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第42話 馬車の従者でいいの?

翌朝、ハヤテが来ると少し遅れて宿で泊まっていたシルビア達が出て来た。


「おはよう、馬車さん」

『おはよう、シルビア。今日はアクセサリー屋のサンの所に行きたいんだけどいいかな』

「何しにいくの?」

『妖精のさ、奴隷の首輪の外し方を知ってるか聞きに行きたいんだ。あと、この子達の奴隷紋が消せないとかさ』

シルビア達が順番に荷台に乗って来る。


「うちの首輪やったら、もうキューちゃんが取ってくれたで。今頃なに言うてんの」

ブンブン飛び回ってる妖精を見ると、確かに奴隷の首輪が無かった。

『え? そうなの? じゃあ、奴隷紋もキューちゃんが消せるのかな?』

キュキュ『あるじ様ー、出来るかもしれないけど、昨日失敗しちゃったから首輪をこわしちゃったんだー』

それは危ないな、奴隷紋は肌に直接描かれてるから、失敗したら死んじゃうかもしれないよな。首輪で良かったよ。

じゃあ、どうするかなぁ。奴隷紋はアクセサリーじゃないからサンも知らないかもな。


「おなかすいたニャ」

え? おなかすいたニャって誰? そんな言葉を言う奴はいなかったよな。

声のした方を見るとライリィが座っていた。

ラ、ライリィだよな? 名前もライリィって出てるしな。

布団から出たライリィが座っていたが、見た目が凄く変わっていた。

シルビア達も、誰? っていう目で見てる。



【鑑定】

名前: ライリィ

分類: 獣人 (雷人)LV7

HP:55/55 MP:50/50 ATT47 DFE38 SPD53

スキル:【体術】1/10【武器】0/10【魔法】1/10【念話】0/10【隠形】1/10【気配感知】1/10

体術:【受け流し】1/10【瞬歩】1/10【正拳】1/10

武器:【剣】1/10【槍】1/10【弓】1/10

魔法:【火】1/10【水】1/10【木】1/10【土】1/10【風】1/10【雷】2/10

ユニークスキル:【変形(デフォーメーション)】【――】

称号:馬車の従者



おお! やっぱり進化してるよ、身体も大きくなっちゃって。20センチぐらい伸びたんじゃないの? 布団に入ってたから分からなかったよ。

進化前はシルビアより少し大きいぐらいに思ってたけど、今は155センチぐらいあるかもな。座ったままだから多分だけど。

着てる服もちっちゃくなっておへそが見えてるよ。胸も強調されてしまってて目のやり場に困るなぁ。フフフフ

大きさもCカップぐらいあるんじゃないか? 昨夜はペッタンコだったぞ。まだ身体も大きくなりそうだし、更なる成長に期待ができそうだな。オレには関係ないって? 男は見るだけでも幸せになる時もあるのだよ。

雷人ってなってるけど、トラ猫の獣人みたいだよ。色はボルトと同じだな。

変形(デフォーメーション)】ってなんだ?


【鑑定】で変形(デフォーメーション)に集中してみる。


変形(デフォーメーション):戦闘に応じて身体を変形させる。


戦闘に応じて変形ってどんな事ができるんだろ? 身体が変形するのか? それとも爪や牙だけが変形するのかな? 今度やって見せてもらお。

でもオレの名付けって凄いんだな、改めて思うよ。しかし、進化ってのも凄いよな、この世界って進化で上位種になる程強くなるもんなんだな。ボルトやキューちゃんを見てもそうだもんな。

じゃあ、ライリィも強くなったのかな? レベルが低すぎて分かんないけどね。荷台に乗せてボルトに魔物を倒してもらったらこの子のレベルも上がるだろうから分かるよな。


ただ、馬車の従者って称号だけは、どうにかなんないもんかなぁ。可哀想すぎるわ、もしオレに名前があったら○○の従者ってなるのかな?

名前ねー、・・・・まったく思い出せないよ。


「どーしたのニャ?」

ポカンとしているシルビア達にライリィが声を掛ける。

やっぱりニャって言ってるよな。そんな話し方じゃなかったよな? オレは別にネコ言葉とかでは反応しないよ。オレはハーフエルフ派なのだ。スレンダーなエルフでもない、ハーフエルフがいいのだ。

でも、実際に見てみるとネコも悪くはないなぁ。


『ライリィだよな? お前ってそんな話し方だったっけ?』

「そーなのニャ~、この話し方が楽なのニャ」

『それなら別にいいんだけど、シルビア達が進化したライリィを見てビックリしてるから、改めて自己紹介してやってくれない?』

ライリィは荷台の後方に乗っているシルビア達に向いて挨拶をした。

『初めましてライリィだニャ、ご主人様に名前を付けてもらって進化したみたいだニャン』

昨日はずっと寝てて、話せなかったからね。初めましてで合ってるな。


「えー! ホンマにー! 名付けてもろたら進化できるん!? そんなら次はうちや! うちも名付けてーや!」

妖精が大声で燥ぎまくってる。その横では天魔人の子も目を輝かせてる。

「わ、私も・・・その・・・」

「馬車さん、昨夜この子達と話をしてね、この子達を学校に行かせてはどうかと思うのよ。それには名前が必要だって事になってね、どうかしら馬車さん、この子達に名前を付けてくださらない?」

ミランダリィが昨夜の話を出してフォローする。

なんでそんな話になってんの? 別にいいけどさぁ、魔人はどうすんの?


