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上手く言えない言葉  作者: 空智
3/6

case1、渡辺まこ(中)

鈴花は暖かい太陽の光を浴びながら欠伸をしていた。

昨日は兄と夜中までテレビやゲームをしていたせいで寝不足なのだ。

机の上に体をおく。

そして眠気に誘われるまま寝てしまおうかと考えていたその時、鈴花の頭上に重たいものが乗せらせた。

なんだろうかと思い頭の上のものを触る。

表面はつるつるしているが側面は紙の束のようになっている。

頭の上のものを退け頭を上げるとそこにはつまらなそうな顔をしたまこがいた。

「あんまりいい反応じゃないのね、つまんないわ」

まこは腕を組み、鈴花の方を見る。

「そんな叩かれるならまだしも辞書を頭に置かれるくらいじゃびっくりしないよ」

鈴花は手の中にある国語辞書をまこに渡す。

「なら叩けばいいのかしら?」

まこは渡された辞書を鈴花の方に向ける。

「それはやだ。叩かれるのはあいつで十分だよ…」

鈴花は昨日叩かれたところを思い出したのかのように頭をさすった。

「あの幼馴染でしょう?鈴花も大変ね」

でも、好きな子ほどいじめたいっていうのが男だからね。

まこが最後に言った小声は鈴花には聞こえておらず鈴花は聞こえないと言う。

別になんでもないのよと言った後、まこはあいつも不憫だなと鈴花の幼馴染を憐れむ。

鈴花はため息を吐きながら窓の外を見た。

少しこの校舎から離れたところに立派な校舎がある。

鈴花とまこがいる高校は普通科と特進科に別れており、普通科は今、鈴花がいる校舎、特進科は普通科の校舎から少し離れたところにある。

普通科の校舎は一般的な校舎だが特進科は物凄く綺麗にされており本当にここは高校なのかと疑うほどだ。

鈴花の兄と鈴花の幼馴染はその特進科の方にいる。

鈴花のいいとも悪いとも言えない学力では特進科には行けなかったのだ。

特に行きたいとも思っていなかったので鈴花はそれほど気にしていなかったが、綺麗な外観の特進科の校舎を見ると何故か行きたかったなんて思ってしまう。

鈴花はそんな思いを打ち消すように顔を上げる。

目の前ではまこが何やら言いたげにしている。

鈴花はそんなまこの方をじっと見る。

気まずくなったまこは顔を背け窓の外を見る。

「あのさ、まこちゃんまた夢見が悪いの?」

まこはいつも鈴花の方を向き何か言いたげにしている日は夢見が悪かった日だ。

まことは小学生の頃からそうだった。

怖い夢を見るとよく鈴花に内容を話してくれた。

しかし、高校生になった直後には全然話してくれなかったのだ。

ただ鈴花に何か言いたそうに気付いて欲しそうにこちらを見るのだ。

「…最近はなんだかひどい夢を見るの」

ひどい夢とは何かは分からないがまこにはそれが怖かったのだろう。

「なんでだろうね」

そう呟いて笑うまこの目の下には隈があった。

寝れていないだろうか?

しかし、まこに言うと絶対に答えないだろう。

まこは昔から強がりだったから。

夢に内容すら話さなくなったことに何故か寂しさを感じて鈴花はため息を吐いた。

まこがそれと同時に鈴花よりも大きなため息を吐く。

どうすればいいのかわからなくなり鈴花は机に伏せる。

まこの夢に出てくるものが何かなどわからない。

けれどもまこが何を悩んでいるか知りたいが、まこが話すなんてありえない。

どうしてまこは夢見が良くないのかなんて鈴花にはわからず頭を抱える。

でも、大切な友達の事ならば助けてあげたいとそうまこは思った。

まこちゃんが幼馴染説出てきたことに作者も戸惑いを隠せません。

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