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JC異世界冒険譚 〜魔王とわたしと暗殺者〜   作者: ぽん之助
第一部 わたしと異世界の人々
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小さな出会い


 ――で、それから3日過ぎてようやく自由に動けるくらいに回復した訳です。

 いやまさか全快するのに3日も要するとは、我ながら相変わらずの貧弱っぷりである。まだ両足は少し痛むけれど、軽い筋肉痛程度なので問題は無い。……はず。


 この3日の間におじいさんと何度か話しをする機会があって、この世界の事が少し理解出来た。ような気がする。

 なんでもここはファイレクシア王国の領地の一つで、ダグルスと言うらしい。正確にはダグルスの中のべカルス地方だとか。

 

 おじいさんの事も知りたかったけど必要最低限の質問にしか答えてくれないので、未だによく分からない。 

 取り敢えず聞き出せたのは名前が『グレイス』と言う事だけ。まあ何処から来たのか、何者なのかも分からないような、不審者たるわたしに何でも話してくれる訳もないか。


 ちなみに落ち着いてからよく見てみたら第一印象とは違い、思ったより若くて、おじいさんより、アラフィフのおじさまって感じだった。

 最初に見た時、髪の毛が全部白髪に見えたからてっきりおじいさんだと思い込んでいたようで、明るい所でよく見たら白髪混じりだけど基本的に銀髪だった。同じ色の顎髭もなかなか渋い。赤茶色の鋭い眼つきと風格のある顔立ちで少し近寄り難い雰囲気を醸し出している。


 身長も高くて多分180センチ以上はありそう。黒を基調とした服だけど、所々に動物の革を使っていて意外とワイルドだ。丈夫そうな革のブーツが更にそれを強調している。最初に見た時はまるで猟師の様だなと思った。まあ実際に猟師を見た事が無いので何となくそんなイメージを持っただけなのだけど。

 ところが、本当に猟師の様な暮らしをしているらしく、あの日も山奥で狩猟をしていたそうだ。だけど何も捕れず、諦めて帰る途中で、偶然にも遭難していたわたしを見付けたらしい。


 助けてもらった上にしばらくここでお世話になる予定なのだから、何もせず好意に甘えている訳にはいかない。せめてものお礼もしたいし、何かお手伝いくらいはしたい。したいのだけれど出来そうな事が殆ど無い。

 猟師なら仕留めた獲物を食べたりする為にアレしたりコレしたりするのであろう。しかしわたしは血が苦手なのだ。絶対無理無理! だって都会っ子だもん!


 まあ、案ずるより産むが易し。ワイルドな事は出来なくても皿洗いとか掃除くらいなら出来るはず。頑張れわたし。

 自分を励ましながらベッドから降りると、よしっ、と良く分からない覚悟を決めてゆっくりと扉を開けて部屋を出た。


 

 部屋を出ると、そこに廊下などは無くて、二十帖くらいありそうな部屋が広がっていた。中心に円形の大きな木製のテーブルがあり、その周りに椅子が数個。

 右側の壁にはいくつかの窓と大きな棚があり、何かの道具のような物が沢山置いてある。

 反対側の壁には大きな暖炉があって、正面奥にはキッチンらしき物が見える。もちろんわたしの知ってるキッチンとは全然違うが、竈があるので多分キッチンだ。キッチンと言うより、台所と言った方がしっくりくる。

 まあ異世界なファンタジーワールドに電化製品とか、ガスコンロとかある訳がない。ごめんなさい、わたしホントに皿洗いと掃除しか出来ないかも知れません。


 後は扉が二つ、一つはわたしの居た部屋の扉と同じ物が少し離れた所にある。おそらく隣にもう一部屋があるんだろう。そっちがグレイスの寝室かな?

 もう一つは台所のような物の隣、外の光が射し込んでいる大きな扉。あれは多分玄関扉だろう。

 この部屋にも、天井に照明らしき物が一つ、机の上もロウソクのような物がある。


 部屋の中をキョロキョロと見回しているうちに、この部屋には誰も居ない事に気付いた。うーん、もしかしたら出掛けてるのかも……?


