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失われた日常  作者: イニシャルB
始まりの事件
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31/44

宏

「な、直人……」

宏は僕に気付いたらしく、震えた声を発した。え?僕恨まれてるのかな?

 そんな事を思っていると、さらに宏が僕の名前を呼んで来た。

「直人おおおお!!」

 声でけえよ……あれ?何で凄い勢いでこっちに走って来てるの?

 宏は腕を大きく広げ俺に飛びついてきた。

「うわっやめて!くるしい!てかなんだよっ」

 公共の場で男性が男性に抱きつく、周りの目が気になる。

「やっと……会えたね」

「気持ち悪いからやめろ、あとくっつくな」

 何?あなたは生き別れ系ヒロインなの?いや男ですけども。

 宏ははっと我に帰り、「すまんすまん」と言い俺から離れた。

「幼なじみがいたからさ、ついな……」

 宏は恥ずかしそうにしていた。分からなくもない、でも抱きつくのはどうかな………向こうにいる2人はポカーンとしているし、俺の後ろにいる2人には冷たい目線を向けられていた。くすん……

「あれ?宏じゃん」

 いきなり聞き覚えのある女性の声が聞こえた。

「お、小百合」

 そこには俺と宏の幼なじみの小百合がいて、呑気な顔つきをしていた。

 「小百合いいいいい」

 宏が小百合に飛びつこうとしたが俺が止めた。

「留学したんじゃないの?」

 小百合が唐突に質問をした。

「したよ、日本に」

 ………ほう、なんとなく読めた。

「それって転校だよな」

 宏は「そうそれ!」と無邪気に答えた。子どもねぇ……

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