Issue#01 I I I Don't Want to Set the World on Fire CHAPTER 01 10
7本ないし8本の光線が、一斉に手のひらから放たれ、空気を切り裂くように飛び交う。
「……ヒュウッ!」
その一閃が横合いにあった光の群れを一掃した瞬間、稀代のパイロキネシストであるホットショットは、風の轟音を引き連れて旋回し、あざやかに元の位置へと舞い戻ってこう言い放つ。
「安心してください、運営さん、ただの人力チートですよ!」
小さな超新星の爆発が連鎖する前に、勝利と征服を象徴する灼熱の航跡を刻み続けることで、彼女は、その光景全体をまるで首輪のように束ね上げた。
「……名はアシュリー・コールに倣ってつけ、そのキャプテンシーはスティーブン・ジェラード譲り、ポール・スコールズの精巧さと、ハリー・ケインの決定力を併せ持ち、機動力はカイル・ウォーカーを彷彿とさせる。つまり、うちのアシュリーはスリーライオンズをたったひとりで体現する存在なのよ!
……まっ、そのせいか素行にまでジョーイ・バートンという良からぬ手本を得てしまったんじゃがな……」
高空を見上げ、赤毛の娘の活躍に満足げに腕を組む尊は、「ジョーイ・バートン」のくだりだけを、まるで題目の重要でないところを読み上げる坊主のようにくぐもった早口で言い終える。
「……キーパーアシュリー、ショートパスを選択!見事にボールを捌き、素早く左サイドへと展開していきます!
相手のプレスをうまくかわしながら、ここで大胆なサイドチェンジ!絶妙なタイミングでパスを送り、相手ディフェンスの背後を取った!」
「胸で落としたアシュリー、今度はクロスが浮き球に……!ボールが弧を描き、空高く舞い上がる!これ、どこまで行く!?そして、ポケットには抜け出した10番アシュリーが待機中!あのスピード、あの位置取り!まさに狙い通り!」
その間も焔の少女は、自身でするサッカーの実況に忠実な動きで青いピッチを縦横に駆け巡り、
手から放たれる弾頭を意味ある爆発へと変え続ける。
人造の星々が一掃された空は、しばらくの間、ただのほの明るい青の底となり、
ホットショットは静かな動きでその中を自由に漂いながら、こう呟く。
「でもなぁ、ちょっとタイムに余裕がありすぎるんだよな……」
その目には、どこか思案の色が浮かんでいた。ゲームにおける「メタ読み」の思考だ。問題の出題者をあの母だとすると、
事がこうも順調に運ぶのはおかしい。
……するとその瞬間、まるで滅ぼされたすべての存在が再び結集し、最後の決戦を挑いどんでくるかのように、彼女の行く先に巨大な光球が現れた。
その光球は、8方向へ伸びる眩い光芒を放ち、圧倒的な存在感でいきなり空を支配した。
「……ほらな!あの不肖の母はこういうことをする!」
予想通りの展開に、ホットショットは満足げににやりと笑い、次の挑戦に取りかかる。
光体は、単なる一撃ではとても砕けそうにない。
空を統べる少女は、まず戦闘機のマニューバでいう「ループ」を遠くの空域まで決めにいく。
その広大な軌道が、まるで紐を結ぶように緩やかに折り返す瞬間、彼女は胸元に巨大な火球を収束させ始めた。
これまで彼女が多用したエネルギー弾は、連発のために大きく育てなかったが、この場に限り、
着弾点にどれほどの破壊をもたらそうとも納得のいく巨大な火球を、両手から一気に解き放った。
「太陽の数を減らして温暖化問題に貢献するアシュリーちゃん……偉いよな!」
ホットショットの体よりも大きな火球――小型の太陽を思わせるそれは、彼女自身を上向きに押し返すほどの反動を生み、単調な滑走を続けて標的へと突き進む。
ふつのエネルギー塊が、「着床」というべきかたちで交差した。受け止めた球には、瞬間、泡の群れが致命的に吹き上がり、
また次の瞬間には、その泡が引き裂かれたところから、青空を縦に貫くような巨大なキノコ雲が生まれた。
「……ゴラッソォ!」
閃光と轟音、紅炎の殻を突き破り、黒煙が爆心地から立ち上る。その高さは約50mに達し、なお収まる気配を見せない。爆心地の直下に位置した杉の群れは、空気の激しい流動によって、一時は放射状に倒れかねないほど、絶え間なく上下に揺さぶられた。
「ふーっ!視界は良好、いい調子だ!やっぱり空は私のものだな!!」
ひと仕事を終えて満足のホットショットは、足を「4」の字に、両手を「ハ」の字に構える――彼女にとって「なんとなくかっこいいポーズ」で空にしばらく滞留した。
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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