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第20話 Sの依頼

誤字報告ありがとうございます。



優遇してくれるって、例えばどういう事があんのかな?

『シルビア、優遇って例えば何をしてくれるのか聞いてみてよ。』

『必要?』

『もちろん! 優遇って聞いたら気になるじゃん。』

貰えるもんは何でも貰うんだよ。

『わかった。』

「アーサー事務長さん、優遇ってどういう事があるの?」

「できる事は多いと思います。特に冒険者には嬉しい事は多いと思いますよ。」

「例えば?」

「そうですね、1番関わりのある所では依頼やダンジョンですかね。行きたい依頼があれば優先して取っておきますし、連絡もします。ダンジョンでも列に並ばずに入れます。何かやりたい依頼はありますか?」

「S」

!「いいえ。」

なに考えてんだよ! Sクラスの依頼なんか無理だっつーの。

「え? 何か言いましたか?」

「S。」「いいえ。」

ダメだっつーの。

「Sですか? Sクラスの魔物討伐依頼という事でしょうか。それならありますよ。」

「いいえ。」「いいえ。」「いいえ。」

聞けよー! 聞こえてるだろー。

「それでいい。」

おい!

「あまり無理しないでくださいね。無理だと思ったら引き返してください。Aクラス以上の魔物の依頼は引き返しても依頼失敗にはなりませんから。」

「なんで?」

「依頼失敗のペナルティは冒険者の保護と冷やかし防止のための措置です。自分の実力以上の依頼をすると簡単に命の失う事もあります。そういう無謀な方が冒険者には多いんですね。今までの冒険者ギルドの歴史とデータから出しているランクですので、実力に合った依頼を受けて頂いております。」

「ふーん。」

「それに、Aクラスの魔物の依頼でペナルティを付けてたら討伐に行ってくれる者がいなくなってしまいます。」

「他には?」

「他では宿屋の紹介や武器など欲しい物があれば、できる限り揃えて差し上げます。勿論料金は頂きますよ。」

『シルビア、伸びる素材のベルトって無いか聞いてみてよ。』

『ボルトの首輪?』

『正解。』


「伸びる素材のベルトって無いですか?」

「伸びる素材ですか。何をされるんですか?」

「ボルトの首輪にするの。」

「確かに大きいですからね。」

「ボルトはまだ大きくなれるの。だから前に買ったのも切れちゃって。」

「えっ! まだ大きくなれる!? そ、それは・・・・まさか・・・・。いや雷獣だし・・・・。」

アーサー事務長の顔色が青くなってきた。

「その件はギルマスと相談するとして、伸びる素材のベルトでしたね。それなら魔法屋かアイテム屋にあると思いますよ。場所はですね・・・・・・。」

魔法屋とアイテム屋の場所を教えてもらった。

1度に纏めて聞いても覚え切れないし、今日聞きたかった事以上の事が聞けたしね。

「Sの依頼は?」

うぉい! 忘れて無かったのかい!

「そうでしたね、東の森の奥にダンジョンがあるんですが、東の森は魔物のレベルも高くCランクの冒険者程度では寄り付きもしません。その奥にあるダンジョンなら尚更誰も行かずに手付かずになってしまっているんです。うちにはAランク冒険者は2組いますが1組はソロなんです。2チームで行ってくれると任せてもいい案件なんですが、Aランク冒険者同士は仲がいいとは言い切れず、同じ依頼を一緒に受けた事もありません。ですからこの依頼もできず放置している状態なんです。もし、シルビアさんが行ってくれるのでしたら、うちとしても助かりますし、シルビアさんもAランク昇格は確定ですね。」

「わかった。そのダンジョンに行けばいいの?」

「行って頂けますか! ありがとうございます。調べて欲しいのはダンジョンの入口が壊れてないかという事と、そのダンジョンは30階層と少なめなんですが、中の魔物のレベルは元々高レベルの魔物がいる高難度のダンジョンなんです。東の森の魔物のレベルが高いのも、このダンジョンのせいではないかと言われています。このダンジョンの1階層だけでもいいので中に入って、今の魔物のレベルがどれぐらいか調べて欲しいのです。」

