宏
「な、直人……」
宏は僕に気付いたらしく、震えた声を発した。え?僕恨まれてるのかな?
そんな事を思っていると、さらに宏が僕の名前を呼んで来た。
「直人おおおお!!」
声でけえよ……あれ?何で凄い勢いでこっちに走って来てるの?
宏は腕を大きく広げ俺に飛びついてきた。
「うわっやめて!くるしい!てかなんだよっ」
公共の場で男性が男性に抱きつく、周りの目が気になる。
「やっと……会えたね」
「気持ち悪いからやめろ、あとくっつくな」
何?あなたは生き別れ系ヒロインなの?いや男ですけども。
宏ははっと我に帰り、「すまんすまん」と言い俺から離れた。
「幼なじみがいたからさ、ついな……」
宏は恥ずかしそうにしていた。分からなくもない、でも抱きつくのはどうかな………向こうにいる2人はポカーンとしているし、俺の後ろにいる2人には冷たい目線を向けられていた。くすん……
「あれ?宏じゃん」
いきなり聞き覚えのある女性の声が聞こえた。
「お、小百合」
そこには俺と宏の幼なじみの小百合がいて、呑気な顔つきをしていた。
「小百合いいいいい」
宏が小百合に飛びつこうとしたが俺が止めた。
「留学したんじゃないの?」
小百合が唐突に質問をした。
「したよ、日本に」
………ほう、なんとなく読めた。
「それって転校だよな」
宏は「そうそれ!」と無邪気に答えた。子どもねぇ……