『名前って・・・妖精も学校に行くの?』

「うちは行けへんわ! うちは名付けてもろて最強妖精に進化するんや! ほんで森の王者になるんやー!」

それは無理だと思うけど、森の王者ってなんなんだよ。


『最強妖精になるかどうかは分かんないけど、オレが名付けるとオレの従者になっちゃうよ? 『馬車の従者』って称号が付いちゃうんだ。ボルト達は気にしてないけど、それでもいいの?』

「馬車の従者~? それはちょっと格好悪いわ。うちは辞めとこかなぁ」

『そうだろ、強くはなるみたいだけど辞めた方がいいと思うよ』

「・・・私は・・名前が・・欲しいです」

天魔人の子が絞り出すように途切れながらもお願いをした。

『いいのか? 昨日も言ったけど、オレは奴隷として扱う気は無いんだ。成長したら独立させてあげたいんだ。その時に称号が邪魔になるといけないから、よく考えて決めた方がいいよ』

「いいえ! 私に名前を付けてください! どこも行くところが無いんです。学校も行かなくてもいいんです! そばに置いてください、何でもします! お願いします!」

天魔人の子が意を決して頼んで来る。土下座をして涙目になって必死に頼んでくる。

この世界にも土下座ってあったの? 荷台に上がって座った状態からだからこうなってしまうか。

でも、どこを見てるんだろ? 誰に向かって頼んでるんだろうと目線の先を伺うと・・・【馬車主】がいた。

え? この子には見えてんの? ホントに?

試しに【馬車主】を荷台の方に向けて頷かせた。

天魔人の子が笑顔になって大粒の涙を零した。

「ありが・・とう・ござ・い・・・うぅぅ」


本当に見えてるみたいだな、何か縁を感じるよ。これなら名付けてもいいかな。

ただ、忘れてるだけで、名前はあるんだよな。消す事ができるんなら復活させるともできるんじゃないのかなぁ。

今は、その方法も知らないし、名付けてやろう。

もちろんこの子も元の名前でいいだろう。

『君の名前はルシエルだよ』

《SPはどれだけ消費しますか》

そりゃもちろん全部だよ。

《わかりました。SPを全部消費します》

「ルシエル・・・・」

ルシエルは白に光ったり黒に光ったりしながら眠りに付いた。

一晩経って回復していたSPが一気に無くなった。視界も前方と荷台だけになる。


「うわぁお! かっけー! こんなんなんの? なぁなぁ、これってめちゃ格好いいやん! やっぱりうちも名付けてもらおかな」

勝手に言ってろ。今は念話もできないみたいだから、回復したら聞いてやるよ。ま、フル回復には時間が掛かるけど、念話が出来るぐらいだったらすぐだけどね。


「馬車さんが名付けるとこういう事になるの? 見たのは初めてじゃないけど、こういうのは初めてだわ」

ミランダリィが驚いてる。

え? 違うの? その辺りを聞いてみたいけど、もうちょっと待ってくれ。

「どう違うの?」

シルビアがミランダリィに尋ねた。いいねシルビア、ちょうど聞きたかったんだ。


「あなたのお父様が【魔物使い】ってユニークスキルを持ってるんだけど、仲間にした魔物に名前を付けた時には進化はしなかったわね」

おお! 勇者もシルビアと同じ【魔物使い】を持ってるんだ。魔物を呼び寄せて弱らせて仲間にしてくれって向こうから言わせるんだっけか? 仲間にした魔物には名付けもしたりするんだろうな。それでも進化しないのか、オレの方が優秀って事? ちょっと天狗になっちゃうよ?

そういや、勇者も転生者だったりするんだろうか。そもそもどうやって勇者認定されるんだろう。職業、勇者。ってなるのかな?


そんな事を考えてると視界が戻って来た。念話ももうできるだろう。

ルシエルはまだオネムだね。妖精の名付けね、どうするか決めたかな?

『妖精はもう決めたの?』

「はいはいはーい! うちもおねがーい! 名前を付けてほしー」

『本当にいいの?』

「もちろんやわ! おねがいします」

『じゃあ、妖精も元の名前のディーディパルね、ディーディパルって名前にしよう』


《SPはどれだけ消費しますか》

今の状態からでも全部消費すれば進化するんだよね?

