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第162話 ダンジョン追加

誤字報告ありがとうございます。



 それからは内政を固める仕事が忙しかった。

 オレは何もしてないんだけどね。偶に装備を欲しがる奴の相手をしてただけ。

 それも、今後はダメになって行くそうだ。キチンと申請をして、受理されて、初めてオレの所に来れるようになるんだって。


 オレってそんな大そうなもんじゃないけど、隠れ蓑にしようって思ってるんだから、あんなり表立って出ない方がいいよね。

 本当に隠れ蓑になるのか怪しいもんだけどね。


 初めは忙しかった一郎とメイド達も、各種族に役を振り分ける事で、今はもう落ち着いたもんだった。

 首都ダンジョンは小型の獣人がひしめき合って仕事をしている。


 王は『獅子人族』の長、ライアン。オレが名付けたんじゃないよ、初めから名前は持ってたからね。

 『馬車の従者』の称号も付いて無いから。


 首都ダンジョンの玉座に座ればいいのに、全員が却下。全員の中には王ライアンも含まれている。

 いいじゃん、たかが椅子だろ? どうせオレには座れないんだからさ。


 司法・行政・立法は無し。

 だって法律なんて無いし、お金も獣人国内ではほとんど使われない。

 将来的に対人間にはお金が必要になるし入って来る事もあるだろうけど、それは首都ダンジョンの蔵の中に入れるんだって。


 軍部、以上。


 住民の管理をする機関は首都ダンジョンに設けたけど、国民全員が軍人になるから軍部だけでいいんだって。

 獣人の男も女も子供も老人も全員を軍人にする事で管理するんだって。

 人間のの国より少ないからできるんだろうね。


 獣人王親衛隊の『獅子人族』

 三将軍の『羆人族』『角鷹クマタカ人族』『黒豹人族』

 軍人の管理や書類整理や雑務を熟す『総務』には一番数の多い『鼠人族』

 『鼠人族』は居住用ダンジョンの管理も任されている。


 転移ダンジョンは『狼人族』が管理。

 暗部に『鼫鼠ムササビ人族』と『猫人族』。この二種族は主に外の諜報活動。

 まだ出番は無いが、輸送部門に『馬人族』


 狩猟用ダンジョンはメインには親衛隊と三将軍が率いる部隊が務めるが、レベル上げをしたい者は誰が行ってもよい。

 但し、ドロップ肉は回収される。

 回収された肉は各部族から選出された料理部隊が纏めて料理する。料理長は日替わりでメイドの誰かが付いている。

 食費はタダ。しかも食べ放題。酒は『猿人族』が担当。


 まぁまぁ形になったね。やるもんだ。

 でも、これって軍事国家になるのかな?

 一万人規模だから国家と言うにはお粗末だし、戦闘民族の規模の大きい集落って感じ? 国っていうより大きい町か村って感じだね。

 オレが全員に装備を配っちゃったからそう見えるだけなのかも。


 服については『鶴人族』がはたりで作ったもんだから、和装になってしまった。

 人間国との差別化という点ではアリだけど、異世界で和装ね。しかも獣人が……オレの中ではナシだな。


 ここにいる奴らは獣人だから、全員が二足歩行。鳥系の奴らも獣化しない限り両手は人間みたいになっている。羽じゃない。

 獣化すると手が羽になって飛べたりするけど、その時は何も持てない。全員が獣化できるわけでも無いみたいだけどね。


 服? 獣化した時の服だよね。

 そこは獣人が獣人のために作る服だからね。服も獣化に合わせて変形テラフォーメーションしてたよ。そういう伝統的な魔法があるんだとか。

 オレが作った装備にはそんなの付与されて無いから、装備を着たまま獣化すると、脱がないと壊れるか装備に抑えられて不完全な獣化になってたよ。



 今日で一か月経ったけど、ブレインはまだ帰って来ない。

 うちの連中? 皆、仲良くやってるよ。

 獣人達とは一線を引いてるみたいだけど、毎日帰って来てるしね。一線を引いてるとは言っても話もするし、一緒に食事をしたりもしている。


 ただ、外には一緒には行かないし、狩猟用ダンジョンにはうちの連中は行かないみたいだ。

 寝るのは本拠地の馬車ダンジョンに帰ってるけど、食事はこっちで摂ってるし、広場で獣人に稽古という名の模擬戦をやったりと、仲良くやってるよ。

 オレには模擬戦というより、うちの連中が獣人達を虐めてるようにしか見えないんだけどね。


「一郎、ブレインはまだ帰って来ない?」

「はい、主様。まだのようでございますね。念話で呼びかけても返事をされない所をみますと、お忙しいのでしょうね」

 忙しくても返事ぐらいできると思うんだけどね。念話が届かない所にでもいるのかな?


