【やり直し軍師SS-611】騎士団修行(11)
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ボルドラスやグランツに見送られて、第四騎士団を後にしたジュノス達は、進路を南にとって進んでいた。
次の目的地は、第五騎士団の詰めるリーゼの砦。
「私たちは〜森の〜王〜」
「入ってきたら〜ぶっ飛ばす〜」
「……どんな無法者だ、それは」
先頭を行くユイゼスト・メイゼストの双子が謎の歌を歌い、それにルデク第二王子のウラルが冷静につっこんでいる。
その後ろに続くはジュノス、そして第二騎士団の重鎮、レゾール将軍の娘、リュージェ。
最後尾から、第八騎士団よりウラルの護衛につけられたゼファーがついてきていた。
ジュノス達は、ルデク南西部の山沿いの道を選んだ。目的地からすれば、これは遠回りのルートである。
最短でゆくなら、まっすぐに南下したほうが距離は短く道もいい。
ちなみに、現在の第五騎士団の本拠は2つある。ひとつはゲードランド、そしてもうひとつがリーゼの砦。
第五騎士団は規模が大きいため、拠点を分けているらしい。どちらかといえば、ゲードランドは政務。リーゼが軍務の拠点となっている。
第五騎士団長のベクシュタットがどちらに滞在しているは、その時次第。
いずれにせよ両方に顔を出してみるつもりであるが、ウラル達の希望で立ち寄りたい場所があったので、わざわざ遠回りを選択したのだ。
「ハクシャまではあと三日ってところかしら」
リュージェが誰にいうでもなく呟いた。
ジュノス達がわざわざ遠回りをしてでも立ち寄ろうとしているのは、ハクシャの戦場跡。
大軍師ロアゆかりの地で、ロア初陣の場所として騎士団内で神聖視されていた。
厳密に言えば初陣は別の戦場らしい。が、初の実戦参加で味方を鮮烈な勝利に導いたこの戦いは、騎士としての栄達を目指す者達にとっては憧れとなっている。
危機を寡兵で切り抜けた幸運にあやかろうと、騎士が訪れる、一種の験担ぎの地であるらしい。
特に重要視されているのが、ハクシャの戦いで犠牲になったルデク将兵を弔う鎮魂碑。ハクシャに来たら、この鎮魂碑に祈りを捧げるのが騎士の習い。
正直なところ、ジュノスはこの験担ぎという行為をあまり好まない。他力本願で誰かに願うよりも、その時間を使って鍛錬した方が良いと考えるタイプだ。
それでもこのルートを選んだのは、ウラルとリュージェの強い要望があったため。
『立場上、なかなか気軽に行ける場所ではないのだ』
『第七騎士団の持ち場から遠くて、一度行ってみたかったの』
と、二人がかりで説得されては、ジュノスも折れざるを得なかった。
「……そういえば、ユイメイの姉さんがたは、ハクシャで宰相と一緒に戦ったんですか?」
ジュノスはハクシャの戦いについて、ほとんど知らない。ただなんとなく、先をゆく二人が目に入ったから口にしただけだ。
「お、ハクシャか……」
「もちろん戦った」
「あれは激戦だった」
「何もかも懐かしい……」
遠い目をする双子に、呆れつつも訂正するのはウラル。
「この二人は参戦していない。まだあの時は第四騎士団所属であったはずだ」
「適当かよ……」
流石のジュノスも呆れるものの、なんというか、らしいと言えば、らしい。
「そうだったか?」
「まあそういう説もある」
全く反省しない双子。だがこれでも実力は確かだ。少なくとも、ジュノスが敬意を払う必要があるほどには。
ユイメイはジュノスがグランツに負けて敬語を使うようになった話を聞くとすぐに、『私たちとも一戦やるぞ』『私たちにも敬語使え』と強引に戦いを申し出てきた。
そして悔しいがジュノスは二人に負けた。
ザックハートやグランツとはまた違った、しなやかな強さ。それは体格ではザックハート達に及ばないジュノスにとって、一つの指針になる戦い方といえた。
しかし、
『私のことはユイゼスト様と呼べ!』
『なら私はメイゼスト様様だ!』
『なんだとう! じゃあ私は様様様!』
『様は増えれば偉いというものではないぞ?』
ウラルの冷静な指摘の横で、はしゃぐ二人に納得がいかず、絶対に様付けは断るとギャイギャイやった結果、両名を『姉さん』と呼ぶことで落ち着いたのである。
ともかくこの二人、第四騎士団の訓練が終わったら王都へ帰るのかと思ったら、そのままジュノス達についてきた。
ウラルが『宰相殿に許可は取ったのか?』と聞けば。何やらモゴモゴ言っていたので、多分、許可されていない。
ボルドラス様が苦笑しながら、『では、私の方から知らせておきましょう』と提案して、双子に『頼むぞ!』とバンバン肩を叩かれていた。
「……リュージェ、ハクシャの戦いについて教えてくれ」
この先、双子の偽情報に翻弄されるのはごめんだ。
ジュノスの意図を汲んだのか、ハクシャまでの道中、リュージェは丁寧にハクシャの戦いについて語って聞かせてくれたのだった。




