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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第五章【入学院テスト編】

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114 アレクの気持ち

(ルーク)


「おいっ、この汚いヤツを切り捨てろ。……ゴミが。」


「────はっ!」


つい妄想にふけっていると、ドラ猫少年が俺を睨みながら、クィっ!と顎を上にあげる。

すると、すぐ後ろに控えていたガタイのいい護衛らしき男が剣を抜いた────つもりだったんだろうが、その手には木の枝が握られていた。


「────はっ……??」


「────っ!!何をふざけている!!そんな木の枝なんて持ってどうするつもりだ!?」


護衛の男は、ドラ猫少年に怒鳴りつけられたが、不思議そうな顔をして今度こそ剣を……と思ったら、剣がない。

あれ?という顔をした後、やっと俺が目の前にいるのに気づいた様だ。


「あ、悪い悪い、ほら、返すぜ、坊や。」


俺の手に握られているのは、護衛の男の剣。

先程抜こうとしている剣を、俺が先に抜いて地面に落ちている木の枝と交換してやったからだ。


「────っ!??」


驚いたらしい護衛の男が、声にならない声をあげながら距離を取ろうとしたので、俺は剣の柄の部分を護衛の男の顎に軽く当ててやる。

すると、一瞬で白目を剥いた護衛の男は、そのままズズ〜ンと後ろに向かって倒れていった。


「────???お、おいっ!急にどうした!?」


何が起きたのか分からなかったらしいドラ猫少年が、慌てて倒れてしまった護衛の男を揺すったが、完全に意識を失っている。


「────きさっ……っ!」


「はいはい。荒ぶる猫ちゃんも、ねんねこねんねこ〜♬どうぞ良い夢を〜。」


真っ赤な顔で俺に向かって怒鳴り散らそうとした瞬間、俺が手刀をトスッ!とドラ猫少年の首筋へ。

その瞬間ドラ猫少年は眠る様に倒れてしまい、そのままスヤスヤと夢の世界へ行ってしまった様だ。


「うるさい奴はお昼寝しました〜。だから検問の再開をお願いしま〜す。」


俺がピッ!ピッ!と手を振って後方の馬車を前へ進む様に誘導すると、アレクはダラダラと汗を掻きながら俺に近づいてきた。


「あ……あの、もしや、貴方様は高名な冒険者様でしょうか……?」


「い〜や、ただの通りすがりのただのジジィ……じゃなくて、少年で〜す。」


アレクはこの中で唯一俺がした事がちゃんと見えていた様で、その体はブルブルと震えている。


中々強そうな青年だな……って、守備隊をやっているくらいだ。当たり前か。


そう思い改めてアレクという男を観察した。


心優しき青年アレク。

アレクと親密になるには、悪人を赦す様な『慈愛の心』というものが必要になる。


それを見せる事でアレクはリリスを尊敬し、様々な恩恵を与えてくれるのだが、逆にアレクを取り込まないと攻略はハードモードへ。

つまり、お助けキャラをどれほど取り込めるかによって、ゲーム難易度が変わるのだ。


まぁ、俺には関係ないし?

そもそも慈愛の心なんて皆無な俺には、これから関わりがなさそうな人物か。


そう考えさっさとその場を去ろうとする俺に、アレクは慌てて頭を下げた。


「この度はどうもありがとうございました。聖グラウンド学院の試験日故、急ぎ検問を終わらせないといけなかったので……。

しかし、相手はお貴族様なので、貴方様の身に危険があったら……。」


「それは大丈夫大丈夫。俺もお貴族様ってヤツだから。おあいこおあいこ。」


相手の事をよくは知らないが、貴族相手なら大丈夫だろうと思う。

へっ!と鼻で笑ってやると、アレクは頭を上げて、安心した様に息を吐き出した。


「そうでしたか……。それならばよかったです。お貴族様の中には、とても過激な方が多いので。」


「そうだな〜。アンタも大変だろう。ああいった連中を毎日相手にするには。」


気絶しているドラ猫少年と護衛らしき男を、ズッ!ズッ!と引きずって端の物陰へと移動させる他の守備隊員達を指差すと、アレクはカラッと笑う。


「もう慣れました。お貴族様相手だとひたすら謝るしかないので。

言葉が通じない相手をするには、こちらが謝るしかない。だから今回は……実はスッキリしました。」


最後はヒソヒソと声を潜めた声だったので、俺にしか聞こえなかったと思う。

だから俺はコッソリ親指を立てて返事をすると、後方の方に並んでいる馬車の方へ戻った。


その後はカーターが見せた書類によって、あっさり検問を突破しとうとう王都の中へ。

そこはこの国の中心地というのが納得するくらいの広さと人の多さ、賑やかさで、テンションも上がっていく。


「おぉ〜!凄いな!まるでお祭り騒ぎだ。」


「凄い活気ですね。こんなに沢山の店、初めて見ました。」


自分の住んでいる街から出た事がなかった俺とセレンは、馬車の中からキョロキョロと視線を回し、観察に忙しい。

そんな俺達を見て、アッシュがわざとらしくため息をついた。


「あんまりキョロキョロすると舐められるよ。こっちは人数も多い分、悪い奴もわんさかいるからさ。」


「なるほどな〜。確かに人が集まるとどうしてもな。貴族も多いみたいだし、トラブルは多そうだ。」


明るく楽しい街内を見ながら、やれやれと肩を竦めると、少し離れた前を進んでいた馬車が突然消えてしまい、ギョッとして目を見開く。


「ん??!前の馬車が消えたぞ!?」


「気配も消えました。……敵襲か。」


セレンがレイピアに手を掛けた瞬間、アッシュがその頭をパコンッ!と叩き落とした。


「アレは【ポータブル・ロード】。

王都は広いから、町中にいくつか設置されてるってわけ。ほら、あそこに案内人がいるでしょ?」


アッシュが指差す先には、魔導ローブを着た人物達が数十人いて、御者が渡す賃金を受け取り、何やら説明をしている様だ。


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