《はい》

じゃあ、全部消費しよう。

《わかりました、SPを全部消費します》

ディーディパルが水色に光ながら落ちて来た。

「あ、あかん。眠いわ」

落ちて来たディーディパルはシルビアに受け止められた。

ディーディパルは水色に光ってるけど、偶に青や緑が混じってるようだ。


もちろんオレの視界も前方と荷台だけになった。

「おなかすいたニャ」

ライリィがボソッと呟いた。

ライリィだけがまだ朝食を食べて無かった。

視界が回復したら移動しながらでも料理をだしてやるよ。



まず向かったのはトーラス伯爵邸。さっきミランダリィさんが言ってた学校の話だ。

ルシエルもディーディパルもまだ起きないから先にトーラス伯爵の所に行って、学校の話をしてから、皆の服を買いに行く予定だ。


道中に料理を出してやったけど、ライリィの奴、ペロリと5人前食ってもまだ余裕がありそうだったな。今から服を買いに行くから我慢しなさいってミランダリィさんに言われてたもんな。


学校の話はすぐに終わり、トーラス伯爵は快く了承してくれた。

学費も免除、明日からでも登校できるようにしておくと言ってくれた。

流石は奥方様、勇者の嫁って結構権力があるのかな? このメキドナの町はキュジャリング王国の地方都市だし、王都にいる勇者の嫁でもあるミランダリィさんには優遇してくれるんだろうか。シルビアだけじゃ無く、ライリィとルシエルの学費も免除にしてくれたそうだからね。


服屋に着くころにルシエルとディーディパルが起きたようだ。



【鑑定】

名前: ルシエル

分類: 天魔人(魔人)LV8

HP:57/57 MP:67/67 ATT41 DFE52 SPD45

スキル:【魔眼】3/10【天眼】3/10【武器】1/10【魔法】1/10【念話】1/10【隠形】2/10【感知】1/10

武器:【剣】1/10【槍】1/10【弓】2/10【杖】2/10

魔法:【火】1/10【水】3/10【木】2/10【土】1/10【闇】2/10【光】2/10【空間】1/10

ユニークスキル:【天光】【地闇】

称号:馬車の従者



【鑑定】

名前: ディーディパル

分類: エアリアル(風の精霊)LV4

HP:25/25 MP:60/60 ATT16  DFE19 SPD42

スキル:【隠形】1/10【念話】0/10【武器】1/10【魔法】2/10【気配感知】1/10【魔力感知】1/10

魔法:【風】3/10【水】1/10【木】1/10【召喚】1/10

ユニークスキル:【精霊の息吹】

称号: 馬車の従者



少しずつ上がったようだけど、ライリィと一緒でレベルが低いから大した事無いな。

ルシエルってユニークスキル2つになってるよ。1つは開眼しそうだったけど、光と闇の逆のものを持つって凄いな。魔人になってるし。身体も大きくなってるな、ライリィよりちょっと大きいんじゃないか? 胸も含めて。服が破けそうなぐらいピチピチになってるよ。・・・アリだな。

ミランダリィさんが165センチはあるかな、ルシエルが160ぐらいでライリィが155ぐらいか。シルビアだけ130ぐらいだもんな。昨日まで3人共そんなに変わらなかったのにな。シルビアは年相応でいいと思うよ。

ディーディパルは、って・・・名前が長いな、ディーディでいいだろ。ディーでもいいぐらいだ。

それよりもパルって呼んだ方がいいかな? うん、パルにしよう。

こっちも妖精から精霊に進化したね。良かったよ、進化できてなかったら煩そうだったからな。ただ、身体の大きさは変わって無いみたいだ。後で文句を言われそうだよ。

ユニークスキルの確認だけでもしてみよう。


【鑑定】


【天光】:状態異常を回復する

【地闇】:状態異常にする

【精霊の息吹】:植物に影響を与える


どれもいいんだか悪いんだか。判断は使うとこを見てからだな。

でも、学校に行くんだったよな、見る機会は無いかもしれないね。


服の分のお金は金貨100枚をミランダリィさんに渡して、全員の服を選んでもらった。下着も含めて10着ずつ、収納バッグを2つ造ってライリィとルシエルに渡しておいた。ポシェットぐらいの大きさだから、腰に巻いておけばそんなに邪魔にはならないだろ。

まだお金に余裕はあるけど、後で冒険者ギルドに行って素材を売って来ようかな。

雑貨屋も寄りたいと言われたので雑貨屋に寄って、紙や筆記用具を買った。

ノートと呼べるほどの物では無く、1枚1枚バラの紙の束だ。紙は貴重らしく、さっきの服屋より紙の方が高かったよ。筆記用具は付けペンだな、インクは何でできてんのかな? イカ墨かな?

冒険者ギルドの依頼って紙が貼ってあったように思うんだけど、冒険者ギルドって紙の無駄使いをしてるんじゃないの? 


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