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第十話

 あれから二時間ほどの時間が経った。徹也と治伽はその時間ずっと探し続けたが、今まで開いた本のどこにも必要な情報は載っていなかった。これだけ探して、まだ全体のほんの一部でしかない。その事実に、徹也は大きなため息を吐いた。


(これだけ探して、まだ見つからないのか……。まずいな……。これじゃあきりがない……)


 徹也はそう考えて、またため息を吐いた。そして、また一つの本棚を探し終えた徹也は、一段落ついたので治伽のところに行く。


「望月。そっちはどうだ?」


「……全然駄目。手がかりのての字もないわ」


「そうか……」


 徹也と治伽は同時にため息を吐いた。ため息を吐きすぎだが、吐かないとやっていられないのだろう。


 すると、書庫の扉が開いてクリスが書庫の中に入って来た。そして、徹也と治伽のところまで来て、二人に声をかける。


「すいません。そろそろ移動を開始しましょう。武器選びに間に合わないので……。武器庫で他の人達と合流して、そのまま武器選びになります」


「……分かりました。ただ、訓練が終わった後の自由時間にこの書庫を使っていいですか?」


 徹也はクリスにそう聞いた。徹也はこの書庫をいつでも使えるようにしておきたいのだ。今日は手がかりを得られなかったが、探し続ければ必ず見つかるはずだからである。


「……私だけでは判断できませんが、恐らく大丈夫だと思います。後で聞いておきますね」


「……はい。よろしくお願いします」


 クリスの返した言葉に、徹也は確定ではないのかと思い少し顔をしかめた。


 また、徹也は同時に自分の予想が当たっていれば、恐らく長居することは許されないだろうと思っていた。徹也と治伽に、情報が入らないようにするためである。


「では、行きましょう――」


「ちょっと待ってください」


 クリスが徹也と治伽を武器庫に案内しようとしたが、治伽がクリスを呼び止めた。そんな治伽の手には、一冊の本が握られていた。


「この本、持っていってもいいですか?」


「はい。構いません。では、一度部屋に戻りましょうか。それぐらいの時間はあると思うので」


「ありがとうございます」


「では、今度こそ行きましょう」


 クリスがそう言い、扉に向かって歩き出す。徹也と治伽はそんなクリスの後に続いた。扉を開き書庫から出て、まず部屋に向かう。


 するとあるき始めて少ししてから、徹也が治伽に話しかけた。


「その本、何が書いてあるんだ?」


 徹也は治伽にそう聞いた。治伽が持ってきたということは、必要な情報が書かれた本なのだろうと、徹也は考えたのだ。


「……目次を見たら、歴代の王の名前が並んでいたの。だから、歴史の本なんじゃないかって……」


「……なるほどな。何らかの情報があればいいんだが……」


「……そうね。後で一緒に読んでみましょう。今日の夜、才無佐君の部屋にこの本を持って行くわ」


「……俺が望月の部屋に行くのは駄目なのか?」


 徹也が治伽にそう聞いてしまった。徹也はただ、本を持って自分の部屋に来るよりも自分が望月の部屋に行った方が早いという考えでそう言ったのだが、治伽は徹也のその発言に対してジト目を向けながら言葉を返す。


「……女子の部屋は、男子禁制なのよ」


「そんなこと聞かされてないが……」


「……暗黙の了解よ」


「いや初めて聞いた――」


「き、ん、せ、いなの!とにかく、今日の夜に才無佐君の部屋に行くから」


「……はい」


 これは引き下がるしかないやつだと、徹也は思った。治伽がここまで強く言ってきたら、徹也には折れる選択肢しか残っていない。返す言葉も思いつかなかったのだ。


 一方、治伽は周りの目を気にしていた。部屋は女子は女子で、男子は男子でという風に分けられており、治伽の部屋だと人目につきやすいのだ。しかも恋の話題は、漏れればすぐに拡散してしまう。それで舞と優愛に伝わってしまってはいけないと、治伽は思っていた。


 それに比べて徹也の部屋は、人目につきにくい場所にあり、行きやすくバレにくい。なので治伽は、強引になろうとも徹也の部屋にしたかったのだ。


 もっとも、治伽には男子が部屋に来ることへの恥ずかしさもあったとは思うが……。


「……分かったらいいのよ」


(いや、分かってないけどな……。まぁ、そういうことにしておこう……)


 治伽はそう言って歩くスピードを上げた。徹也は治伽の言葉に対してこう思ったが、それを口に出すことはなかった。


 そして徹也は、クリスと治伽に置いて行かれないように、歩くスピードを少し上げたのであった。


読んでくださりありがとうございます!

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