 家主が留守の間に家を勝手に見学して回るのは失礼かなと思い、取り敢えず中心の大きな机まで歩き、椅子に座ってグレイスの帰りを待つ事にした。

 おそらく手作りであろう木製の椅子だけど手触りも良く、とても上手に作られていて、思ったより座り心地も良かった。少しサイズが大きくて足が床につかない。座る時も少し苦労したけど、わたしが小さ過ぎるのでは無い。この椅子が大き過ぎるのだ。うん。


 椅子以外の家具もグレイスが造ったのかな? などと考えながら少しぼーっとしていると、不意に玄関と思われる扉が開いて、何やら大きな袋を肩に背負った家主が入って来た。


「起きてたのか、もう動いて大丈夫なのか?」

「はい。おかげさまですっかり元気になりました」


 予想通り玄関だった扉から家の中に入って来たグレイスは、少し安心したような表情を見せる。そして背負っていた、とても嫌な予感のする大きな布袋の様な何かを竈の前の床にドサッと置いて、そのままお茶を淹れ始めた。

 いや、その大きな袋ってアレですかね? 仕留めた獲物なんかが入ってるんですかね? 薄っすらと赤い液体が滲み出てるような気がしますし。結構大きな袋だから猪とかかな……?


 わたしが恐怖の妄想をして青くなっていると、グレイスが机にティーカップを置いてくれた。薄い紅色のお茶が湯気を立てている。香りも色も完全に紅茶だ。とてもワイルドなこの家とグレイスからは想像出来ないような、小洒落た花柄の可愛いティーカップと紅茶に、つい魅入ってしまう。


「どうした? 水の方が良かったか?」

「いえ、素敵なティーカップだったもので…」


 グレイスは何だそんな事か、と言わんばかりに顔を逸らす。おやおや? ちょっと嬉しそうだし、さては少し照れてますね? そんなのまるっとお見通しですよ?


「それじゃ、いただきますね」


 ティーカップを手に取り、一口飲んでみると、やはり見た目から予想していた通り紅茶だった。温かくて軽やかな香りと味が身体中に染み渡るみたいでとても落ち着く。



「しかし、お嬢ちゃんは歳の割に随分しっかりした言葉使いが出来るんだな」


 あら? 褒められた? えへへちょっと嬉しい。でもその言い方って絶対にわたしを小さい子供だと思ってるよね。まあ別に慣れてるから平気だけど。


「あの、わたしちょっと成長が遅い体質で、こう見えても14歳なんです」

「ほう……」


 やっぱりちょっと驚いた顔をしている。いいもん、こんなリアクション今まで何回も経験したから慣れてるもん。……ぐすん。


 「……まるでエルフの子供のようだな」


 なるほど、エルフとか存在するんだ。ファンタジーワールドの定番だもんねエルフって。と、なるとやっぱり此処もそんな感じのファンタジーな世界観なんですね。となると魔法とかあるのかな? 魔物なんかもいたりして?


「いえ、普通の人間です。多分……」


 異世界の予想も程々に、グレイスの質問に答えると、彼はそうか、とすぐに納得してくれた様子でそのまま話を続ける。


「それで、これからどうするつもりなんだ?」

「行くあても無いですし、正直右も左も分からない状態なので、もしご迷惑でなかったらしばらくここに居させてもらえたらと……」

「まあ、構わんさ。その代わり出来る範囲で手伝いでもしてもらう事になるが」

「はい。が、頑張ります!」


 勿論タダで住まわせて貰うつもりはない。多分皿洗いとお掃除くらいしか出来ないと思いますが、頑張ります!


