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第二十一話

 徹也が自分に何かが流れ込んできていることに気付いてから少しすると、シャーロットが目を開いた。そして、手を離してから徹也に話しかける。


「どうですか?徹也様」


 シャーロットにそう問いかけられた徹也は、瞑っていた目を開けて自分の体を見る。徹也が見たところ、体の外側には何の変化もない。だが確かに、体の奥から力が湧いてきている。


「……何故か、力が湧いてくる感覚がある。一体、何をしたんだ?シャーロット」


「徹也様に私の魔力を送り込んだのです」


「……魔力を、送り込んだ?」


「はい。そうです」


 徹也がシャーロットに理由を聞いたが、その答えは徹也の予想外なものだった。徹也は思わず、シャーロットに聞き返してしまう。


「ど、どうやって送り込んだんだ?」


「私の体質です。触れれば相手に魔力を送ることができます」


「そ、そうなのか……」


 徹也はシャーロットの体質を聞いて、驚いたと同時に危険だと思った。危険なのはシャーロットで、その体質のせいで拐われたりするのは傾向として存在する。


 そのことは頭に入れておかなければならない。時がきたら、対策ができるように。


「それで、何が分かったんだ?」


「はい。これで徹也様に魔力があることが分かりました。魔力がない人には、私の魔力を送ることができませんから」


「なるほどな……」


(つまり、俺はかろうじて無属性魔法を使えるってことか……。これは大きいな。どんな魔法を使えるかは分からないが、ないよりはマシだな)


 徹也はそう思い、考えを巡らせる。どんな魔法なのかは未だに分からないままだが、知っていても、そして扱えても損はない。


 そう考えた徹也は、シャーロットに無属性魔法について尋ねる。


「じゃあ、無属性魔法についても教えてもらえるか?」


「はい!お任せください!」


 シャーロットは頷いて徹也に笑顔を向けた。徹也はそんなシャーロットの笑顔を見て少し照れつつも、無属性魔法とはどのような魔法なのかを聞く。


「まず、無属性魔法にはどのような魔法があるんだ?」


「無属性魔法は基本的に、体内で魔力を完結させて身体能力を向上させる魔法です。例えばですが、足に魔力を集めてそれを使用すると、《脚力上昇》という魔法になります」


「……どうやって魔力を一箇所に集めるんだ?」


「それは……イメージ、ですかね?イメージとしか言えません……」


(イ、イメージって……。そんな無茶な……)


 徹也は、シャーロットが言った無属性魔法についての説明に、そう思った。この世界で生きてきていない徹也にとっては、それは当たり前な感想であろう。


 一方、シャーロットはなんとか徹也に伝えようと、身振り手振りをしながら徹也に話す。


「ええっと……何ていうんですかね……。この、心臓の辺りから、足の方に魔力を流すみたいな感じで……」


 シャーロットは手を胸の辺りから足まで下げてそう言う。徹也はシャーロットに言われたように、目を閉じてイメージする。


(心臓の辺りから……下に、流す……。それから、使う……)


 すると、徹也の体の中で魔力が足の方に流れた。そして、それを使うイメージをすると、徹也の足に力が溜まる。徹也はそれを感じ取り、目を開いてシャーロットに話しかけた。


「……多分、いけたと思う」


「ほ、本当ですか!?じゃ、じゃあ、軽くジャンプしてみてください!」


「あ、ああ。分かった」


 徹也はシャーロットの言葉に頷いて軽くジャンプすると、徹也が思っていたよりも遥かに高く、驚いてしまう。


「ち、ちょっ!」


 徹也は驚きつつも、スタッと着地した。そして、徹也はシャーロットの方を見る。シャーロットは、ニッコリと笑っていた。


「できましたね!その感覚です!覚えてくださいね!」


「お、おう。ありがとな。シャーロット。ちなみに、これを上手くするコツとかあるか?」


 徹也はシャーロットにそう尋ねた。それを知っておいたほうが、更に使えるようになると考えたからだ。


 徹也は、恐らくではあるが戦わなければ行けない時がくると思っている。そのためには、自分もある程度戦う事ができなければ対策の仕様がないし、死んでしまうと、徹也は考えていた。


