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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第四章【サマナイズ編】

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105 新たな攻略対象様

(ルーク)

◇◇

「この度は誠にありがとうございました。街を代表してお礼を申し上げます。」


盛大なお祭り騒ぎをした日の次の朝。

出発の前に宿屋に姿を現したのは、シリンズ家の新たな当主となった女当主<ローレン>と、ジョアンだった。

昨日の宴の時も足早に挨拶に来てくれたのだが、こんな朝も早くにお見送りにまで来てくれたので、申し訳ない気持ちになってしまう。


「わざわざ挨拶に来てくれてありがとう。でも、そんなに気にしないでくれよ。

街を守ったのは、お前達親子と街の人達全員だ。俺達はオムライスのパセリ的なモンなんだからさ。」


黄色いふわふわオムライスの上に、緑色のアクセント要因で飾られるモノ。

本当にその程度の働きしかしていない。


俺なんて変な黒いヘビを倒しただけだし〜?

アッシュとセレンも土砂をふっ飛ばしただけだし……。


『ね〜?』と同意を得る様に二人に向かって首を横に倒して見せると、二人はウンウンと首を縦に振っていた。

だよねぇ〜!とニコニコしながらローレンに向き直ると……予想に反して、ローレンは真面目な顔をしたままだ。


「そもそもあの規模の土砂流を、一人で吹き飛ばす事は普通ではないです。

それに、ハクとジョアンから聞きましたが、あの謎の黒いモンスター、アレを軽々と倒したとか……。

アレはモンスターの能力を爆発的にUPさせる効果があるのは間違いない様で、アレを一匹倒すのに、並の戦闘員なら大部隊が一つ必要と聞きます。

流石というべきでしょうか……。」


ローレンはスカートの裾を少し持ち上げ、頭を下げる。


自分より格上の貴族に対する挨拶。

どうやら俺の正体を調べて知った様だが、お忍び的なモノだったらと考えて、あえて表立って口にしない様だ。


「隠すつもりはないけど、特別扱いも好きじゃないから気にしないで欲しい。

今回は聖グラウンド学院の受験に向かう途中に寄らせてもらったんだ。」


「承知致しました。ルーク様達の実力なら合格は間違いないでしょう。

しかし、王都には人知を超えた力を持つ者達が集まります。どうかお気をつけて。」


「そうか!それは楽しみだ。」


キラッ!と目を輝かせて答えると、後ろの方でセレンの目も同じく光ったが、アッシュはあからさまに『めんどくさ〜い』といわんばかりに大あくびだ!

やる気を出せ!とアッシュの鼻をブスブスと突き、怠惰な若者に活を入れておくと、ローレンは目を僅かに見開いた。


「楽しみ……そ、そうですか。それならいいのですが……。

それと、もう一つ、お耳に入れておいて頂きたい事をお話します。

今の国の情勢についてです。

────と言っても大した情報ではありませんが……。」


「ほほ〜う?助かるよ。情報は何よりも価値があるモノだから。」


ローレンは俺の答えを聞くとニコッと笑い、声を少し小さくしてヒソヒソと話し始める。


「現在王位継承者は四人いますが……どうやら全員に全く別の勢力がつきそうなんです。

貴族は、必ずその四人の誰かの派閥として戦わなければならないのですが、とても複雑で、中立を選び沈黙を続けている貴族も沢山います。

我がシリンズ家も表場は中立を保っていましたが、ゲリーがどうやらその内の一つの勢力と接触をしていたようでした。」


「なるほど。じゃあ、口封じをしたのは恐らく手を貸そうとしていた派閥だと……。

随分と過激な派閥連中がいる様だな。」


俺が大きなため息をつくと、ローレンは困った様に笑った。


「己の思い通りにする世界を望む者達は、総じて過激な方々が多い……そんな者達と戦うのはとても疲れますし、力がいります。

私は一度、その抑圧してくる『力』に負けてしまいましたが、これからはもう負けるつもりはありません。

自分の意思を奪われ続ける苦しみを知ったからです。

もう自分を犠牲にする事もしません。」


「そうか。」


ローレンがジョアンを見つめると、ジョアンもローレンを見つめ返し二人は笑う。

まだ少しだけぎこちないが、お互いを繋ぐ想いはしっかりとある様なので、直ぐにそれはなくなるだろう。


アッシュから聞いたが、元々のお仕事は全部このローレンさんがしていたみたいで、ゲリーがいなくなっても困ることはないらしい。

いてもいなくても何にも変わらない、寧ろ良くなるだけって……人間の存在定義としてこんなに悲しい事はないと思う。

空の藻屑となって消えた太っちょゲリーを想い浮かべ、スッキリした気持ちで『グッパイ!』と快く地獄行きを願っておいた。


「皆様が順調に入学すれば、王位継承者の内の二人と同じ学年になるはずです。

第二王子である<オーティス>様と第一王女<エヴァ>様ですね。」


「オーティス……エヴァ……。」


聞き覚えがある名前に、じわじわとゲームの記憶が蘇っていく。



【攻略対象その3】

勘違い暴走王子様<オーティス>



オーティスは『正しく』生きようとしている王子様……の皮を被った静かなる暴君キャラのイメージが強い少年で、ゲームの中ではとにかく主人公リリスにぞっこんラブで至る所で暴走する。


なんでそんなにリリスにベタ惚れかというと、主人公が強力な精霊の力を宿しているから。

つまり、誰もが崇拝する精霊達に好かれる凄い能力イコール『正しい』!

そして、そんな正しさを持っているのが、自分の思い描く正義の味方と一致するから、全てが正しいと考えている様だった。


そういった妄信的で偏った考え方は、時に非常に危険なモノになりうる。

だって権力を持っているヤツが決める事って、どんなに間違っていても、全員に『正しい』と言わせる力があるからだ。


孫娘的には推しナンバートップ3に入るキャラだったらしいが……俺からしたら最強レベルの危険人物。

孫娘の将来の結婚相手が心配になる所!


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