「ちなみにお嬢ちゃんは動物を捌いた事はあるか?」


 そう言ってグレイスはちらりと、台所の袋の方に目をやる。

 ……やっぱりソレやるんですね。わたしには無理です。絶対気絶する事間違いなし。


「いえ! 全くありません! 血とかすっごく苦手です!」

「……まあ、そうだろう。これからそこで捌くから、お嬢ちゃんは外の空気でも吸って来たら良い。ずっと寝てばかりだったからな」


 流石グレイスおじさま気が利く! ちょっと呆れてる表情に見えるけど気にしない。

 ……あれ? そういえばさっきからお嬢ちゃんって呼ばれてるけどわたしって名前教えたっけ?


 あ、そういえばまだ名前を言ってなかった! 名前を訊いておいて自分は名乗るのを忘れるとは、わたしとしたことが何たる失態。


「す、すみません。名前言うのすっかり忘れてました。わたし、佐々木天音っていいます」

「ササキアマネ? 変わった名前だな」


 やっぱりこっちの世界じゃ馴染みのないタイプの名前だからか、明らかに発音しにくそうですね……


「天音だけで良いですよ、じゃあちょっと外見て来ます!」


 そう言い残して椅子から飛び降り、意気揚々と玄関に向かう。


「あまり遠くに行くんじゃないぞ」

「はーい!」


 完全に子供扱いされている事など気にせず、グレイスの声に元気良く返事をして玄関の扉を開けた。


 外に出ると、快晴の青空が広がっていた。グレイスの家の周辺には背の低い草が芝生の様に広がり、100メートル以上離れたところから少しずつ木が生え始めていて、更にその先は木が増えて森になっているようだ。

 あそこまで行ったらちょっと危ないかな? わたしでもそれくらいは分かる。迂闊に足を踏み入れて迷子になりまた遭難するような事態は避けたいので、まずはリハビリがてら家の周りをぐるりと歩いて見る事にしよう。


「……まだ朝なのかな?」


 草に付いていた朝露が、靴を濡らすのを見て呟いた。日差しが暖かい割に風が冷たいのも朝っぽい。時計が無いから分からないけど午前九時頃だと思う。勘だけど。


「日本だったら初春って感じかな?」


 そんな感想を呟き、しばらくの間寝たきり状態だった身体をほぐしながら、ゆっくり歩く。身体はまだ筋肉痛の残る部分もあるが腕も足も問題無く動かせる。ちゃんと食べてゆっくり休んだおかげで、体力も戻って来たみたいで一安心。まあ体力の上限が低いから全回復しても無理は出来ないんだけどね。


 少し歩いていると、大きな木と、その下にベンチの様な椅子があるのを見つけた。時間帯が良ければ、ベンチが木の陰になって寛げそうな場所だなぁ。でもグレイスがここで寛いでいる様を思い浮かべたら、ちょっと似合わなさ過ぎるんじゃないかと考えてしまった。


 そこから更に家の裏に回ると、少し離れた所に小屋のような建物があるのに気付いた。結構大きいけど、どうやら家ではない様子。

 近付いて良く見てみると、どうやら物置小屋のようだ。でも思ったより大きかったので小屋より倉庫と言った方がしっくりくる。


「狩猟の道具とか置いてあるのかな……?」


 弓とか槍とか……? ファンタジーっぽい世界だし、剣とか魔法の道具なんかもあるかも……?

 そんな事を想像したら、俄然興味が出て来た。インドア派だったから結構ゲーム好きだし、王道ファンタジーのRPGなんか特に好きだから興味津々なのである。


「でも勝手に入ったら駄目だよね……」


 そうは思いながらも、倉庫の正面まで近付いて見ると大きな両開きの扉の真ん中に南京錠ののような物が付いていた。

 うーん、これって恐らく鍵だと思うんだけど、どこを見ても鍵穴らしいものは無いね。

 まあ、やっぱり勝手に入るのは失礼だし止めておこう。そもそも入れそうにないけど。


 ……でも窓からのちょっと覗くくらいなら大丈夫かな? 大丈夫だよね?

