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第114話 洞窟の最下層

 メイビーが言わなくても、やっぱり最下層には行く事になってた訳で、行く前に強いやつがいるって分かっただけでも良かったとしておこう。


 地下に向かう洞窟はダンジョンのようになっていて、降りる為には階段らしきものを降りなければならない。

 なので、初ダンジョンモードにチェンジしてみた。


 ダンジョンモードは、巨大な一個のタイヤのような姿で、人が乗る部分はタイヤの真ん中部分。向かい合わせの二人乗りだ。二人乗りモードに近いけど、全体がタイヤの様になってるから二人乗りモードとは違うね。人が乗る所も、うまく水平を保てるようになっている。


 これって御者台が無いんだけど、どうやって操縦するつもりなんだろうね。

 今はハヤテだから何もしなくても引っ張ってくれるけど、馬だったら操縦できないぞ。

 その辺どうなのナビゲーター。


《念じて操縦してください》

 そんなの周りから見たら変だよ。


《普通は馬車でダンジョンには入りませんから》

 あー! 言っちゃったよ。とうとう言っちゃった。オレだってそう思ってるよ。だからなんでオレがダンジョンに入ってるんだって話だよ。


《魔石収集には都合がいい場所ですから》

 なんでそんなに魔石を欲しがるのかね。


《あなたに必要なのです》

 だからなんで。


《ランクアップの為です》

 ランクアップするとどうなるの? 人間になれるとか?


《なれません》

 ならなんでだよ!


《その時になると分かります》

 あ、出た。このセリフ。このセリフが出ると、あとは何を言っても同じ回答しか言わなくなるんだよな。あー、腹立つ。


 でもまだ、魔人を三人解体してないから魔石(特大)も取れてないんだよね。そんなに魔石に拘るんなら魔石(大)を何個かで代用できないものなの? あ、セブンは魔石ごとダンジョンに吸収されたんだったか。



 階下に降りると魔物がわんさか出て来た。ここは昆虫系が多いようだ。百足や蜘蛛なんかの魔物も出て来た。

 入口を入ってすぐの所には人工物と思われる階段があった。かなり朽ちているので、階段の原型は留めて無かったけど。

 ダンジョンモードは二人乗りだから、一人はメイビーに乗ってもらって、もう一人はルシエルに乗ってもらった。後は全員降りて歩いてもらっている。


 メイビーが言ってた通り、たくさん魔物が出て来るね。しかもダンジョンじゃなく洞窟だから魔物を倒しても吸収されない。そのまま死骸として残っている。

 倒した魔物はいつも通りオレが収納して、解体する。通路だから拾い集めに行く必要は無いから楽だけど、数が多すぎるよ。しかもこれって虫系だから、食材にもあんまりならないよね。

 こういうのって、収納の中でどうなってるんだろ。ずっと放置されてんのかな。


 そんな事を考えながら、地下五階分ぐらい降りて来た。

 この辺りの魔物はアンデット系だった。

 これもハズレだね、食材にはならないよ。


 アンデット系は打撃攻撃に強く、しかも少々では動きを止めない。虫系よりしぶとい。

 ただ、聖属性と火属性の魔法の効果は絶大で、アンデット系の魔物は簡単に倒されていく。洞窟で火を使うと空気が無くならないのかと心配していたが、途中から戦法を変えたから大丈夫なようだ。


 聖属性の攻撃はシルビアとルシエルしか使えない。火属性の攻撃だと何も残らない。魔石も燃えてしまうみたいなんだ。オレが魔石を集めてる事を皆は知ってるから、魔石を狙う攻撃に切り替えた。


 斬り刻んだ後、魔石を取るとバラバラっと崩れていく。それはグールやゾンビでも同じだった。

 そしてこの地下の最奥部に来ると、広い部屋で行き止まりになった。


 出て来た魔物はリッチーキング。デカい骸骨が王冠を被ってるよ。


『メイビー、あれが言ってた強い魔物?』

「いえ、あれは封印を解きに来るものを排除するために置かれた番人だと思われます」

『じゃあ、あれより強い魔物がその奥にいるって事?』

「左様にございます」

『番人って事は倒したらダメな奴?』

「いえ、邪魔なら倒して頂いて結構でございます」


 あ、メイビーにはオレの正体は言ってあるからね。信じてないみたいだけど、【御者】の姿が無いのに念話で話しかけても驚いて無いよ。信じてくれてるのかな?


