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カルテット・マジコ  作者: piku2dgod
Issue#01 I I l I Don't Want to Set the World on Fire

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Issue#01 I I I Don't Want to Set the World on Fire CHAPTER 01 09

「……ごほん!アシュリー、いやさホットショット、この青天井の中でならいくらでも好きに飛んでなんでも燃やしていいからの!」

尊の言葉は、試練の開始を告げる暗黙の宣誓にほかならず。刹那、吉濱アシュリー――通称ホットショットは、自分の意志にて全身を炎に包み、人も樹木も凌ぐ火の波であたりの大気を押し退ける。


かと思えば、またたく間に離陸を果たし、初動の一瞬、飛散の方向にわずかな迷いがみられた炎を、

すみやかに1柱の焔へと束ね、この冴えわたる悠久の天地に、細く麗しく立ち昇っていく。


「ああ、ミズーリの空高く(Beyond the Missouri Sky)まで行ってくるのもいい!」

焔を纏った両腕を軽やかに広げ、燃え盛る胸で風を存分に受け止めるホットショットは、

音速の壁を、マッハコーンの一閃で軽々と打ち砕き、なおも自由に、悠然と飛距離を伸ばす。


「その前にこいつを打ち落としてからな!!」

尊が叫べば、広大無辺なる蒼穹に、燦然と輝く輪や球体が瞬時に幾つも飾り立てられた。

その存在感は、太陽を主宰者とするこの白昼の天にあって、微塵も色褪せることがない。

これらの仕掛けは、ほかならぬ吉濱尚武尊――通名なら吉濱尊、ヒーローとしては「オールラウンダー」の名で知られる自然霊が、自慢の神通力によって生み出したものにほかならない。


炎の放物線を描き、青空を統べる不遜な星々の原野に落ちていくホットショットは、

標的を射程に収める距離に至ると、蛇のごとく地を這う動きから一気に跳躍し、機動の質を瞬時に変えた。巡航ミサイルの極限に等しい速さは保ちつつ、従来とはまったく異なる、直角の立ち回りを繰り広げ始めたのだ。


光球を破壊し、輪をくぐり抜ける――このルールのもと、彼女の試練は執り行われるのだが、最短での攻略をめざす場合、その、輪っかの方の配置がかなりふざけている。

ピンボールがゲーム台の壁を跳ね回るような動きを、己の身でもって再現できなければ、決められた時間内にクリアするのは不可能に近い。


それでも、制動力でこの世に並ぶものがない飛行物体は、6つの対向する輪の間を電光石火の風格で駆け上ることから、この困難なゲームにおそれず手を付けていった。


「鋭角」かつ「速やか」な三次元の蛇行が、光る輪でできた小惑星帯を外縁の一角から着実に侵食していく。


傍目にも無理があるその軌道が、彼女の身体にどれほどの負荷を強いているかは想像に難くないが、

それでもホットショットは、身体に最も過酷なひねりを加える瞬間でさえ、しなやかに振り回される両腕から、灼熱の奔流を一定のテンポで放ちつづけていた。


その内訳は、サッカーボール大の火球と、ボトルほどの細さのレーザービームだ。

いずれのエネルギー弾も、輪の広大な領域に紛れ込む光の群れや、その周辺の宙域に散らばる輝きに、紅のビームを的確に届け、核心を精密に撃ち抜いて粉砕する。


光景には、常に痛快な魅力が付きまとうだろう。彼女の攻撃はまず視覚的に華やかで、しかも標的の破壊は、放たれた弾の数に対して100パーセントの確率で起こることだからだ。


「吉濱さんとこ、久しぶりにやっとるねぇ~。見事だねぇ~!」

「ま~ま!変なのとんでる!」


各々の家のベランダや、近くの道路に居合わせた人々にとって、この試練は地域の花火大会にも匹敵する見世物になった。


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