115 到着!
誤字のご指摘ありがとうございます(*ˊᵕˋ*)੭
(ルーク)
「へぇ〜アレが【ポータブル・ロード】……。」
無言で髪の毛を掴み合う二人を他所に、ジッとそれを観察する。
【ポータブル・ロード】
離れた場所同士を繋げる亜空間の道の事
通常は繋げたい場所にそれぞれ魔道具を設置し、作り出すのだが、かなりの魔力量と魔力操作能力、空間系の専門的能力が必要となってくるので、簡単には作れない
そのため、街に設置されているモノは通行料が高く、利用するのは貴族や教会関係者、裕福な商人などしか使わない。
<魔導ローブ>
魔法をメインに使う職種の者達が好んで着るローブ
魔力UPや魔法耐性などの魔法に特化した付与がついている事が多い
魔導ローブを着た人達の足元には巨大な魔法陣があり、多分その上に乗ると繋がっている場所に一瞬で到着するはずだ。
王都などのアホみたいに広い街では、端から端まで移動したら二〜三日かかるんじゃない?と思われる程距離があるので、貴族や商人達はよく利用するのだと聞いた事があった。
まさかお目にかかるとは……。
俺達の前に走っていた馬車達が消えていくのを見ながら、ほぅ……と感嘆のため息をつく。
ちなみに俺達の暮らす街【アクアドリム】もかなりデカいが、このポータブル・ロードはなかった。
その理由は、『泥だらけで必死に働く汚い平民達に、いかに自分たちが美しく幸せかを見せびらかせて楽しみたかったから』というどうしようもない理由だったらしい
ヘドロが聖水に見える程のドロドロした性格の悪さ!
そういう意味ではナンバー・ワンだな、ルークの家族は。
全く〜!と一人でプンスカ怒っていると、やっと順番が回ってきて、俺達が乗った馬車が魔法陣の上に乗った。
「え〜……【グリード家】のルーク様ですね。
それでは代金をお願いいたします。ここから聖グラウンド学院までだと、金貨50枚になります。」
「ごっ、50枚っ!!!??」
孤児院出身のセレン、あまりの大金にフラ〜……と倒れそうになり、チャンスと見たアッシュがセレンの顔を鷲掴みにして顔を中央に寄せて凄い変顔にして俺に見せつけてくる。
いつもだったら更に大激怒するセレンだが、衝撃が大きかったせいか、大人しく馬車の背もたれに寄りかかったままだった。
この世界の通貨は価値が高い順に、【白銀金貨、大金貨、金貨、銀貨、銅貨、鉄貨】
平民の平均月収は高くて銀貨20枚程で、銅貨が10枚で銀貨1枚、鉄貨も10枚で銅貨1枚という価値があるのだが、金貨は銀貨100枚で1枚なので、ざっと平民の半年分くらいの給料に値する。
平和になった前世の日本で例えるなら、鉄貨が100円、銅貨が1000円、銀貨が10000円と覚えれば分かりやすかった。
つまり金貨は100万円の価値があるって事!
そりゃ〜片道移動で500万だなんて言われたらビックリするよな。
俺なら走るね、500万円払うなら。
フッ……と元庶民の俺が鼻で笑いながら言うがところがどっこい、これは絶対に使用して下さいとセブンにお願いされたため、使う事になったのだ。
『いいですか?ルーク様。貴族は平民と同じモノを嫌います。
そのため、極力グリード家の家紋を表に出している状態で、あまり高位貴族として逸脱した行動は控えておいた方が良いかと……。』
聖グラウンド学院に行く前、セブンが予算分けをしながら俺に言ってきた。
フッと手元の旅のお足代がとんでもない事になっている事から、『そんなにいるか〜?』と軽く尋ねると、セブンは机の上に山積みにされている金貨を1枚手に取る。
『これは全て足代というよりも安全料金ですね。
沢山の平民が暮らす領を治めている貴族として、お金で避けられるトラブルは全て避けておくべきという事です。
特に貴族は揚げ足を取るのがとても上手ですので、それがとんでもない弱みになる事もあります。
資金に困っている?と思われて、領内に攻め込まれてしまったという事も……。』
『なるほど……。そこで既に戦いは始まっているって事か。』
考えの甘さを認識し、差し出された金貨を受け取るとセブンはニッコリと笑った。
『はい。ですので、街の中はお気をつけて下さいね。
ただし、聖グラウンド学院の中は一応身分制度に特別な権利なしと独自の校則で決まっているので、学院内ではある程度はお好きに過ごしてよろしいかと思います。』
「────まぁ、仕方ない仕方ない。地獄の沙汰も金次第っていうし〜。」
正気に戻ったセレンとアッシュが、また髪の毛の掴み合いをしているのを見守っていると、突然体が浮いた様な感覚がして驚く。
しかしそれも束の間、一瞬で景色は変わり、すぐ近くに巨大な門が出現した。
「あ、あれ……??」
「???」
どうやら今のがポータブル・ロードを通過した時の感覚だったようで、一瞬で聖グランド学院の正門に一瞬で到着したらしい。
俺とセレンはポカンとして馬車の中から大きくそびえ立つ様な正門を見上げていたが、アッシュはさっさと馬車を降りて、周囲に止まっている馬車を見渡す。
「どうやら馬車はここまでみたい。正門の中からは徒歩で移動みたいだね。」
アッシュは大きく開いている正門を指さし、ぞろぞろと歩いて入っていく少年少女を指差した。
結構な数の人数がいる様なので、試験合格の倍率はどれくらいなんだろう?と疑問を持った。
「凄い数の人数だな。大体この半分くらいが受かる感じか?」
「受ける年によって結構違うって聞いた事があるよ。
絶対的な実力主義を掲げているから、基底以上の実力がなければ全員落とされるって事。
過去には受験生1000人越えで、合格者が30人くらい……なんて年もあったって聞くし。」
「それは凄いな。」
中々厳しい試験の様だ。
コレは腕は腕がなるというもの!
キラッ!と目を輝かせた後、俺達はカーターにお礼を告げて、回りの受験生達同様に門の中へと入って行った。