 溢れる好奇心に負けて、倉庫の入口がある正面から右側に回り込むと、一つだけ小さな窓があった。盗難防止の為か、鉄格子が付いているけれど、あそこからなら中が見られそうだ。


「よいしょ!」


 窓は意外と高い所にあったので、思いっ切り背伸びして中を覗き込む。しかし薄暗くて良く見えない。

 何とか目を凝らして観察しても武器らしき物は見当たらない。いくつかの棚に、何やら良く分からない道具が沢山置いてあるのが分かる程度だった。これはガッカリ。


「……あれ?」


 ふと、奥の方にある小さな机が目に止まった。その机の上には綺麗な装飾が施された長方形の箱が置いてあるのだ。そこは反対側の窓から射し込む光に照らされていて、まるでその箱が自分の存在を主張しているかのように感じた。

 それに乱雑に置かれた謎の道具達と違ってその机の周辺だけはキレイに片付けられていてる。大切な物が入っているのだろうか?

 色々な物がある中でも、やっぱり一番気になるのはその長方形の箱だ。絶対見た事なんて無いはずなのに、ほんの少し懐かしいような不思議な気分になるようでつい魅入ってしまう。

 


「……ス………」

「え?」


 え? 何か聴こえた……? 声……?

 慌てて周辺を見回してみるものの、何も無いし誰も居ない。気のせいかな……?


 もう一度背伸びしてあの箱を見る。やっぱり変な感じ。なんだろ? 呼ばれているような……?


「……何をしてるんだ?」

「ウヒィ!!」


 突然後ろから話しかけられたので、箱を見る事に集中していたわたしは激しくビックリして奇声をあげながら体制を崩して転んでしまった。これは恥ずかしい。

 声の聞こえた方を見上げると、グレイスが不審そうな顔でわたしを見下ろしている。


「か、勝手に覗いてごめんなさい! ちょっと気になったもので!」

「それは別に構わんが……何か気になる物でもあったのか? 随分熱心に見ていたようだが……」


 全く自覚はないものの、どうやら長い時間あの箱を見ていたようで、グレイスはいつまで経っても家に戻らないわたしを探しに来たらしい。さっそくご心配おかけして申し訳ありません……


「この倉庫の中にある、あの箱って何が入ってるんですか?」


 それでもあの箱が気になってしょうがないので直接訊いて見る事にしよう。もしかしたら見せてくれるかも知れない。


「あれが気になるのか……まあ見るだけなら良いだろう」


 そう言ってグレイスは倉庫の入口に行くと、扉の真ん中に付いている南京錠のような物を触る。すると南京錠は光を放った後、スゥッと消えてしまった。何それ凄い! 魔法みたい!


「今の鍵……ですよね? 消えちゃいましたけど……?」

「ああ、鍵だ。予め登録された者の魔力でしか開けられない、少し特殊な物だが」


 少しどころではなく、大変特殊な物だと思うんですけど。流石は異世界。やっぱり魔力とか存在ファンタジーな場所なんですね。

 それじゃあ魔法とかもあるのかな? 是非わたしも魔法使えるようになりたい。背の伸びる魔法とか、或いは身体の成長を促す魔法とかあるととても良いですね。


 都合の良い妄想にふけるわたしを置いて、さっさと倉庫に入って行くグレイス。わたしも慌ててその後を追い足を踏み入れる。外から見た通り、棚には色々な道具と思しき物が並んでいる。少し埃を被っている物が多いからあまり出入りしてないのだろうか。

 わたしがキョロキョロしているうちに、グレイスは例の箱の前に辿り着いていた。

 良く見るとその箱にも南京錠のような鍵があって、グレイスがそれに触れると、扉の南京錠と同じように光って消えた。うん、やっぱり手品じゃなくて魔法だよね。何度見ても信じられないけどこれが現実。異世界凄い。


 カチャリ、と留め具を外す微かな音を立ててグレイスが箱の蓋を開けた。中には六十センチ程の女の子の姿をした人形が横たわっていた。それはまるで棺に眠る美しい少女の芸術作品の様な光景で、わたしは少し見惚れてしまった。


「これは……人形ですか? 凄く綺麗ですね……」

「これはとても珍しい人形でな、大昔に造られた魔術式機械人形なんだ」


 え? なんて? まじゅつしきなんちゃら……?