「それはそうと主様。獣人達からもう一つダンジョンを作ってほしいという要望が寄せられておりまして、初めは放っておいたのですが、願い出る数が多くなってきたものですからどうしたものかと」

「ダンジョンを? まだ何か設備がいるの?」

 もういらないだろ。それにもう精霊女王から貰ったモンスターキーしか無いから作りたく無いんだよね。


「その、風呂用ダンジョンをを作ってほしいと言われておりまして」

「風呂? 風呂ならダンジョンじゃなくてもいいよね?」

「はい、森の中に作ってはみたのですが、中々うまく回らないと言いますか……」

「ん? そんなのお前達なら何とでもできるんじゃないの?」

「はい、少数なら広い風呂でもいいのですが、数が多いのと種族が多いので風呂の種類も多くしないといけませんし、奴ら真面まともに風呂に入った事も無かったようで、湯がすぐに汚れるので湯の張替えなど、私共では手が回らない状況でございまして」


 風呂に真面に入った事が無いって、汚ねぇー。

「それに、男と女は分けた方がいいと先日教えて頂きましたので、尚更湯船の数が増えて、今では三日待ち四日待ちの者も出て来ている状態です」

 ブレインがシスターズと入りそうになった時の事だな。うん、男湯と女湯は分けないとね。

 でも、今まで真面まともに入った事が無かった奴らが急にどうしたんだ?


「でも、なんで急に風呂が人気になったの?」

「それは、ボルト様が獣人達に話したようです」

「ボルトが?」

「はい、風呂は最高だぞと。特に汗をかいた修練の後は最高だと、食事の時に自慢気に話されたようで」

 お前は風呂嫌いだったじゃないか! なに仕事を増やすような事をしてんだよ!


 でも、風呂は入らないとな。うん、風呂は必要だ。

「わかったよ、風呂用ダンジョンだね。ダンジョンなら区画分けも簡単だし、設定で水の交換も簡単だ。湯にできるかは確認しないといけないけど、水を湯にするぐらいならできる者もいるんだろ?」

「はい、火魔法を扱える種族もいますので、大丈夫かと」

 ダンジョン内に池を作る要領でやれば出来るだろ。


 う~ん、困った。温泉ダンジョンを作るのは吝かではない。

 風呂に入った事が無い獣人達には必要だし、無理やりでも入らせたい。

 でも、ダンジョンキーが無い。無いというかあるんだけど、持ってるキーは使いたくない。

 だったら取りに行くか。

 それにはダンジョンに行かなくてはいけない。

 今の所、オレがいない時に出た事はない。

 だったら、オレが行く必要があると思う。


 オレがダンジョンに行くの? 嫌だよ、ダンジョンは行きたくない、持ってるモンスターキーも使いたくない。でも、このままじゃダンジョンが作れない。

 失敗したなぁ、首都ダンジョンに二本も使うんじゃなかったよ。

 もう今更だし、あれはあれで結果よかったんだよ。


 でも、もう温泉ダンジョンを作るって言っちゃったしなぁ。腹を決めるか。

 そうだよ、精霊女王から貰った鍵を使ったからと言って、精霊女王が来るとも限らないじゃん。

 オレの思いすぎかもしれないし、杞憂に終わるかもしれないしな。


 よし! 温泉ダンジョンを作るぞ!

 どうせなら精霊女王から貰った鍵の中でも一番最後に貰ったBを使ってやれ。



 腹を決めたオレは一郎に温泉ダンジョン予定地に連れて行ってもらった。

 今回は精霊女王が出て来ると嫌だったから、一郎とハヤテもその場にいてもらった。



 今持ってる最後のダンジョン核を出し、魔物や部屋割りを決めて行く。

 魔物の種類の中には精霊の名前は無い。

 これだと魔物の制御が効かないよな、精霊ってどうやって出せるようになるんだろ。


 作ったのは四階層。

 上層から池の種類を浅い、普通、深いの順で選んで行き、水の種類を選ぶ時に温泉もあった。

 逆の凍った池ってのもあったけど、これを選ぶ日は来ないと思う。マグマ池も選ばないと思う。


 最後にモンスターキーをダンジョン核に差すと、選択していたモンスターの名前が消え、精霊の名前に変わって行く。

 今回は温泉を作ろうと思ってたから、邪魔になってもすぐに討伐できるようにゴブリンやコボルト、オークやスライムといった弱い魔物を選択していたが、その名前が精霊の名前に書き換えられていく。


 イフリート(火)、ジン(風)、ネレイデス(水)、ベヒモス(土)、トール(雷)、フェンリル(氷)、クロノス(時)、サンフェアリー(光)、エコー(樹)、ナイトメア(闇)。

 魔物だった名前が精霊に変わった。


 これって結構メジャーな名前が多いけど、精霊でも上位の方じゃないの?

 もう名付けとかしないけど、そんなの必要なさそうだよ。

 温泉に必要かと言われたら、いらないね。

 でも、この精霊たちは温泉ダンジョンのために設定したんだから、温泉ダンジョンの管理をやってもらわないとね。

 上位精霊に温泉番をさせるって、贅沢すぎだね。


 あとは、精霊女王が来ない事を願うよ。


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