第二十一話
騒動が発生してから数週間後。ついに決闘祭の日が訪れた。
決闘祭専用のエリアに集まり、観客席に座っている生徒達は今か今かと開催を待っている。
「うおおおおおお!!!!!!」
「まだ始まらないのか!!!!? 早くしてくれ!!!!」
「今回こそは成り上がってやるわ!!!!」
(結局。今日まで父さんの形跡は見つからなかったな。父さんもここにいるってのは考えすぎたな)
盛り上がっている周囲の声を耳に、アンリーナは別のことを考えていた。シロコが口にした似た魔力を持つ――前世の父をアンリーナは今日まで探し続けていたが見つかることはなく、父以外にいるかと思考を切り替え探したが、それでも見つかることはなくもやもやとした感覚だけが残ってしまった。そして不思議なことに騒動の時にアンリーナに害を行った女子生徒三人。彼女達の姿を学園内で見かけることがなくなった。同時期にアンリーナに対する嫌がらせがぴたりと止まった。騒動が起きるまでは毎日のように嫌がらせがあったというのに——アンリーナは自分の知らない所で何かあったんだなと思ったが、魔力の持ち主を探すのに集中していた為、嫌がらせが止まったのと女子生徒三人組が見当たらない理由について情報は一切手に入れていない為、それらに何が起きたのかアンリーナは何も知らない。
(あ゛ーもやもやする!!!! あの女も最近手出ししてきてねェし、なんかあるだろ。あの思想の女が自分の行いを反省するようには思えねェ)
決闘祭の開催を待ちながらアンリーナは心の中で騒ぎ立てた。一目がなければ頭をかき乱し叫ぶほどに。
「お前達、静かにしろ!!! 全くこれだから若者は…………ごほんっ、これより春の決闘祭を開催する!!!」
開催の時間になったのか、突如エリア全体に大声が響き渡った。見れば決闘会場の中心に一人の男がいた。彼が先程の大声を反響魔法を使い出したようだ。
「うおおおおおお!!!!!!?」
「待ってました!!!!」
「早くして~!!!」
「静かにしろ!! 騒ぐな!!!」
(どちらかと言うなら夏の決闘祭じゃないのか?? 今六月だぜ? ……ぎりぎり春か……?)
男が口にした開催というワードを耳にした生徒達は一斉に湧き上がった。森がっている生徒達をよそにアンリーナはまたもや別のことに思考を取られ下らないことを考えてしまった。
反響魔法によってエリア全体に響き渡る教員、司会の声と同じぐらいに騒がしい生徒達。その騒がしさは大人数なのも合わさってか反響魔法を使う司会よりも大きく、耳に響いた。
(周りうるせェな。耳が痛くなってきた。まぁ、それはそれとしてついに始まったなァ……!! アァ楽しみだなァ。こいつらの悔しがる姿。じっくり、見てやらねェとなァ?)
生徒達の騒がしさにアンリーナは眉をぴくりと下げ心の中で文句を呟く。同時にようやく始まる決闘祭に胸を躍らせた。屈辱を与えてやろうという気持ちでにやけてしまう笑みを抑え自信に満ちた表情をした。
「事前に伝えたが、『聞き忘れました』とか『忘れました』とかほざく馬鹿な奴の為にもう一度説明する。決闘祭は一人必ず五回試合を行ってもらう――」
興奮し落ち着かない生徒達に、司会は黙らすことを諦めたのか反響魔法を最大にしエリア全体に声が渡るようにもう一度決闘祭の詳細を語っていく。
一つ。勝てば勝つほど上位のクラスに入れる。逆に負ければ下位のクラスに入ってしまう。
二つ。決闘祭の相手はくじで決める。最初は全員同じくじだが、二戦目からは敗者、勝者、引き分けで別々のくじで決めることとなる。
三つ。決闘では死に関わるモノでなければ何をしても良い。
四つ。決闘際は一ヵ月に渡って行われる。
「――以上だ。三回目の説明はしないのでしっかり頭の中に刻み込んでおくように。ではこれより一回戦のくじを引いてもらう! まずはA組、この箱からくじを引け。取ったら離れろ」
説明を終えた司会の元に巨大な箱が運ばれてきた。その中にくじが大量に入ってらしい。
司会の指示を聞いたA組は観客席から会場へ向かいくじを引きに行った。その光景を見てアンリーナは思う。
(風魔法で一斉に渡すか、事前に渡せばよくね? これだと非効率すぎねェか?)
くじを引いている生徒達を眺めながら言葉にすることなく心の中だけで終わらせた。そのままアンリーナは自分の番が来るまで他の生徒同様観客席で椅子に座り待ち続けた。




