ、牛乳などの基本的な食品はかなり手頃。

その一方で、カットフルーツやお惣菜のような「手間がかかるもの」はやや高めになっています。

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