第二十三話
徹也はその男の剣を持っている手に目掛けて、矢を放つ。男はその矢に気付き、レイヒに向かっていた剣を戻してその矢を弾く。そして男は弾いた矢を掴み、後ろに飛んだ。
「んだこりゃあ?見たことねえ武器だなあ?」
男はそう言って矢をジロジロと見る。その間に、徹也はチラリと治伽の方を見た。
治伽は剣を抜いて、賊と応戦していた。だが、賊の剣が治伽の光を纏う剣に触れた瞬間、賊の剣が真っ二つに折れた。
「なっ!?」
賊は驚いたが、治伽はその隙を狙って剣を振るう。だが、賊はそれをひらりと躱して徹也の前の男の元まで引いた。
その事実に、治伽は顔を少し歪ませた。自分が人を殺すことを躊躇したことが分かったからである。
「ボスリーさん。無事ですか?」
「ん?おう。それよりよ、お前はこの武器知ってっか?」
ボスリーと呼ばれた男は、問に答えてから質問をした。ボスリーの問に、賊は差し出された矢を見て首をかしげて答えを返す。
「……いや。見たことないですね」
「そうか。つーか、お前の剣真っ二つじゃねえか。どうした?」
「あの女の剣に斬られたんですよ。あの纏っている属性、多分ですけど基本属性のどれでもないですよ」
「へえ……!それは気になるなあ……!」
ボスリーはそう言うと、徹也と治伽の方に視線を向ける。そして、ここまでの一連の会話を聞いていた徹也は、思考を巡らせていた。
(治伽の光魔法がバレるのは想定内だ。むしろ、バラすために連れてきたんだからな。問題は、予想以上に強者なこと)
徹也はふう、と息を吐く。徹也は自分と治伽の役目は分かっている。クリスが敵を倒し終わってこっちに来るまで、時間稼ぎをすることだ。他の騎士は、ヘンリーと穏恵達を守っている。
「あ、あの。徹也様……」
「……レイヒさん達は下がってください。ここは俺達が」
「は、はい……」
徹也の言葉に、レイヒは顔を少し赤く染めながら後ろに下がっていった。他の住民もまた、レイヒと同じように後ろに下がっていく。
すると徹也は、隣からの視線を感じた。その方を見ると、治伽がジト目で徹也を見ていた。
「な、なんだよ?」
「いいえ?別に何も?……それより、光魔法を使ってもいいのよね?」
「ああ。元々住民達には見せる予定だったんだ。見せてやれよ。【女王】を」
「……分かったわ」
徹也の言葉に頷いた治伽は、剣に纏わせている光の威力を上げた。徹也もまた、《脚力上昇》を使う。
「……ハハハッ!面白え!こいやあ!」
そんな治伽と徹也を見たボスリーは、笑いながらそう叫んだ。隣にいる賊もまた、ボスリーの様子にため息を吐いていたが、すぐに目を鋭くして治伽と徹也に新たな剣を向けた。
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