issue#06 I I I Little Talks CHAPTER 01 01
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Issue 06 元ネタ・命名由来リスト
■サブタイトル 『Little Talks』
[元ネタ]: アイスランドのインディー・フォークバンド『Of Monsters and Men』の代表曲。
[備考] :「認知症を患い、見えないものと会話する妻」と「それを支える夫」の対話を描いたとされる歌詞解釈に由来。くわえて、本編の短さにもかけた命名になっている。
[備考の備考]:「くわえて、本編の短さにもかけた命名になっている」――この宣言は、完全には正確でなくなりました。元ネタリスト・あとがき込みで95943字(285kb)だった本話が、完成を目指す再校正の作業の中で、158201字(454kb)にまで膨れ上がったためです。短さを愛でて付けた題の真下で、本文だけがおよそ1.65倍に育ってしまうという、命名者としてはいささか立つ瀬のない結果となりました。ただし――それでもなお1話(460kb)より短く、本編史上最短であるという事実だけは揺らいでいません。『Little Talks』の看板は、サイズ表記を少々訂正した上で、引き続き掲げておくことにします。(26年07月18日)
■キャラクター・用語命名由来
パチンコ屋『ニューベガス』
[元ネタ] :『ベセスダ・ソフトワークス』のゲームタイトル『Fallout: New Vegas』
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The Most Magically Chaotic Quartet on Universe!
Quarteto Magico
Issue06 Little Talks
CHAPTER 1
迷路のごとき路地裏を抜けた先に、その店はひっそりと息づいていた。
幾星霜を経た木造倉庫を思わせる内装――味わい深い色調の変化をみせる、古材をふんだんに用いた板張りの壁は、街の喧騒を拒絶する重厚さと、知る者だけを招き入れる温かみを同時に漂わせている。
銀の外壁が帆のような曲線を描く、未来的な外観の雑居ビル。その1階、控えめに掲げられた欧風の鉄看板と、ガラス戸越しに漏れる琥珀色の灯りだけが、そこが現世と時間を異にする空間であることを告げていた。
……そこをいつ訪れようとも、客人を出迎えるのは、鼻腔をくすぐる深く芳醇な焙煎の香りと、視界を優しく染め上げるタングステン・ランプの暖かな光彩だ。
店内は、高い天井を無骨に、しかし力強く横切る黒い梁と、あめ色に磨き上げられた木の床が織りなす、極上のくつろぎに満ちている。長いカウンター席の向こうでは、
並べられたサイフォンがアルコールランプの青い炎に炙られ、コポコポと心地よい湯に沸く音を奏でていた。ガラスのフラスコの中で踊る黒い液体が、ロボットの店主の丁寧な所作によって黄金色の雫へと還元されていく。
壁一面に設えられた棚には、オーナーの趣味とおぼしき雑誌や書籍、
そして旅の記憶を留めた写真や雑貨が所狭しと、しかし秩序を持って並んでいる。
天井から吊るされた星形のオーナメントが、空調の風に揺れて微かな影を落とし、店の奥まったテーブル席を隔てる紐暖簾が、半個室のような安らぎを演出していた。
劇的な冒険も、世界を揺るがす陰謀もそこには存在しない、あるのはただただ穏やかで、
贅沢な時間の堆積だけ。世界を救った少女たちが、戦いの疲れを癒やし、
あるいは他愛のないおしゃべりに興じるには、これ以上ないほどに「ちょうどいい」隠れ家だった。
奥まったテーブル席。紐暖簾で緩やかに仕切られたその空間に、吉濱家の5人が肩を寄せ合うようにして腰掛けていた。そして、木のぬくもりに満ちた店内の調和を乱すものが、
ただひとつ。テーブルの周囲を、ピンク色の脳髄に触手が生えただけの奇妙な生物――マクロブランクが、何かの強迫観念に駆られたかのように、汗を撒き散らしながら絶えず周回し続けているのだ。