「わかった。」

「今日出された魔物もこの辺りだと東の森でしか見ない魔物でした。行って来られたんですよね? だから大丈夫だとは思いますが、くれぐれもご注意くださいね。」

アーサー事務長はこちらを使ってくださいと言って周辺地図をくれた。


先に場所を教えてもらってた魔法屋とアイテム屋に立ち寄りボルト達の首輪を探した。

アイテム屋には無かったので魔法屋を訪ねた。

「すいません。」

シルビアに付いて【馬車長】で入って行く。

「はーい、いらっしゃい。」

「首輪はありませんか?」

「首輪かい? 首輪はうちにはありませんねぇ。」

元気そうな小太りの中年女性が店番をしていた。

「普通の首輪じゃなくて伸縮自在の首輪を探してるのですが、こちらにはありませんか? アイテム屋に行っても無かったんです。」

「そういう事かい、それならアクセサリー屋にあるかもねぇ。魔法付加を得意にしてる腕のいいアクセサリー屋がこの先で店をやってるよ。」

「アクセサリー屋ですか。」

「ああ、そうだよ。首輪に魔法付加するのさ。指輪やネックレスにもやってるから首輪でもやってくれんじゃないかねぇ。」

「へぇ、ありがとう、行ってみます。」

アクセサリー屋の場所を聞いて、店を出た。

アクセサリー屋は魔法屋からすぐの所にあり、馬車に乗るほどでも無かった。

「こんにちは。」

【馬車長】もシルビアに付いて入って行く。

「いらっしゃい。」

若い女性で、凄く可愛いい人がいた。『ハーフエルフ:LV20』と出ている。

エルフだー! 生エルフ~! 可愛いい~、是非お友達に。うっひょ~い、スタイル抜群~

「ここで伸縮自在の首輪があるかもって聞いたんだけど。」

「何の事だい? 伸縮自在の首輪って。」

ウホホーイ、エ・ル・フ~、エ・ル・フ~。

「大きい従魔がいてね、その従魔の証として首輪を付けないといけないんだけど、その大きな従魔が小さくなったり大きくなったりするから首輪が切れちゃうんだ。」

「へぇ~、そんな従魔がいんだ。どのぐらい大きいんだい?」

「小さい時は2メートルぐらいなんだけど、大きくなると5メートル以上になるの。だから大型犬の首輪を腕輪にしたんだけど、1回で切れちゃって。」

「そんなに大きいんだ。あんた凄いんだねー。」

「私の従魔じゃ無いんだけど友達なの。」

「何の魔物なんだい?」

「えーと、雷獣。」

「ら、ら、雷獣!? マジで?」

「ええ、本当よ。」

「雷獣ったら、あの雷獣しかいねーよなぁ。わかったよ、あたいが作ってやってもいいよ。」

「ホントに! ありがとう。」

「でも今は作れないんだ。」

「どうして?」

「今は魔石の在庫が切れててね、魔石が無いと作れないんだ。」

「魔石って?」

「魔石も知らねーのか? 見たとこあんたは冒険者みたいだけど、まだGランクの新人か?」

「うん、一昨日入ったとこ。さっきまでGだった。」

「さっきまでって事はランクアップしたんだね、Fになったのかい?」

「B。」

「B~!? GからいきなりBになったのかい。そりゃ凄いね。」

「魔石って何?」

「魔石ってのは魔物の核みたいなもんだ。魔物を倒すと手に入るんだ。Fクラスのショボい魔物でも持ってるけど、ショボい魔物はショボい魔石しか持ってないから質のいい大きな魔石を手に入れようと思ったら高クラスのレベルの高い魔物を倒さないと手に入らないんだ。」

「ふーん。」

『馬車さん、魔石は持ってない?』

エルフ~、エルフ~、エルフ~、エルフ~、エルフ~、エルフ~、エルフ~、エルフ~、エルフ~

『馬車さん? 馬車さん、馬車さん!』

『・・・・えっ?』

『馬車さん、どうしたの?』

『い、いやいや、なんでもないよ。』

『今、聞いてた?』

『き、聞いてたさ。』

『じゃあ、ある?』

『何が?』

『やっぱり聞いてない。』

『ゴメン。』

エルフの登場に浮かれて何も聞いてませんでした。

魔石について教えてもらった。

解体は自動でやってるけど、魔石なんて聞いて無いよなぁ。ナビゲーターは知らないはずは無いよなぁ。

(ナビゲーター、魔石は?)