 倒していい許可? ももらったので、さっさと倒してしまおう。

 さ、皆でやっちゃってくださいってあれ? なんでライリィだけなの?


『なんでライリィだけなの?』

『順番です』

『いやいや、皆でやればいいじゃん』

『それでは面白くないですから』

 面白いとか関係ないし、安全第一!

 しかもライリィとアンデット系って相性悪そうじゃん。


 リッチーキングは呪文も使ってくる高位の魔物。ここでも近接系が得意なライリィとは相性が悪そうだ。


「新技なのニャー! 【闘気彈】変化(へんげ)!」


 無数の闘気の塊を一斉に放つ!

 あの大きなリッチーキングが無数の闘気で見えなくなる程だ。


 リッチーキングはライリィにボコボコにやられ、呆気なく倒された。


 で? どこが新技? 闘気彈を大量に放っただけに見えたけど。


「ライリィ? 今のって新技?」

「そうなのニャ」

「どこが? 大量に放っただけに見えたけど」

「途中で属性を変えたのニャ!」


 え~と、言葉足らずで分かりにくいけど、放った闘気の塊の属性を途中で変えたって事でいいかな?

 あっ! あれだ! ジャグリングをやってた奇術師が途中で色々物を変えてたやつだ。

 ライリィなりにアレンジして、闘気の塊の属性を途中で変えたって事か……


 分かりづれーわ!


 見た目も殆ど変化無いし。説明が無ければ誰も気づかないって。ライリィのドヤ顔の意味は倒した方じゃなくて、属性変化の技の方なんだろうね。残念だけど、誰も気付いて無いからね。


 しかも無駄なだけで意味無いし。今のとこ属性変化で対応してくる魔物に出会った事も無いからね。



 いよいよボスの登場か! ボスじゃなくて、封印されし凶悪な魔物だったか。



 ガゴンッ! ゴゴゴゴゴー


 奥の岩戸が勝手に開いた。

 岩戸になってたんだ、気づかなかったね。


 中に入ってみると、部屋になってて一人の女性が台の上に寝かされていた。

 穏やかな寝顔で、すぐにでも起きてきそうだ。


 これが凶悪な魔物? ちょっと色黒のエルフにしか見えないんだけど。

 あ、鑑定が出てきたね。


 ハーベレイ・インダスタンス(ダークエルフ):LV67


 ダークエルフ? それが凶悪な魔物?

 違うと思うなぁ。何か事情がありそうだよね、厄介事の臭いがプンプンするね。

 レベルも高いし、称号に女王って付いてるね……



 うん、見なかった事にしよう!


『さ、みんな。凶悪な魔物もいなかった事だし、帰るよ』

「この者は如何致すでゴサルか」

『えっ? なんの事? オレには何にも見えませんが』


「お館様!」『主殿!』『主様!』キュキュ『あるじ様~』

「「「「ご主人様!」」」」


『わかったよ~、冗談だよ冗談』


 どうせオレに丸投げのクセにー。

 皆のジト目が痛い。ぐっ、メイビーまでジト目か。なぜオレの視線がわかる!


 どこに連れて行けばいいかな。メキドナの屋敷でいいかな? いや、どうせオレの【回復地帯(ヒーリングゾーン)】を使うだろうから、いつもの浜辺の方がいいかな。邪魔が入らないとこがいいけど……   あっ! ガンちゃんとこがいいな、うんそうしよう。


 幌馬車モードに戻り、転送魔法陣を描いて全員で順番にガンちゃんの所まで転移した。


 このダークエルフ、どうしよう。メイビーの事も片が付いて無いのに、もう一つ厄介事が増えちゃったよ。絶対、起きたらややこしい問題を持ってそうだよ。

 だってエルフに封印されてたダークエルフでしょ?


 起きるまで待つしか無いけど、起きたとしても何処かに送って行けるとこってあるの?


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