 そんな徹也の考えなど知る由もないシャーロットだが、きちんと徹也の質問に答える。


「コツ、ですか?そうですね……。体内での魔力操作を精密にできるようにすること、ですかね。それができれば、身体強化がスムーズに行えますから」


「なるほど。……そういえば、これを解除するには魔力を抑えて心臓の方に戻せばいいのか?」


「はい!その通りです!やってみてください!」


 徹也はシャーロットの言う通りに、魔力の使用を止めて、元の位置に戻すイメージをする。すると、足の力が弱まって魔力が胸の辺りに戻っていった。それを感じた徹也はシャーロットにこのことを報告する。


「……よし。できたぞ」


「おめでとうございます!徹也様!これで、身体強化ができるようになりましたね!後で、腕とかも試してみてください!」


「ああ。本当にありがとうシャーロット。お前がいてくれて良かった」


 徹也は小さい笑顔を見せて、シャーロットにそう言った。言われたシャーロットは、少し間が空いてから一瞬で顔を赤くした。


「……ふえ!?そ、そんな!て、徹也様が頑張ったからで……」


「いや、シャーロットの教え方がよかったからだ。シャーロットがいなければ、もっと苦戦していたかもしれない」


「は、はい……。て、徹也様の力になれたのなら、良かったです……」


 シャーロットは顔を更に赤くさせて、徹也から目線を逸しながらも徹也の言葉にそう返した。徹也はそんなシャーロットを見て、なぜこんな風になっているのか疑問に思い、シャーロットに問う。


「……どうしたシャーロット?大丈夫か?」


「だ、大丈夫、です……」


「……本当か?」


 徹也はシャーロットの様子を見て、大丈夫ではないのではないかと思った。まさか、体調が悪いのか。


 そう考えた徹也はシャーロットに近づき、熱を測ろうと手をシャーロットの額に手をのばす。だが、徹也の手がシャーロットの額に辿り着く前に、徹也の後ろから声が聞こえた。


「……何をしているのかしら?徹也君?」


 聞こえた声の主は、治伽であった。徹也はシャーロットの額にのばしていた手をピタリと止め、ギギギッと治伽の方に向く。それほど、先程の治伽の声には迫力があったのである。


「い、いや、シャーロットの様子が少しおかしかったから……。体調でも悪いのかと思って……」


「わ、悪くないです!大丈夫ですから!」


「……シャーロットはこう言っているけど?」


「いやでも、顔が赤い――」


 徹也それを指摘すると、シャーロットは顔を俯かせ、治伽は徹也に対する視線が強くなった。治伽の目線はまるで、それ以上言うなというものだった。徹也はそんな治伽の視線に逆らえず、それ以上は言わなかった。


「……何でもありません」


「……よろしい。私も本を見つけて少し読むことができたし、戻りましょう。昼食に遅れてしまうわ」


「……もうそんな時間か。分かった。早く戻ろう。……じゃあ、またな。シャーロット。本当に助かった」


「ええ。ありがとうシャーロット」


 徹也と治伽はシャーロットそう言って、礼を告げる。そんな礼に対して、シャーロットはまだ少し赤い顔を上げ、徹也と治伽に別れを告げる。


「い、いえいえ。……その、また、いらしてくださいね……?徹也様……」


「……お、おう」


 シャーロットの言葉に、徹也は吃りながらそう返した。そんな徹也にシャーロットは小さく笑って、治伽の方を向く。


「治伽も、待っていますからね?」


「……ええ、またね。シャーロット」


 治伽はシャーロットの言葉に頷くと、シャーロットに別れの言葉を告げた。そして徹也と治伽はシャーロットから背を向けて、書庫の扉を開き歩き出した。


読んでくださりありがとうございます!

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