《・・・・・・》

(ナビゲーター?)

《・・・・保管しています。》

なんか怪しい。

(お前、聞かなかったら出さない気だったろ。)

《そんな事はありません。黙って馬車の機能アップに使おうとは思っていません。》

えっ? 馬車の機能アップ? 黙って? しかも思ってたよね? そんな事もできるの? 色々突っ込み所満載だけど、先にシルビアに言ってやらないとな。後で問い詰めてやる。

やっぱり機械じゃないよなぁ、人間みたいだなナビゲーターは。

『シルビア、魔石はいっぱいあるよ。』

『わかった。』


「魔石はたくさんあるって。」

「そうなのかい! たくさんあるって、じゃあ黄色い魔石はあるかい?」

『あるんじゃないかなぁ。』

《あります。》

『あるってさ。』

「あるって。」

「見せてくれるか?」

(ナビゲーター、出してやって。)

シルビアとハーフエルフの前に黄色い5センチ角ぐらいの魔石が出た。

「うおっ! な、な、なんだこの大きさは! デッカい。」

「大きいの?」

「デカいってもんじゃないよ、普通うちで扱ってる魔石は1センチ角ぐらいの魔石だ。この大きさって事はCかBクラスの魔物じゃないのか?」

(そうなのか?)

《はい、Cクラスのサンダーブルの魔石です。群れでいた牛系の魔物の魔石です。【料理】で焼く魔物肉の時はよく使用しています。》

そーいや、道中でボルトが獲ってたなぁ。群れを一網打尽だったもんな。

『シルビア達がいつも食ってるサンダーブルの魔石だってさ。』

「サンダーブルの魔石だって。」

「サンダーブル!? いくらBランク冒険者でも、あいつらは群れでいるから無理だろー! あ、雷獣がいるのか、雷獣はサンダーブルの天敵だったっけ。」

「そう、ボルトが獲って来たの。」

「やっぱり凄いんだなぁ、雷獣って。ボルトって言うんだね。で? その雷獣の首輪を作って欲しいってわけだ。オッケー引き受けたよ。魔石は預かっておくから、あと素材を1つ用意して欲しいんだ。」

「どんなもの?」

「ガイゴって言う蛾の魔物の幼体なんだけど、そいつの出す糸が欲しいんだ。それと魔石を組み合わせれば最高の物を作ってやれるぜ。」

「その魔物ってどこにいるの?」

「東の森なんだ。でもBランクだったら行けるだろ?」

「うん大丈夫、昨日も行ってきた。」

「それも凄いな。それならついでにもう1ついいか? 冒険者ギルドに依頼すると高くってさ、採算が合わないんだよ。」

「うん、なに?」

「こいつも東の森にいるらしいんだけど、レッドエイトって言う蜘蛛の魔物なんだ。さっきのガイゴもレッドエイトも解体すれば糸袋があるんだよ、その糸袋が欲しいんだ。」

「うん、わかった。」

「ホントかい? 頼めるんだな。」

「うん、今から行ってくる。」

「い、今からかい? そりゃ早い方がいいけどさ。あたいはサンドライジェーンって名前なんだ、みんなからはサンって呼ばれてるよ。」

「私はシルビア。」

「シルビアか、よろしくな。Bランクの冒険者さん。」

「よろしく、サン。」


折角、町に戻って来たのに宿屋に泊まる事も無く、またまた東の森に向かう事になった。

シルビアにはいつも【クリーン】は掛けてやってるけど、今度風呂でも買ってやろうかな。プレハブ付きで。

売ってるのかなぁ。


がさつな喋りのハーフエルフだったな。サンか・・・・可愛いかったな~。ギャップも最高!


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