「要するに魔力を動力とする、機械仕掛けの使い魔だな」


 ふむふむ、なるほど分かりません。つまりこのお人形さんは動くってことかな? 何それ凄い。もしも動いて喋ったりしたら現代技術を越える超技術じゃないですか。更に可愛いし。


「えーと、つまりこのお人形さん動くんですか?」

「昔はな。今はもう魔力を供給するマスターが居ないから動かせない」


 昔は動いていたのにもう動かないのかぁ。何だか勿体ないなぁ、と思いながら一歩近付いて可愛らしいお人形を更に良く見てみる。

 フリルの付いたメイド服のような可愛らしいワンピースが着せられていて、その体を包み込むように長い髪が艶めいている。

 少し大きめの花の髪飾りを付けた、夕焼けのような茜色の綺麗な髪は、倉庫に射し込む僅かな光でキラキラと輝いていて、つい目を奪われてしまった。


「持ち主ともう会えないなんて可愛そうですね……」


 きっとマスターとは持ち主の事だろう。その人は昔に亡くなってしまって、この娘はそれからずっとこの箱の中で眠ったまま、もう目覚めることは無いのかも知れない。


「……そうだな」


 グレイスも少し悲しげな表情で人形を見つめている。彼はこの人形が動いていた頃を知っていて、色々と思い出深い物なのだろうか。


 でも、出来れば動く所を見たかったな。いや、むしろ動かせないものか。魔術式なんちゃらって言ってたし、魔力? 的なパワーを送れば復活するかも知れないのでは?

 思い立ったが吉日である。思い付いた事はすぐに試したい性格のわたしは早速両手をお人形に向かってかざし、動けー動けーと念を送った。だって魔力とか分かんないからね!


「……何だそれは」


 わたしの魔力送信のポーズを見たグレイスが、とても呆れた表情をしている。まあ、そうですよね。


「いや、動いてくれないかなって……」

「…………本当に変わり者だな、お嬢ちゃんは」


 ああ! 更に呆れていらっしゃる! すみません! 思い立ったら即実行してみたくなるのは昔からの悪い癖でありまして……


 その時、カタッと物音がしたような気がしてグレイスとわたしは同時に箱の方へ視線を移す。


「これは……」


 グレイスの横顔が明らかに驚いているのが分かる。もちろんわたしも開いた口が塞がらない。

 だって、箱の中で横になって眠っていたお人形が、今は箱の真ん中に立っているんだから!


「おはようございます、マスター」


 きゃああぁぁ! 喋ったああぁぁ!

 さっきまで閉じていた瞳が今はぱっちりと開いていて、赤い宝石のようにキラキラと輝いている。流石ファンタジーワールド! マジ素敵!


「……こいつは驚いた」

「……はい、ビックリですね」


 グレイスと一緒に改めて今起こっている出来事に驚く。きっと驚いている理由が違う気もする。わたしは人形が動いた事に驚き、グレイスはわたしの変なポーズで人形が復活させたのを驚いているのだと思う。

 ふと、お人形の視線がわたしに向けられている事に気付いた。あれ? もしかしてマスターって呼ばれたのわたしっぽい?


「お久しぶりです、グレイス様」

「ああ、そうだな」


 人形はわたしからグレイスの方へと視線を移すと、二人は挨拶を交わした。いや一人と一体なのかな……?


「随分お年を召されましたね」

「百年も経てば誰だって歳を取るさ」


 久しぶりの再開に話が弾む二人? を見ていると、よく分からないけど何だかとても良い事した気がしてきて、わたしまで嬉しくなってしまう。


 ……ちょっと待てよ? 今この人百年って言ったよね? 百年ぶりの再開? ん? んん?



 ――()()()()()()()()()()()()()!?




 動き出した人形と、グレイスおじさま人間じゃない疑惑

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