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天声だだ漏れ転生〜女神の温もりと共に〜  作者: 白銀鏡
【第二部】 第三章 出会いと共に
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第30話 信じてくれるだけで

ここで彼女を行かせるわけには行きません。

それなら俺が……


信じてくれ


どうぞ。

 俺の提案に、ルミナは足を止めた。それに気づいたアバンも、彼女の手をそっと離す——。


「お前一人で、帝都に出向くのか……?」


「——そもそもお前、なんでマルクが生きてる事を知ってんだ?」


 一緒になって疑問を投げかけるアバンとルキに、俺は一つずつ答えた。


(まずは、マルク生存の情報についてだ。人の気配を察知する能力を持つ俺は、彼がついさっき目覚めた事を確かに確認した——)


「さっきって……それ、本当かよ——」


 信じられない様子のルキだったが、アバンが言葉を添える。


「……偵察隊によると、彼が帝都に運ばれたのは数日前だ。今頃目が覚めたというのも、あり得なくはない——」


(いつもルキやルミナの前に飛んでこれたのも、この力があってこそだ。信じてくれたか? ルキ——)


「まあ、そう言われれば……」


 アバンの助言もあり、ルキはどうにか俺の言葉を飲み込んでくれた。


(そこで俺は——誰にも見られる事のないこの体を使って、帝都に潜入しようと思っている。()だからこそ出来る事もあると思うが、どうだろうか?)


 目視されない転生者の能力を生かした俺の作戦を、アバンはすぐに察する。


「ふむ——確かに、見えないお前が目となり、声をかける事ができれば、マルクの脱出を手助けできるかもしれない……」


 彼の早い理解に感心する俺だったが——こちらを見つめるその目つきは、急に鋭くなった。


「だが、一つ聞かせてくれ——この世界の行く末を知る転生者。いよいよ、お前は何者だ?」


 当然の疑問だった。

 嘘などつこうものなら、今にも食ってかかりそうな勢い。

 だが俺は、はっきりと答える。


(それは俺にもわからない……。だけど、ヨヨに聞いたところ、この世には魂だけが残った“転生者”という存在がいるらしい)


 ヨヨの名を聞き、アバンの疑いの目は少しだけ和らいだように見えた。


 それから俺は、転生者以前の()()()の事について語り出す。


(この世界の全てを知っているのは、俺の生前の世界の書物に、この大陸の人物や出来事がすべて記されていたからだ——)


 信じられない話に聞こえるかもしれない。

 それでも、俺は彼らに伝えた。


「神様だとか言って色々知ってたのは、本当はそういう理由があったんだな——」


 今まで半信半疑だったルキの目からは、疑いの色がなくなっていく。


「以前にもチラッと聞いた話だが、俺が聞きたいのは——」


(ああ——わかってるよ)


 俺が皆に肩入れする理由。

 アバンが知りたかったのは、その事だろう。


 だが、それには俺の譲れない想いがあった。


(俺はな、この物語(世界)が本当に好きだった。毎日、毎日——この世界とずっと向き合っていた。誰にも負けないくらい、愛していた——)


 どこか遠くから聞こえてくるようなその言葉を、二人は不思議そうな表情で受け止める。


(その物語には、帝国が勝利する未来は描かれていない。だけど今、この世界は帝国に支配されつつある——俺はそれを変えたいんだ)


 それは俺の、悲痛な願いでもあった。


 すると、俺が独りよがりの想いを語っていると——そこに寄り添ってくれた。


「——難しい事はよくわかんねぇけど、とにかく味方って事でいいんだよな?」


(ルキ……信じてくれるのか?)


 頭をかきながら優しく微笑むルキに、アバンもつられて笑う。


「まぁ、嘘をつかれたところで、こちらは痛くも痒くもないからな——今は信じるしかあるまい」


(アバンも……二人とも、ありがとう)


 自分の言葉を信じてくれる。

 これほど嬉しい事が、他にあるだろうか。


 しかし、俺の言葉を一番に信じてほしかったのは——()()だった。


(そういう事なんだが、ルミナ……ここは、俺一人に行かせてくれないか?)


 ずっと背を向けていたルミナ。

 彼女はまだ、決めあぐねていた。


 わかるよ——ルミナ。


 君は責任を背負ってマルクを助けに行きたいんだろう?

 でも、アバンの言う通り、今一人で帝国に立ち向かったって何もできない。


(今一度……俺を信じてくれないか?)


 ルミナはまだ恐れていた。

 すべてを知る者と名乗った俺を信じ、その結果がまた裏目に出る事を。


 ——だが、彼女には、もうこうする事しかできなかった。


「……助けて」


 涙をいっぱいに溜めた顔を上げ、助けを求めるルミナ。


「お願い——あの人を助けて。このままじゃ私……」


 この時の彼女の瞳は——俺を捉えているように見えた。


 それが単なる偶然なのかはわからない。

 だがこの時、俺の存在が初めて彼女に認めてもらえたような、そんな気がした——。


(ルミナ……ありがとうな)


 そして、一言だけの言葉を——彼女に添える。

 俺はここから、()をかけるだけだ。


 うまくいくなんて、無責任な事は言わない。

 だめかもしれないなんて、弱音だって吐かない。


 一度裏切られた彼女が、こうして勇気を出して頼ってくれている。

 たったそれだけの事が——俺にとって大きな力になるだろう。

彼女の願いは、天の声が叶えてくれるでしょう。

第三章も、残すところあと二話!


お次は火曜日!

では

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